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塩野義 自社創製のDP1受容体拮抗薬 新型コロナ重症化抑制に係る権利を米社に導出

公開日時 2021/01/27 04:50
塩野義製薬は1月26日、自社創製のDP1受容体拮抗薬「S-555739」(開発コード)について、米国と欧州における新型コロナウイルス感染症の重症化抑制に係る開発・販売権を米バイオエイジ社に導出する契約を締結したと発表した。バイオエイジの開発コードは「BGE-175」となる(以下、「S-555739」と記載)。バイオエイジは2021年上期に新型コロナ患者を対象とした臨床第2相試験を開始し、22年初旬に結果を公表する計画。S-555739の日本での新型コロナの重要化抑制の開発について、塩野義は本誌取材に、「バイオエイジによる試験結果が良好であれば、これを活用して国内申請する可能性もある」と説明した。

塩野義は、今回の契約締結により、契約一時金や今後の開発進展に応じたマイルストンを得るが、具体的な金額は開示していない。バイオエイジはS-555739の新型コロナ重症化抑制の欧米での開発・販売権のほか、新型コロナ以外の感染症の重症化抑制など他の疾患の適応追加に対する独占的交渉権も得た。

バイオエイジが実施した独自のAIによるオミクス解析(生体を構成しているさまざまな分子を網羅的に調べること)から、加齢に伴う免疫機能低下を改善する創薬ターゲットとして、DP1受容体が同定された。また、アイオワ大学で実施されたSARSコロナウイルス(SARS-CoV)を感染させた加齢マウスモデルに既存のDP1受容体拮抗薬を投与した試験では、マウスの死亡率の改善とともに、肺内のウイルス量の有意な低下が報告された。これらを踏まえてS-555739のドラッグリポジショニングによる高齢者の免疫亢進薬としての開発期待から、今回の契約締結に至った。

S-555739は塩野義が創製したDP1受容体拮抗薬。アレルギー性鼻炎を対象疾患に開発していたが、この開発は現在中止している。バイオエイジが着目したS-555739の免疫亢進の機序や、欧米での新型コロナの重症患者の多さから、塩野義はS-555739の欧米での新型コロナに係る権利を導出することにした。

塩野義は、「感染症薬のリーディングカンパニーとして、新型コロナウイルス感染症の早期終息による社会の安心・安全の回復に貢献するために、新規の治療薬、ワクチン等の開発に加えて既存の化合物の価値を最大化し、より多くの患者さんにヘルスケアソリューションを提供できるよう、外部パートナーとの連携を含めた取り組みを強化していく」とコメントしている。
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