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財務省主計局 22年度改定「医療提供体制の改革なくして診療報酬改定なし」 かかりつけ医は法制化に言及

公開日時 2021/04/16 04:53
財務省主計局は4月15日の財政制度等審議会財政制度分科会で、2022年度診療報酬改定の議論を控えて、「医療提供体制の改革なくして診療報酬改定なし」との見解を表明した。新型コロナウイルス感染症をきっかけに、医療機関相互の役割分担や連携体制の強化など、「効率的で質の高い医療提供体制の整備」の必要性が浮き彫りになったと強調。病院数の8割、病床数の7割を占める民間病院の行動変容を促す観点からも、診療報酬の有効活用が必要だとした。また、緩やかなゲートキーパー機能を備える、かかりつけ医の推進が必要だと指摘。「診療所におけるかかりつけ医機能を法制上明確化(制度化)する」ことが必要だと主張した。

◎地域医療構想の実現など三位一体改革で効率的な医療提供体制改革を

この日の財政制度分科会で主計局は、効率的な医療提供体制への改革の必要性を強調した。新型コロナの感染が拡大するなかで、人口当たりの病院数や病床数は多く、感染者数が英米よりも少ないなかで、医療提供体制がひっ迫した。こうしたなかで、課題が浮き彫りになったと指摘。病床当たりの医療従事者が少ない医療機関では、新型コロナの受け入れ実績が少ないことなどをあげ、「医療資源が散在し、手薄な人的配置となっている我が国の医療提供体制の脆弱さの一端が明らかになっている」とした。

少子高齢化が進むなかで、医療従事者を増加させるという選択肢に限界があることも指摘。医療機関の役割分担の明確化や連携体制の構築などにより、人的資源の効果的な配置・活用が必要だと指摘した。そのうえで、「地域医療構想の実現、医療従事者の働き方改革、医師偏在対策の三位一体での推進が重要であり、時計の針を戻すのではなく、進めることが求められている」と強調した。

◎民間病院の対応がカギを握る「診療報酬の役割がかじ取り役として極めて重要」


特に、病院数の8割、病床数で7割を占める民間病院の対応がカギを握るとして、「民間の経営原理に働きかけることができる診療報酬の役割がかじ取り役として極めて重要」とした。一方で、旧7対1に相当する急性期一般入院料1の算定病床数の適正化が進んでいないことなどから、「医療資源が散在する“低密度医療”の現状の改革につながらなければ、財政資源としても散財となりかねないことから、あり方の真摯な見直しが必要」と指摘した。精神病床についても、病床数を押し上げていることを指摘したうえで、「地域医療構想と一層連携することが必要」と提案した。

2020年度改定では、消費税増収分を活用し、救急病院における働き方改革を推進する「地域医療体制確保加算」(入院初日、520点)が新設された。財務省主計局は、「診療報酬増が保険料負担・患者負担の増加をもたらすことを踏まえれば、改革を通じてその効果が国民に還元されるものでなければならない」と強調。21年度には、消費増成分が小児の外来診療について特例措置に充てられているが、「あくまで時限的なもの」と強調した。

◎新型コロナ影響で診療報酬の概算払いを提案

新型コロナの感染拡大の影響で、医療機関経営が厳しさを増すなかで、補助金などを手当てしていることから、「マクロとしては、新型コロナ患者に対応する医療機関の減収を補い得る額が措置されている」との見方を示した。そのうえで、個別医療機関で対応が必要なケースもあると指摘。「診療報酬の不足は診療報酬で補うことが自然」として、前年同月や、新型コロナ感染拡大前の前前年同月を水準とした診療報酬の概算払いなどを提案した。

◎医療機関の事業報告書をデータベース化 経営状況を迅速に把握


また、医療機関経営への影響を迅速にかつ広範に把握するために、都道府県に提出されている医療法人の事業報告書などについて、データベースとしての整備を行うことなどして、“見える化”を推進することを提案した。現在は2年に1度実施される医療経済実態調査で経営状況が把握されるが、診療報酬改定の前提とされている医療経済実態調査と比べても、有意義な取組みであり、可及的速やかに実現すべき」としている。なお、社会福祉法人では、99%の法人がWAMNET(社会福祉法人の財務諸表等電子開示システム)へのアップロードによる情報公開を行っている。

◎“給付”の議論は待ったなし「中長期の給付水準の規律も必要」


2022年度は、団塊世代が後期高齢者に入り始めるなかで、社会保障制度における「受益(給付)と負担」の議論の重要性が増している。日本の現状を「受益(給付)と負担のバランスが不均衡の中福祉、低負担というべき状況になっている」と指摘。今後、高齢化で1人当たり医療費などの上昇が見込まれるなかで、社会保障制度の持続可能性を確保するためには、「改革が急務」とした。

特に、消費増税など、負担の議論が先行するなかで、財務省主計局は、“給付”の議論は待ったなしの状況となっている。社会保障関係費については、「公費(国費)のみを規律しており、給付費そのものを規律してはいない」と指摘した。公費(国費)の規律の継続・強化にとどまらず、「保険料負担分も含めた中長期の給付水準の規律も必要」とした。

◎「15年来の医療費適正化の銑鉄からの立て直しが求められる」 2005年の諮問会議引用


医療分野については、2005年の経済財政諮問会議で、「(経済規模に対応した)マクロの政策目標の設定が目指された」と説明した。一方で、厚労省は生活習慣病の予防の徹底、平均在院日数の短縮など「ミクロの施策による政策目標を主張した」とした。

平均在院日数については、2025年度に3.8兆円の医療費適正化が可能とされていたが、「相対的に病床数や病床利用率が減少していないため、医療費適正化効果は限定的と考えられ、実際、入院医療費のGDPは増嵩している」と説明。医療給付費/GDP比は7.25%で、厚労省の試算した2025年度見通しをすでに突破していると指摘し、「15年来の医療費適正化の銑鉄からの立て直しが求められている」と断言した。
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