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武田薬品・堀井オンコロジー事業部長 6製品+20以上の適応拡大で成長率「10%中盤」の確保に挑戦

公開日時 2021/03/04 04:52
武田薬品グローバルオンコロジービジネスユニット(GOBU)の堀井貴史・日本オンコロジー事業部長は3月3日、本誌とのインタビューに応じ、2025年度までに「6製品+20以上の適応追加」で成長率「10%中盤」を確保する方針を明言した。国内オンコロジー市場全体の成長率は約5%だという。これに対し武田薬品は市場の平均成長率の「2倍~3倍」というミッションに挑戦する。これを支えるのが、チロシンキナーゼ阻害剤アルンブリグ、経口PARP阻害薬ゼジューラ、キナーゼ阻害剤カボメティクスなど同社の新薬群だ。これら製品の情報提供を担うMRも、これまでのエリア型から、血液がんと肺がんを主体とするチームと、固形腫瘍主体の2チームに再編。AIを導入したCRMシステムなどを活用したオムニチャネル戦略に注力する。

2015年4月に発足した日本オンコロジー事業部の初代事業部長は三好集氏。2020年1月からは堀井貴史氏が2代目として事業部長を引き継いだ。堀井氏は2009年に武田薬品にキャリア入社した。入社直後は事業戦略部に配属され、その後は海外勤務となり2019年末までの9年間を海外で過ごした。直近は中近東アフリカ地域の統括責任者を歴任するなど、武田薬品が目指すグローバル人材のトップランナー的な存在でもある。海外赴任中はインダストリーリーダーシップとして業界団体の活動にも参加。世界各国の患者や制度などに触れる機会もあったという。堀井事業部長は、「各国の患者や国のために役立ちたいという取り組みに参加できたことは非常に良い経験となった。私自身もこれを踏まえて日本に貢献したいと考えている」と語ってくれた。

◎垣根を設けず“ワン・オンコロジー”で


堀井事業部長が日本オンコロジー事業部長に就任して真っ先に取り組んだことがある。事業部にはリーダーシップチームがある。そのチームには、コマーシャルエクセレンス、マーケティング、メディカルアフェアーズ、教育、ペイシェントアドボカシーなどのメンバーに加え、開発、薬事、医療政策、流通・地域アクセスなどのメンバーを交え、月2回、経営チームの一員として一緒に議論する機会を持っている。堀井事業部長は、「そこがまさに、垣根を設けず、ワン・オンコロジーということでやっていくことが大きな戦略であり、チームのマインドセットになってきていると思う」と強調してくれた。組織こそが将来の成長を牽引する。専門性が求められるだけに、チームにはMDやPhDも参画し、オンコロジー領域という専門性にも強みを発揮しているという。

◎肝細胞がん、卵巣がんは年率10%成長が見込める

日本のオンコロジー市場は年率5%の成長が見込まれている。これに対し、武田薬品が注力する肝細胞がんの市場は年率11%成長、卵巣がんなど婦人科がんは10.5%の成長が見込める。「これらがん種は治療の選択肢が少なく、アンメッドメディカルニーズが高いことの裏返しと理解している」と語る堀井事業部長。卵巣がんに対する製造販売承認を取得した経口PARP阻害薬ゼジューラや、腎細胞がん(RCC)/肝細胞がん(HCC)治療薬カボメティクスが2025年までのオンコロジー事業部の成長を牽引する新薬となることは間違いない。これに加えてチロシンキナーゼ阻害剤アルンブリグや、高リスク骨髄異形成症候群(HR-MDS)に対するpevonedistatなども控えている。堀井事業部長も「2025年に向けた二桁%の成長を今後も続けていくことを見込んでいる。10%中盤くらいの成長は確実に確保したいと考えている」と強気の構えだ。「日本のオンコロジー全体の市場成長は約5%なので、そこの2倍~3倍の成長率を保っていくことが日本における事業の大きな目標となっている」とも語ってくれた。

◎タケダ・オンコロジーMR「きっちりとした専門知識。我々の重要なポイントだ」

こうした事業を成功に導く役割をMRが担うことになる。オンコロジー事業部もまた、デジタルを活用したトランスフォーメーションを推進している。デジタル人材の育成としては、43人の「デジタルリード」を配置しており、チーム内でのデジタル活用の牽引役としての役割を担っている。また、国家試験「ITパスポート」の合格者も78人に及ぶ。オンコロジー事業部が求めるMR像について堀井事業部長は、「タケダMRにはきっちりとした専門知識が備わっているところが、我々の重要なポイントだ。これからは個別化医療が推進され、治療が細分化し、複雑化する。その中でこそ、我々の専門性が問われるのではないかと思う。ここに一番のポイントとして力を入れている」と明かしてくれた。

◎情報提供活動 デジタルとフィジカルな部分を有機的に結び付ける仕組み構築へ


顧客への情報提供活動では、デジタルを活用したトランスフォーメーションの推進にも挑戦している。堀井事業部長は、「コロナ前はどちらかというと、患者中心のワン・ペーシェント・ディテーリングを行ってきた。ただ、コロナによって医師だけでなくチーム医療に携わるメンバーの働き方も変わってきている。そこをきっちりととらまえることが大切だ」と強調する。その上で、Face to Face、リモート、動画などを顧客のニーズに応じて提供すると述べ、「一番いい形で情報にアクセスできるよう充実させるために、そこにAIを使いたいと思う」と語った。具体的なイメージとしては、IDやPassを持った医師がタケダ・メディカルサイトをアクセスすることを想定し、デジタルコンテンツの閲覧やMRからのフォローアップなど、「デジタルとフィジカルな部分を有機的に結び付けていく仕組みを仕込んでいるところ」と指摘し、「まずはアジャイル開発プロセスの中で、使って頂き、反応を見ながら速いタイムラインでチューンしていくことを考えている」と明かしてくれた。

◎RWD、ePRO、安全性ダッシュボードなど含むオムニチャネル戦略実現へ

このほかMR以外の情報提供については、メディカルはRWD(リアルワールドデータ/エビデンス)、開発ではePRO(電子的ペイシェントレポートアウトカム)などの準備を進めている。さらにオンコロジー領域では副作用管理も非常に大事として、安全性ダッシュボードに関するプラットフォームを準備するなど、部門横断的なオムニチャネル戦略を推進するとした。



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