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GE薬協・澤井会長 品質担保に向けた再点検「ジェネリックメーカーの矜持をもって愚直に取り組む」

公開日時 2021/03/31 04:51
日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)の澤井光郎会長は3月30日、相次ぐジェネリックメーカーの不祥事を受けて会見に臨み、「私たちができることは愚直に、しっかりと再点検し、各社が品質を担保した製品以外は市場に流通させないことだ。それを実現させるために各社が、ジェネリックメーカーの矜持をもって取り組むしかないと考えている」と述べた。承認書と製造実態に齟齬がないか、GE薬協内で策定したチェックリストや手順書を用いて再点検をすることなどを会員各社に要請したという。ただ、ガバナンスやコンプライアンスの観点からの取り組みは、相談窓口の設置などにとどまり、実効性に課題を残した。

◎チェックリストや手順書用いた統一手法で再点検を要請

小林化工と日医工が承認書と異なる製造方法で製造し、業務停止命令を受けるなかで、GE薬協は承認書と実際の製造方法に齟齬がないか、会員各社に自主点検を繰り返し、要請してきた。また、信頼性を確保する観点からGE薬協で統一的な手法での点検ができるよう、薬制委員会運営幹事会と外部専門家により手順書とチェックリストの策定に向けて検討を進めてきた。

3月25日に開いた総括製造販売責任者(総責)会議では、策定したチェックリストなどを参照したうえで、各社でスケジュールを立案し、自主点検を実施することを通知したという。結果については、各社のHPで公表するなどして見える化も進める。各社で品目数が異なることなどから期限は設けないが、年内を一つの目途とする考え。澤井会長は、「法令で本来、各社がしっかりやっていなければならないこと。同じ目線で再点検を自らやるということが重要なポイントだ」と述べた。

◎ガバナンスやコンプライアンス 協会内に相談窓口開設も実効性に課題

患者や医療従事者、保険者から2社の問題ではなく、業界全体との指摘も相次ぐなかで、業界としてのガバナンス強化を求める声も強まっている。ただ、この日示したコンプライアンスやガバナンスについての取り組みは、各社での内部通報制度の確立のほか、GMPについて協会による相談体制の確立することなどにとどまった。佐藤岳幸理事長は、「個社の対応だけでは不十分だ。協会の相談体制の確立から始める。経営層への働きかけ、相談体制の確立をやりながらステップアップをするのが現実的だ」と述べた。

企業内での取り組みだけでは難しさも残るなかで、厚労省内などからは、第三者を交えた組織委員会を設立するなど、業界をあげた取り組みの必要性を指摘する声があがっている。ただ、この日の会見では、協会独自の取り組みを示すには至らなかった。

◎取り組みを会員以外の企業に呼びかけ「安心してGEを服用できる環境作りに貢献」

澤井会長は現状について、「日医工や小林化工の問題は現実に起きた事実。ジェネリック医薬品の信頼はこれまでと違って大きく下がってしまった。“私たちは大丈夫です”と言っても信じていただけない状況になっている」と危機感を示した。

実効性のある取り組みを求められるが、澤井会長は「日医工の出された報告書を見ると非常に具体的に再発防止策等が記載されている。日医工の報告書を参考事例として取り組めば、再発防止に実効性がある」との考えを示した。そのうえで、「個社の問題という捉え方ではなく、可能性がゼロということを証明するためにいま一度取り組もうということ。決して他人事という捉え方をしているわけではない」と強調した。

こうした取り組みを協会会員以外のジェネリックメーカーにも呼びかける考えも示した。澤井会長は、「GE薬協の会員は39社だが、供給するジェネリックのうち、数量ベースで80%は協会会員会社で担っている。仮に我々がきちんとしたとしても、残りの2割は手つかずの状況かもしれない。そういう意味で我々が取り組んでいることを残りの会社にも取り組んでいただき、その結果、市場に流通するジェネリック品質が担保されたものとなることが協会の望むことだ。患者、医療関係者が安心してジェネリックを服用できる環境作りに貢献したいという想いだ」と述べた。

◎品質確保に向けた適切な資源配分 経営陣でも2割が「一部実施」と回答 人員不足指摘する声も

この日は、会員39社(回答は、製造業を含む64)を対象に実施したアンケート調査の結果も公表された。「品質方針および品質目標を達成するために必要な資源は配分されているか」尋ねた。

「実施していない」との回答は、経営陣ではなかったが、管理職で1.6%、非管理職で3.1%だった。「一部実施」との回答は、経営陣20.3%、管理職29.7%、非管理職26.6%となった。「概ね実施」は経営陣40.6%、管理職48.4%、非管理職43.8%。「積極的に実施」は経営陣39.1%、管理職20.3%、非管理職26.6%で、管理職や非管理職では役員よりも低率となった。

役員のコメントで、「必要十分ではない」と認識するコメントもあったという。また、非管理職からは人員不足を指摘する声や、管理職からは配分が実態に追いついていないことを指摘する声もあったという。こうした実態については、4月中旬に実施する経営陣向けの研修会で、経営陣に適切な資源配分の必要性などを訴えていく考えだ。

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