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厚労省 新薬9製品を承認 世界初の光免疫療法用薬アキャルックスなど

公開日時 2020/09/28 04:50
厚生労働省は9月25日、新医薬品として9製品20品目を承認した。この中には世界初の頭頸部がんの光免疫療法に用いる抗体薬物複合体・アキャルックス点滴静注(一般名:セツキシマブ サロタロカンナトリウム(遺伝子組8換え)、楽天メディカルジャパン)が含まれる。同剤は、がん細胞を壊死させる新しい局所治療に用いる医薬品。同剤投与後に専用のレーザ照射システムでレーザ光を病巣部位に照射すると、腫瘍細胞の細胞膜上に発現するEGFRに結合した同剤が励起され、腫瘍細胞を傷害する。

楽天メディカルジャパンの三木谷浩史会長は承認取得を受けて、「がんの父を救いたいと願う中で出会った、日本人研究者が開発した治療を、がんと闘う患者さんへ1日でも早く届けるために挑戦し続けてきた」と振り返った。そして、「世界に先駆けた日本での承認を感慨深い思いで受けた。ただ、これは挑戦の始まり」だとし、「『がんを克服する』、この壮大な夢を皆さんと共に実現していく」とコメントした。

■卵巣がん治療薬ゼジューラ 薬価収載前日まで倫理的無償供給を実施

このほかに、これまで静注製剤や坐剤などで対応していた「てんかん重積状態」に対して初の頬粘膜投与製剤となるブコラム口腔用液(ミダゾラム、武田薬品)や、原発性腋窩多汗症で初の外用薬となるエクロックゲル(ソフピロニウム臭化物、科研製薬)も承認された。

卵巣がんに対する経口PARP阻害薬として承認されたゼジューラカプセル(ニラパリブトシル酸塩、武田薬品)は、「患者さんの緊急の要望に応える」(武田薬品)ため、薬価収載前日まで倫理的無償供給を行う。

承認された製品は次の通り(カッコ内は一般名、製造販売元)。薬効分類別に記載。

ブコラム口腔用液2.5mg、同5mg、同7.5mg、同10mg(ミダゾラム、武田薬品):「てんかん重積状態」を効能・効果とする新投与経路医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。未承認薬・適応外薬検討会議開発要請品目。薬効分類:113

合成イミダゾベンゾジアゼピン誘導体。ミダゾラムはこれまでに静注製剤はあるが、今回は頬粘膜投与製剤となる。家庭や学校でてんかん発作が起きたときなど緊急を要する場合に、利便性及び即効性を有する治療オプションとして開発された。

けいれん発作が30分以上持続すると長期的な後遺障害を残す可能性が指摘されており、国内外のガイドラインでは、けいれん発作が5分以上持続する場合にはてんかん重積状態と診断し、治療を始めることが推奨されている。小児を含む早期てんかん重積状態の第一選択薬としてジアゼパム静脈内投与やロラゼパム静脈内投与、ミダゾラム静脈内投与が推奨されている。ただ、救急搬送に時間を要し、治療開始までに時間がかかる点が指摘されていた。

ゼプリオンTRI水懸筋注175mgシリンジ、同TRI水懸筋注263mgシリンジ、同TRI水懸筋注350mgシリンジ、同TRI水懸筋注525mgシリンジ(パリペリドンパルミチン酸エステル、ヤンセンファーマ):「統合失調症(パリペリドン4週間隔筋注製剤による適切な治療が行われた場合に限る)」を効能・効果とする新効能・新剤形医薬品。再審査期間は4年。薬効分類:117

非定型抗精神病薬。ゼプリオンは4週に1回投与の統合失調症治療薬だが、ゼプリオンTRIは12週間間隔で投与する製剤。長期に効果を発揮するため、用法・用量で、「パリペリドン4週間隔筋注製剤が4か月以上継続して投与され、適切な治療が行われた患者に対し、最終投与の4週間後から切り替えて使用する」とされた。症状が安定している患者に用いる。

エビリファイ持続性水懸筋注用300mg、同400mg、同300mgシリンジ、同400mgシリンジ(アリピプラゾール水和物、大塚製薬):「双極性I型障害における気分エピソードの再発・再燃抑制」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は4年。薬効分類:117

抗精神病薬エビリファイの4週間に1回の投与で効果が持続する筋注用デポ製剤。はっきりした躁状態がある場合は双極I型障害と呼ばれ、軽躁状態とうつ状態を繰り返す場合は、双極II型障害と呼ばれる。

今回追加する適応のように、双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制(維持療法)の効能・効果を取得しているのはラミクタール錠(ラモトリギン)のみで、注射薬では今回が初となる。

エクロックゲル5%(ソフピロニウム臭化物、科研製薬):「原発性腋窩多汗症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:125

神経伝達物質であるアセチルコリンの作用を阻止する抗コリン剤。アセチルコリンはムスカリン受容体と結合することで汗腺から発汗を誘発すると考えられている。同剤はムスカリン受容体と結合することでアセチルコリンの結合を阻害し、発汗を抑制する。

同剤は1日1回、適量を腋窩に塗布して用いる。塗布の際にアプリケーター(塗布具)を用いることで手が薬液に触れることなく塗布できる。現在は重度の原発性腋窩多汗症に対する治療薬としてA型ボツリヌス毒素製剤・ボトックス注用があるが、エクロックは軽度から使用できる。今回の適応でのゲル製剤は国内初となる。

温熱や精神的な負荷などにより、手のひらや足の裏、わきの下などに日常生活や仕事に支障をきたすほどの大量の発汗を生じる状態を原発性局所多汗症といい、特にわきの下(腋窩)に生じる場合、原発性腋窩多汗症という。

ジセレカ錠100mg、同錠200mg(フィルゴチニブマレイン酸塩、ギリアド・サイエンシズ):「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:399

選択的JAK(ヤヌスキナーゼ)1阻害薬。JAKという細胞内の酵素を抑えることで、関節リウマチで炎症や関節破壊を起こすサイトカインの働きを抑える。同剤は1日1回投与で用いる。ギリアドが製造販売承認を保有し、販売はエーザイが担当し、両社共同で情報提供・収集活動する。関節リウマチに対する5剤目のJAK阻害薬となる。

エナロイ錠2mg、同錠4mg(エナロデュスタット、日本たばこ産業):「腎性貧血」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:399

低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PHD)阻害薬と呼称する新クラスの薬剤。HIF-PHD阻害薬としてエベレンゾ錠(ロキサデュスタット)、バフセオ錠(バダデュスタット)、ダーブロック錠(ダプロデュスタット)に続く4番手となる。同剤も保存期と透析期の腎性貧血に使用できる。17年10月に締結した国内の共同開発・販売に関する契約に基づき、鳥居薬品が販売する。

ゼジューラカプセル100mg(ニラパリブトシル酸塩水和物、武田薬品):「卵巣がんにおける初回化学療法後の維持療法」「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣がんにおける維持療法」「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の相同組換え修復欠損を有する再発卵巣がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:429

ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬。PARP阻害薬は、DNAの相同組換え修復機構が機能していないがん細胞に対し、特異的に細胞死を誘導する新規機序の薬剤。PARP阻害薬はアストラゼネカのリムパーザ(オラパリブ)があり、ゼジューラは2番手となる。

ただ、ゼジューラの方が適応は広い。「卵巣がんにおける初回化学療法後の維持療法」の適応について、リムパーザはBRCA遺伝子変異陽性患者を対象とするが、ゼジューラは同遺伝子変異の発現有無にかかわらず使用できる。また、ゼジューラに持つ「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の相同組換え修復欠損を有する再発卵巣がん」の適応はリムパーザにはない。リムパーザは1日2回経口投与で用いるが、ゼジューラは1日1回経口投与で用いる。

武田薬品はこの日、「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の相同組換え修復欠損を有する再発卵巣がん」の患者を対象に、薬価収載前の倫理的無償供給プログラムを開始すると発表した。この対象疾患は、現時点では標準治療がなく治療選択肢が極めて限られていることから、「患者さんの緊急の要望に応える」ために同プログラムを実施する。同プログラムは厚労省が定める保険外併用療養費制度の下で実施する。無償供給の実施施設は、同剤の国内の治験実施医療機関のうち、武田と同プログラムに関する契約を締結した施設とする。実施期間は承認日から薬価収載の前日まで。

アキャルックス点滴静注250mg(セツキシマブ サロタロカンナトリウム(遺伝子組換え)、楽天メディカルジャパン):「切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。先駆け審査指定品目。条件付き早期承認制度対象品目。薬効分類:4299

EGFRを標的とするモノクローナル抗体のセツキシマブと、光感受性物質であるフタロシアニン誘導体(IR700NHSエステル)が結合した抗体薬物複合体(ADC)。光免疫療法に用いる薬剤。

通常、成人にはセツキシマブ サロタロカンナトリウムとして1日1回640mg/㎡(体表面積)を2時間以上かけて点滴静注する。点滴静注終了20~28時間後に、専用のレーザ照射システムを用いて波長690nmのレーザ光を病巣部位に照射する。これにより、腫瘍細胞の細胞膜上に発現するEGFRに結合した同剤が励起され、腫瘍細胞を傷害する。専用のレーザ照射システム「BioBladeレーザシステム」は9月2日付で承認された。

同剤投与下におけるレーザ光照射(光免疫療法)は、ニボルマブやセツキシマブなどによる治療が行われている切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がん患者が対象となる。

承認条件として、全例調査を実施することや、現在実施中の第3相試験における同療法の有効性と安全性について医療現場に適切に情報提供することなどが求められた。

ユルトミリス点滴静注300mg(ラブリズマブ(遺伝子組換え)、アレクシオンファーマ):「非典型溶血性尿毒症症候群」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は5年10か月。薬効分類:6399

抗補体(C5)モノクローナル抗体製剤。エクリズマブ(製品名:ソリリス)の重鎖の4個の固有のアミノ酸(Y27H、S57H、M429L、N435S)を置換したヒト化モノクローナル抗体で、ソリリスと同様に補体(C5)に結合してその活性化を阻害する。

臨床上の位置づけはソリリスと同様だが、ユルトミリスは維持期に4週または8週ごとに1回の点滴静注で用いる。ソリリスは10kg未満を除き2週に1回で用いることから、ユルトミリスはより長く効くところが特徴のひとつとなる。

指定難病の非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)は極めて稀な全身性の慢性遺伝子疾患。補体制御異常による血栓性微小血管障害(TMA)によって引き起こされる継続的なリスクを伴う致死性の疾患で、小児だけでなく成人にも発症する。
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