アルフレッサＨＤ・荒川社長 メーカー仕切価アップと医療機関の経営悪化に伴う価格下落で営利大幅減
公開日時 2020/11/09 04:51
アルフレッサHDの荒川隆治社長は11月6日、2021年3月期第2四半期決算のオンライン説明会に臨み、メーカー仕切価のアップ（0.2ポイント＋α）や新型コロナの感染拡大による医療機関の経営悪化に伴う価格下げ圧力などで営業利益が大幅減になったと報告した。また5月の緊急事態宣言以降にＭＳのプロモーション活動が制限され、結果的にアローアンスを予定どおり得ることができなかったと説明。こちらも0.2ポイント＋αでマイナス要素として働いたと述べた。
同社の第2四半期連結業績は、売上高1兆2951億2600万円（前年同期比5.3％減）、売上総利益852億1400万円（16.6％減）、営業利益78億5800万円（65.7％減）。うち医療用医薬品等卸売事業は、売上高1兆1356億5400万円（5.4％減）、売上総利益603億8900万円（20.4％減）、営業利益59億7300万円（70.3％減）となった。業績説明した岸田誠一取締役は、「新型コロナの感染拡大による医療機関の外来受診の抑制や手術件数の減少、医療機関の経営悪化に伴い、想定を超える納入価格の下落が見られた」と指摘。また「前年同期に消費増税に伴う仮需が約2％程度あり、その反動減による減収も見られた」と強調した。一方、インフルエンザワクチンを中心にワクチン需要は拡大しているとも付け加えた。
なお、カテゴリー別の売上構成比は、新薬創出加算品が28.9％（前年同期比4.4％増）、特許品その他が43.7％（0.1％増）、長期収載品が15.3％（31.4％減）、後発品が12.1％（0.6％増）となった。9月時点での妥結率は96.7％だった。
◎「一番の理由はコロナによる得意先の経営圧迫」
荒川社長は、「コロナ禍の影響で医療機関の経営がひっ迫し、その関係で医薬品の価格に対して非常に厳しい要求があり一部対応せざるを得なかった」と指摘。卸間競争については、
「価格のマイナス影響は少なからずあったかもしれない」としながらも、「やはり一番の理由はコロナによる得意先の経営圧迫が一番マイナス影響になったと考えている」と強調した。
◎アルフレッサ・福神社長「コロナ影響のイレギュラーから脱し、通常に戻したい」
アルフレッサの福神雄介社長は、「得意先の価格要望に対し、応えなければいけないシチュエーションにおいては、価格が単に下落しただけでは業績が厳しくなるので、より多くの購入をお願いすることも行っている」と強調。「（新型コロナにより）結果として例年より競争激化したという表現が正しいか分からないが、そうした競争環境の変化を生んだことは間違いない。いち早くコロナの影響によるイレギュラーから脱し、通常に戻していくところは非常に重要だ」と述べた。
通期業績予測について荒川社長は、4月の薬価改定後の買控え後の売上増が１ポイント程度あったほか、昨年10月の消費増税に伴う薬価改定の仮需で昨年は2.1ポイントあったと説明。「その水膨れの部分を考慮すると、上期より改善傾向にある」と強調した。さらに新型コロナの影響にも絡めて、「この半年間のWithコロナの中で医療機関の受診抑制も改善している。その意味で下期は前同比で100％に近いものを売上として予測して計画を立てている」と述べた。
◎オンライン診療で新たなビジネスモデルの共同検討・共同開発を
荒川社長は中期経営計画の進捗状況を説明する中で、「新型コロナの影響もあり、非対面型、非接触型によるオンライン診療に対するニーズが高まっている」と述べ、今年7月に資本提携を発表したインティグリティ・ヘルスケアと共に、「オンライン診療システム・YaDoc（ヤードック）を活用した新しいビジネスモデルの共同検討・共同開発を行いたい」と意欲を示した。
一方、「19年1月の医薬品流通研究会の共同設立以来、ヤマトグループとの様々な協業の取り組みを進めている」と述べ、「オンライン診療で処方された処方薬について、調剤薬局から患者宅との間のラストワンマイルに関する配送サービスの共同研究や営業支援をともに協力して行う」と述べた。