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薬食審・第二部会 新薬5製品を審議、承認了承 エーザイの抗がん剤タズベリク錠など

公開日時 2021/05/28 18:30
厚生労働省の薬食審・医薬品第二部会は5月28日、新薬5製品の承認可否を審議し、いずれも承認することを了承した。この中にはエーザイの新規の抗がん剤タズベリク錠(一般名:タゼメトスタット臭化水素酸塩)や米HUYA Bioscience International(HUYABIO)日本法人が承認申請し、承認取得後はMeiji Seikaファルマが独占販売する抗がん剤ハイヤスタ錠(ツシジノスタット)が含まれる。

この日の5つの審議品目、2つの報告品目とも、6月に正式承認される見込み。

◎新型コロナワクチン「コミナティ」 12歳以上接種可などを報告 添付文書改訂へ

この日の部会では、ファイザーの新型コロナウイルスワクチン「コミナティ筋注」(一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)、有効成分名:トジナメラン)について、▽接種対象年齢を「12歳以上の者」にする▽2~8℃の冷蔵庫で1か月間保管できる旨を追記する――ことが報告され、添付文書を改訂することが確認された。12歳以上も、既承認の「16歳以上の者」と同様の用法・用量で使用する。いずれも2月の特例承認時になかったデータで、ファイザーが追加データを提出していた。

今回、海外データだけで、接種対象年齢を「12歳以上」に引き下げることにした。この点について厚労省は、▽「16歳以上の者」で特例承認した際は、海外の大人のデータと日本の大人のデータの成績にて、同等と考えて差し支えないと評価した▽「12~15歳」の海外データは、海外の大人と12~15歳で同等とのデータになっている――ことから、日本人でも12~15歳と大人で同等と考えて良いと判断したと説明した。

今後、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で、日本でもコミナティを12歳から接種することにするか、また接種するとした場合にいつから、どのような順番や方法で接種するかなどを検討する。

【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)

タズベリク錠200mg(タゼメトスタット臭化水素酸塩、エーザイ):「再発又は難治性のEZH2遺伝子変異陽性の濾胞性リンパ腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

経口EZH2 阻害薬。エピジェネティクス関連タンパク質群のうち、ヒストンメチル基転移酵素のひとつであり、発がんプロセスに関与するEZH2を選択的に阻害することで、がん関連遺伝子の発現を制御し、がん細胞の増殖を抑制すると考えられている。

通常、成人にはタゼメトスタットとして1回800mgを1日2回経口投与で用いる。患者の状態で適宜減量する。EZH2遺伝子変異陽性を判定するためコンパニオン診断薬を用いる。

海外では21年2月時点で、米国で承認済。

ルタテラ静注(ルテチウムオキソドトレオチド、富士フイルム富山化学):「ソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。
ライザケア輸液(L-リシン塩酸塩、L-アルギニン塩酸塩、富士フイルム富山化学):「ルテチウムオキソドトレオチドによる腎被曝の低減」を効能・効果とする新医療用配合薬。再審査期間は6年。

ルタテラは、ソマトスタチン類似物質に放射性同位元素のルテチウム177を標識した治療用放射性医薬品。「放射性リガンド療法」の一種であるペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)に用いる。放射性リガンド療法は、腫瘍に発現している受容体に特異的に結合する化合物に放射性物質を標識して患者に投与し、体内から病巣に放射線を照射する治療法のこと。PRRTは腫瘍に発現しているペプチド受容体を標的とするもの。

ライザケアはルタテラによる腎臓の被ばくを低減するために用いる輸液で、両剤を併用して用いる。

海外ではルタテラは21年2月末時点で、米国及びEUを含む8の国・地域で承認済。ライザケアはEUを含む3の国・地域で承認済。

ユニツキシン点滴静注17.5mg/5mL(ジヌツキシマブ(遺伝子組換え)、大原薬品):「大量化学療法後の神経芽腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

遺伝子組換えキメラモノクローナル抗体。ヒトの神経外胚葉性腫瘍(神経芽腫など)に多く発現する抗原GD2と特異的に反応し、抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)及び補体依存性細胞傷害作用(CDC)を介し、神経芽腫細胞の溶解を惹起する。

ユニツキシンは、G-CSF製剤・フィルグラスチムと遺伝子組換え型インターロイキン-2製剤・テセロイキンの3剤併用で使用する。フィルグラスチム、テセロイキンともにこの日の部会で報告された。

神経芽腫は小児固形腫瘍で胎児期の神経堤細胞を起源とする細胞ががん化したもの。小児がんの中で白血病、脳腫瘍に次いで多い。国内患者数は毎年最大で160人程度が発症し、総患者数は最大で3300人程度とみられる。約6割が高リスク群に分類され、その5年生存率は5割以下。小児固形腫瘍全体から見て最も予後が悪い疾患とされる。

海外でユニツキシンは21年3月時点で、神経芽腫に係る効能・効果で米国とカナダで承認済。

ハイヤスタ錠10mg(ツシジノスタット、Huya Japan):「再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

HDAC(ヒストン脱アセチル化酵素)阻害薬。エピジェネティックな作用を有する。クラスI(HDAC1、2、3)とクラスIIb(HDAC10)のHDACを阻害することで、腫瘍細胞中でアセチル化されたヒストン(H3およびH4)の集積を促す。これによって、腫瘍細胞の増殖停止に関与する複数のタンパク発現を変化させ、がん微小環境における免疫遺伝子の発現を調整するPD-L1の核内移行を制御することにより、腫瘍免疫力を増強させる。

通常、成人にはツシジノスタットとして1日1回40mgを週2回、3又は4日間隔で食後に経口投与して用いる。患者の状態により適宜減量する。承認取得後はMeiji Seikaファルマが日本で独占的に販売する。

海外では21年2月時点で、再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)に係る効能・効果で承認されている国・地域はない。

【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

グラン注射液75、同注射液150、同注射液M300、同シリンジ75、同シリンジ150、同M300(フィルグラスチム(遺伝子組換え)、協和キリン)
イムネース注35(テセロイキン(遺伝子組換え)、塩野義製薬)
:両剤とも「神経芽腫に対するジヌツキシマブ(遺伝子組換え)の抗腫瘍効果の増強」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。両剤とも再審査期間なし。

この日に審議され、承認が了承された遺伝子組換えキメラモノクローナル抗体・ユニツキシン点滴静注17.5mg/5mL(ジヌツキシマブ(遺伝子組換え)、大原薬品)と併用するため、効能追加などを行う。
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