武田薬品 クローン病成人患者の肛門周囲複雑瘻孔治療製品・Darvadstrocelを国内申請
公開日時 2021/02/12 04:50
武田薬品は2月10日、非活動期/軽度活動期のクローン病成人患者における肛門周囲複雑瘻孔治療製品・Darvadstrocelを日本で承認申請したと発表した。厚労省から希少疾病用再生医療等製品に指定されている。
同社の廣田直美・日本開発センター所長は、クローン病に伴う肛門周囲複雑瘻孔は患者にとって多大な負担となり、QOLを著しく低下させる深刻な合併症だとした上で、「クローン病に伴う肛門周囲複雑瘻孔を有する日本の成人患者さんに、この新たな細胞治療という治療オプションをお届けするための第一歩を踏み出せたことを誇りに思う」とコメントした。
Darvadstrocelは健康成人の脂肪組織から抽出した、同種異系(=ドナー由来)の増殖させた脂肪組織由来幹細胞(eASC)の懸濁液。投与前に瘻孔の処置が必要となる。欧州では2018年5月に、非活動期/軽度活動期の成人クローン病患者において、既存治療薬または生物学的製剤による治療を少なくとも1回以上実施したにもかかわらず効果不十分な肛門周囲複雑瘻孔への治療製品として承認され、製品名「Alofisel」として販売中。米国では19年に再生医療先端治療(RMAT)の指定を受けている。
クローン病は消化管の慢性炎症性疾患で、国内の推定患者数は7万人とされる。クローン病患者は肛門周囲複雑瘻孔を発症することが多く、強い痛みや膿瘍感染症、便失禁などを引き起こすことがある。薬物療法や外科的手処置の進歩にもかかわらず、現在もなお治療困難な疾患で、患者のQOLに深刻な影響を及ぼしている。
【訂正】記事タイトル及び下線部の表記に誤りがありました。訂正しました。(2月12日11時00分)