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小林化工・小林社長 総責務めた2005年当時も承認書に逸脱した製造の事実認める 経営責任問われ辞任表明

公開日時 2021/02/10 04:52
過去最長116日間の業務停止命令を受けた小林化工の小林広幸代表取締役は2月9日、福井県あわら市の本社で記者会見し、自身が総括製造販売責任者(総責)を務めていた2005年以降、20年近くにわたり、承認書に逸脱した製造がおこなわれていた事実を認識していたことを認めた。折しもこの期間は後発品使用促進の風が吹き、増産体制への投資を重ねた時期とも重なる。小林社長は会見で、先発品メーカーなどとの販路を拡大してきたことにも触れ、「医薬品の安定供給を理由に、問題の是正を後回しにしていた結果」と振り返った。今回の行政処分を受けた経営責任について小林社長は、「私の経営者としての責任は極めて大きく、しかるべきタイミングで、職を辞することを考えている」と引責辞任の意向を示した。

今回の問題は、経口抗真菌剤イトラコナゾール錠50「MEEK」(ロット番号:T0EG08)に製造工程で睡眠導入剤が混入し、死亡例を含む多数の健康被害が出たことで発覚した。これを受けて厚労省、PMDA、福井県が行った立入検査からは、承認された製造方法について、必要な検証や、行政への手続きを行わずに変更し、承認外手順書も存在していた。また、立ち入り検査用に虚偽の記録(二重帳簿)も作成していた。福井県によると、二重帳簿を作成していたのは約390品目、承認されていない手順で製造していた品目は約180品目にのぼる。また、1970年代後半以降、一部項目については製品試験を実施していなかった。

◎「販路の拡大を私自身が積極的に行っていた」 品質より安定供給を選択 大きな代償


会見で小林社長は、自身が総責を務めた2005年から、こうした問題があったことを認識していたと説明した。2005年には薬事法(現・薬機法)が改正され、製造販売業が導入され、製造方法の記載充実が求められた。この際の一斉点検で、「正直相当な品目でそういう齟齬が見つかった。簡単に一部変更承認申請(一変申請)や軽微な変更で解決できないような、後で添加をしたり、違う添加物を加えたり、その程度のものが結構あった。重大な齟齬があった」と小林社長は認めた。

当然是正が求められるところだが、小林社長は、「今は、製造販売を中止するという判断をすべきだったと考えている。当時は、医療用医薬品は患者の生命に直結する、市場から一気に500品目の供給をやめるということはできないと判断をした」と明かした。「Meiji Seikaファルマやエーザイなど、販路の拡大を私自身が積極的に行っていた」とも話し、政府の推し進める後発品使用促進の波に乗る収益モデルを描いていたことも示唆した。一方で、“重大な齟齬”があると認めたものについては、すぐに対応するのではなく、「数年かけて承認整理をしていこう」と判断したという。

◎承認書と製造実態の整合性 化血研問題で確認も「大きな齟齬はないとの認識があった」


現在までに至るまでに、改善するチャンスは他にもあった。2016年には、化血研が血漿分画製剤を承認書と異なる方法で製造し、110日間の業務停止命令を受けている。この際にも再度、製造販売承認書と製造実態の整合性についての再点検が求められた。この時点でも点検は行ったというが、「それまでに相当な品目の承認整理をしており、大きな齟齬はないという認識を当時はあった。一変申請や軽微変更の届出で済むと思っていた」と話した。

自身が社長就任以降は、「経営の方や対外的な部分、財務管理、将来的なストラテジーを行っていて工場に入っていなかった。ガバナンスは不足していた」とも述べた。イトラコナゾールの事例についても、「全く知らなかった」とした。

◎現場は出荷に間に合わせるための対応が常態化

ここ数年の後発品市場は政府の数量シェア80%目標とともに存在感を増していた。当然、製造販売業として各社は品質と安定供給に注力しているが、小林社長は、「近年、後発医薬品の需要が急激に伸長した結果、増産体制を構築する過程で、作業量が急増し、現場においては製品の供給に支障をきたさないように、法令やルールよりも作業効率を優先させてしまった」などと述べた。「各部門の社員が日々の業務に追われ、会社が社員に対して十分な法令遵守の教育や訓練を実施することなく、現場では出荷に間に合わせるための対応がなかば常態化していた」とも話した。

製造販売業としての責務よりも営利を優先させたのではないか問われた小林社長は、「売上や利益だけを追求したのではなく、ジェネリックが社会的にも、欧米並みに必要性が叫ばれているなかで、しっかり取り認められるジェネリックメーカーとして、きちんと供給しなければダメだとやってきた。売上、利益が全く頭になかったかというと、やはり企業なので毎年数値目標は設定し、売上を高めようということでやっていたということも事実だ」と述べた。

◎GE薬協の「除名」に小林社長 「当然のことだと受け止めている」


小林化工の問題は、医薬品への信頼を失墜させ、製薬業界に大きな禍根を残した。特に、後発品の使用促進が進むなかで、業界をあげて品質と安定供給に取り組むなかで起きた事態の影響は計り知れない。

小林化工が加盟する日本ジェネリック製薬協会(JGA)はこの日、「除名」という最も重い処分を下した。小林社長は、「各社がジェネリックに対して使命感を持っている。当社がこういった問題を起こして各社に大変なご迷惑をおかけしたことは深く反省している。JGAからも除名となった。これは、当然のことだと受け止めている」と述べた。


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