英アストラゼネカは９月12日（現地時間）、全世界で一時中断していた新型コロナウイルス感染症のワクチン候補「AZD1222」の臨床試験を再開したと発表した。英国で進行中の第３相臨床試験で発生した１例の有害事象を踏まえ、９月６日以降、因果関係などを調査するため、全世界で接種が一時中断されていたが、英国の医薬品・医療製品規制庁（MHRA）が安全性を確認したため。国内でも、治験再開に向けて、規制当局との協議を進めており、再開のタイミングについては「検討中」（同社広報部）としている。

接種を中断し、社外の専門家で構成される独立委員会と、各国の規制当局が安全性について、検討を進めていた。英国の独立委員会は調査を終了し、MHRAに臨床試験の再開を推奨し、MHRAがこれを認めていた。

治験では被験者の安全性が最優先とされており、重篤な有害事象が発生し、因果関係が直ちに判断できない場合、一時中断し、因果関係などを踏まえて対応を検討することが通常のプロセス。新規の作用機序を持つ場合はより慎重な判断が求められ、一時中断するケースは珍しいことではない。

同社は、「被験者の安全と臨床試験における最高水準の行動に尽力している」としており、試験の再開時期についても、世界各国の規制当局との協議を継続するとしている。