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【World Topics】バイデン新大統領の医療政策

公開日時 2020/11/10 04:51
COVID19のため事前の不在者投票および郵送での投票が記録的な数となった2020年の大統領選挙は、11月7日午前、バイデン候補が現職のトランプ大統領を抑えて当確となり、第46代米国大統領への就任を決めた。まだ開票中ながら、下院は民主党が多数派を閉めることは確実とみられている。が、上院は、本稿を書いている11月8日段階では両党拮抗しているが、共和党が多数派を占めるのではないかと予想されている。

さて、今回も大きな争点となった医療政策であるが、大統領交代でまずはオバマケア(Affordable Care Act : ACA)への対応が大きく変わる。まずは、トランプ政権の4年間に徐々に確実に狭められ締め付けられてきたオバマケアを、再び大幅に拡大する方向に転ずることが期待されている。

COVID19パンデミックによる失業者等のオバマケア保険への加入機会の拡大(登録資格条件の緩和、登録期間の延長など)が最優先の課題となるだろう。具体的には、失業者および中小零細企業の救済のため、州政府独自にはオバマケア保険の給付事業を実施していない38州のための連邦政府直轄のオンライン医療保険販売サイトを緊急オープン(トランプ大統領は緊急対応を拒否)することが、すぐにも着手されるだろう。助成金の交付拡大、メディケイド加入資格要件の緩和などが次の緊急課題だ。

だが、先立つものは予算である。民主党が多数派を占める見込みとなった下院では、Nancy Pelosi議長がすでにバイデン大統領の不況対策等の緊急予算の審議・採択準備に入ったと報じられている。政権交代後の速やかな予算執行が期待されるところである。しかし、予想通り上院で共和党が多数議席を占めた場合には、ACAを後押しする立法措置は期待しにくい。実際、下院は、選挙以前のパンデミック渦中にACAを増強するための複数の法案を可決しているのであるが、それらの法案は上院では未だ審議されずに放置されたままであることを考えれば、楽観は許されないだろう。

課題はまだある。トランプ政権が推進してきた、見かけの保険料だけが安く、処方薬を含め、患者の自己負担のきわめて大きい医療保険政策への対策が必要だ。さらにはオバマケアの肝ともいうべき「(保険会社が)既往症を理由として医療保険加入を拒否することを禁止する」政策が骨抜きにされてきた問題もある。このままではCOVID19の罹患歴も既往症扱いされかねないケースもあるという。日本人には冗談のように聞こえる話だが、残念ながらジョークにならないのが米国である。

ACAに対する違憲立法審査請求問題もある。争点は「(合法居住者全員に)医療保険への加入義務を課すこと」および「妊娠中絶の容認(具体的には中絶費用の医療保険負担)」である。ACAをめぐる訴訟では、バイデン政権は、連邦政府ではあるが、トランプ政権とは180度立場を変えて(言わばオバマ政権時代に戻って)、ACA擁護に回って解決をめざすことになる。したがい、たとえば「カリフォルニア州対テキサス州」として知られている大型訴訟等すでにほぼ審議を終了しているケースでは、裁判所に対し、バイデン新政権はトランプ政権とは見解・立場を異にし、ACA推進に動くということを改めて表明することになるだろう。しかし、判事の人事に積極的であったトランプ大統領によって現在の米国最高裁はきわめて保守色の濃い陣容となっており、民主党にとって有利な状況とは言えない。

バイデン政権も前途は多難である。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
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