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21年度薬価改定 薬価乖離率「5~7%台」以上の品目対象で詰めの調整 医療費4000億円抑制へ

公開日時 2020/12/15 04:53
2021年度薬価改定をめぐる政府内での調整が大詰めを迎えている。財務省と厚労省の調整は薬価の乖離率が「5~7%台」以上の品目を対象とする方向で詰めの調整に入った。医療費ベースで4000億円規模(国費ベースで1000億円)を抑制する方向だ。薬価調査(20年9月実施)での平均乖離率は8.0%だった。最終段階の調整は平均乖離率を下回る品目をどの程度対象範囲に含めるかで調整が進められている。一方で、医療関係団体や製薬業界は、「乖離率の2.0倍以上(16%以上)」とすることを依然として強く主張する。コロナ禍で国民負担の軽減の重要性が増すなかで、政府内でのギリギリの調整が続いている。

2020年度第3次補正予算案の閣議決定を15日に控えるなか、中医協は前日の14日、持ち回りで総会を開き、6歳未満乳幼児の外来診療の初再診について、医療機関・薬局などの診療報酬を上乗せする特例措置を決定した(関連記事)。診療側が最優先するのは、新型コロナウイルスで影響を受ける地域医療を面で支える医療機関・薬局の支援だ。「医科」で100点、「調剤」で12点に相当する診療報酬を特例的に算定できる。このための必要財源もそれなりに膨れ上がる。

12月9日の中医協薬価専門部会で診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「医療提供者側としては、現在最も優先されるべきは、新型コロナウイルス感染症に直接対峙している医療機関や、そうした医療機関を面で支える地域の医療機関への支援だ。そういった最優先事項への対応策が議論、検討されないままで、医療機関にとってはさらなる痛みでしかない薬価改定について議論を続けることには、いま現在も奮闘する医療従事者全ての方に大変申し訳ないという気持ちだ」との思いをぶつけた。

政府は追加的経済対策で、「新型コロナウイルス感染症の拡大防止策」を柱のひとつに位置付け、医療機関の支援に予算を割いた。こうした議論が閣議決定でひと段落付き、“医療の質向上”にも一定の道筋がつくなか、“国民の負担軽減”に主眼が置かれる薬価改定に焦点が移る。

◎井内医療課長 平均乖離率0.5倍、0.25倍などを改定対象に加えるべきとの意見も


この日の夕刻、中医協薬価専門部会が急遽、開かれた。会議冒頭で厚労省保険局医療課の井内努課長は、これまでの診療・支払各側の意見を集約した。「中医協では国民負担の軽減の観点、コロナを踏まえた経営影響の観点から、今回は例年と異なる状況であることから対象品目を限定すべきであり、新型コロナに対応する医療機関等の経営への影響を最小限にするためにも、平均乖離率の2倍以上にすべきとの意見をいただいた。4大臣合意にある価格乖離の大きな品目に対する捉え方の違い方を問題視し、平均乖離率の0.5倍、0.25倍など1倍以下の品目についても改定対象に加えるべきと考えるとの意見もいただいている」と総括する。厚労省は中医協に、医療費への影響として、平均乖離率の「2倍以上」、「1.5倍以上」、「1.2倍以上」、「1倍超」の試算を提示するにとどめてきたが、初めて、平均乖離率未満の品目を対象とする可能性に中医協の場で言及した格好だ。

中間年改定の対象範囲については、2016年末に4大臣合意された「薬価制度抜本改革に向けた基本方針」では、「価格乖離の大きな品目」と明記。17年に決定された薬価制度抜本改革骨子では、「国民負担軽減の観点から、できる限り広くすることが適当とする」と明記されている。

◎支払側・幸野委員「乖離率が8%より低い5%以上でもいい」

議論の焦点が、対象範囲とされる“価格乖離の大きな品目”の捉え方となるなかで、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「価格乖離が大きいものというのは、平均乖離率8%以上とする根拠はない」と指摘。「仮に率とするにしても、乖離率が8%より低い5%以上でもいいし、本改定は2%以上の品目が対象になる。そのため、平均乖離率の”0.5倍”、”0.25倍”の医療費への影響についての試算も出していただきたいと要望した。8%を基準に考える理屈は何もないことを強調する」と述べた。また、平均乖離率の2倍以上などと乖離率が開くほど、対象のほとんどが価格の安い後発品となり、新薬はほとんど対象とならないことを問題視。「偏っており、中間年改定の在り方として妥当なのか」と懸念を示した。

一方、診療側の松本委員は、「新型コロナに対応する医療機関等への影響を最小限にするためにも医療への影響を最小限にするためにも、平均乖離率の2倍以上にすべきと改めて申し上げる」と述べた。

◎赤名専門委員「対象範囲は平均乖離より上の範囲で検討すべきもの」

この日は業界の意見陳述ではないが、会議の最後に赤名正臣氏が専門委員の立場から発言し、「対象範囲は、平均乖離よりも上の範囲で検討すべきものと認識している。平均乖離率の2倍以上とすることがきわめて妥当だ」などと主張した。

赤名氏は、「個々の医薬品が価値、特性に応じて様々な環境にあるなかで、平等かつ合理的な指標は率を当然用いるべきだ」との見解を強調。「現行の薬価算定ルールでも基礎的医薬品においてはすべての製品の平均乖離率が用いられている。こうしたなかで、対象範囲を平均乖離率以下に下げることは、4大臣合意の内容、国民負担の軽減と医療の質向上の両立といった抜本改革の主旨から大きく逸脱していると言わざるを得ず、企業の予見可能性からも極めて大きな問題だ」と述べた。なお、2016年末の4大臣合意では、「市場実勢価格を適時に薬価に反映して国民負担を抑制するため、全品を対象に、毎年薬価調査を行い、その結果に基づき薬価改定を行う」ことが明記されている。
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