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河野行革担当相 原価計算方式にメス 「原価」の透明性求める 行政事業レビュー 年末に議論加速

公開日時 2020/11/16 04:52
政府の行政改革推進本部は11月15日、予算の無駄を検証する「秋の行政事業レビュー」で「薬価算定の透明性・適正性の確保」をテーマに取り上げた。有識者からは、新薬の薬価算定に際し、原価計算方式の開示度の低さに指摘が集中。公定価格であるにもかかわらず、製薬企業の“言い値”になっているとの批判が相次いだ。河野太郎行政改革推進担当相は、「薬価の決め方は、知的所有権を含めて難しい問題があることは理解するが、国民がある程度納得できる決め方はどうしたらいいか。海外の事例を調べるなど、今のやり方について不断の検討をすることは必要だ」と厚労省に検証を求めた。あわせて、薬価算定組織や費用対効果専門組織については委員情報や利益相反、議事録などの早期公開について対応を求め、同省もこれに応じた。行政事業レビューを踏まえた検証結果は、21年度の予算編成に反映することを目的としており、年末の予算編成に向けて、議論が加速することとなりそうだ。

行政事業レビューでは、薬価算定の透明性に焦点が当たった。類似薬のない新薬については、原価計算方式を用いて算出されることになる。抗がん剤・オプジーボをはじめとした、革新的新薬の多くが原価計算方式で算出され、高額薬剤も多数を占める。2018年4月から20年8月までの間に、原価計算方式で算出された医薬品の開示度をみると、「80%以上」が10成分、「50~80%」が7成分、「50%未満」が17成分となっている。このため、2018年度薬価制度改革では、開示度に応じて補正加算の加算率に差を設けるなど、開示に対するインセンティブも敷いてきた。一方で、外資系企業などで、国内に製剤化されたものを輸入している場合などの移転価格をめぐっては、中医協の場でもブラックボックスなどと指摘されてきた。

◎河野担当相「原価が分からないは原価算定方式にあらず」  "移転価格参照方式”という別の手法

厚労省保険局医療課の紀平哲也薬剤管理官は、「製造原価や製造経費の内訳をできるだけ明らかにしてほしいと(製薬企業側に)言っている」と説明。移転価格などについては、他国への移転価格を示してもらい、「日本への価格が極端に高くなっていないかどうかは確認している」などと説明した。これに対し、河野担当相は、「原価が出てきていないものは、移転価格参照方式という別の方式で計算されているのか。原価がわからなかったら原価算定方式にはならない」などと指摘する一幕もあった。

◎土居・慶応大教授 開示度の低さが影響する補正加算「生ぬるい加算係数では」

土居丈朗氏(慶應義塾大経済学部教授)は、原価計算方式で開示していない部分については、製薬企業がコストを上乗せできる余地もあるのではと指摘。現行の薬価制度では、開示度に応じて補正加算の加算率に差を設けているが、「生ぬるい加算係数になっているのではないか」と問題視した。これに対し、紀平薬剤管理官は、「原価計算方式そのものが包含する課題だ。今後も検討が必要だ」との考えを示した。ただ、開示度があげられないのであれば薬価算定ルールを厳しくすべきとの意見に対しては、「開示度を上げていただきたい。引き続き検討する」と応じた。

◎開示度低い品目「算定薬価を厳しく下げる仕組みが必要では」

取りまとめ評価者の土居氏は、「守秘義務を課すなどして、原価などの情報を開示していただき、適正に薬価を算定するのに資するような取り組みをこれから進めていただきたい」と述べた。また、開示度を高める努力だけでなく、「開示度が低い品目は、算定薬価をさらに厳しく下げる仕組みも必要ではないか」とも指摘。「薬価算定ルールの仕組みについては不断の見直しを行い、適切性を確保するよう努めていただきたい。専門的な議論だが、国民の健康水準を維持する、より良い医薬品をより安い価格で提供するために必要だ」と述べた。

◎薬価算定組織の委員名簿、利益相反、審議内容の早期公開求める意見多数


もう一つの議題となった、薬価の審議を行う薬価算定組織や医薬品の費用対効果評価を行う費用対効果専門組織の委員名簿の開示や利益相反、審議内容の公開については、早期公開を求める声が数多くあがった。これに対し、厚労省保険局の井内努医療課長は、「前向きに受け止めさせていただきたい。いずれにしても、相手があることなので、新たな体制を敷いていく中で、どういうことを考えておられるか、相手に聞いていく必要がある」など、“相手”との調整の必要性を強調した。

◎厚労省・井内医療課長 開示で欧米企業が「日本市場参入を控えることを懸念」


“相手”が誰か問う評価者に対して、井内医療課長は、「企業のこと。グローバル企業も多く、世界との比較もしている。我々は、日本で売るためには企業秘密に当たる情報をオープンにしないといけないことが足かせとなって、日本市場への参入を控えるという決断をされないか危惧している」と説明。「日本国民が最先端、最高の医療を受けられるようにしなければいかない。そういった前提のうえで、透明性を国民のために高めることは必要で、両方が成り立つような体制を検討したい」と述べた。

紀平薬剤管理官も、「海外の製薬団体からは薬価の引下げのようなルール変更が続いているということで、このままでは日本への参入、医薬品への提供が難しくなると言われている」などと、欧米製薬団体の声を代弁するような発言もあった。

これに対し、佐藤主光氏(一橋大国際・公共政策大学院教授)は、「製薬企業はボランティアではなく、ビジネスをやっている。日本市場を目指している外国企業になぜ、そこまで忖度しなくてはいけないのか」と指摘。さらに、「薬の高騰は、世界的な課題でもある。各国でも協調という意味でも対応できること。相手があると言っているのは、最後に相手にしているのは製薬企業ではなく、国民だ。その目線を忘れない方がいい」と釘を刺した。

◎河野担当相 薬の価格高騰は「日本だけの問題じゃない」 G7、G20での対応も視野


河野担当相は、取りまとめ発言で、「医療費がここまで大きくなり、高齢化に伴って医療費が大きくなるなかで、どう適正化するかは国民の大きな関心事だ」と指摘した。そのうえで、情報公開については、「厚労省には対応をしっかりお願いしたい」と述べた。原価計算方式を含めた薬価については、「薬価の決め方は、知的所有権を含めて難しい問題があるのは理解するが、国民がある程度納得できる決め方はどうしたらいいか。海外の事例を調べるなど、今のやり方について不断の検討をするということは必要だ」と述べた。

さらに河野担当相は、今後原価計算方式で算定される高額薬剤が登場することを見据え、「これから出てくる薬の価格が高くなってくるのは日本だけの問題ではない。国際的にこういうことをどうするのか。薬の開発コストが大きくなっていくことにG7,G20なりで対応する余地があるのかをスタートしないといけない。国際協調も考えながら今後試行錯誤していただきたい」との見解を示した。
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