参天製薬の後天性眼瞼下垂用点眼液・アップニークミニなど新薬7製品を審議へ 12月3日の第一部会で
公開日時 2025/11/20 04:49
厚生労働省は12月3日に薬事審議会・医薬品第一部会を開き、参天製薬の後天性眼瞼下垂の治療に用いるアップニークミニ点眼液(一般名:オキシメタゾリン塩酸塩)など新薬7製品の承認の可否を審議する。
このほか審議予定品目には、キッセイ薬品の子宮筋腫に対する新規ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)拮抗薬・イセルティ錠(リンザゴリクスコリン)や、バイエル薬品のケレンディア錠の慢性心不全の適応拡大がある。
ケレンディアの承認申請は、心機能の指標である左室駆出率(LVEF)が軽度低下した患者と保持された患者を対象とした第3相FINEARTS-HF試験の結果に基づくものとなっている。
【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽アップニークミニ点眼液0.1%(オキシメタゾリン塩酸塩、参天製薬):「後天性眼瞼下垂」を対象疾患とする新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。
α1及びα2受容体作動薬。上眼瞼の挙上に関わる筋組織のうち、ミュラー筋のαアドレナリン受容体に作用し、ミュラー筋を収縮させることにより、上眼瞼を拳上させる。
眼瞼下垂は、何らかの原因により上眼瞼が下がり、ものが見にくくなる疾患。後天性眼瞼下垂には様々な病因があり、加齢などによる眼瞼挙筋腱膜の退行や、コンタクトレンズの長期装用などの結果として生じることがあるといわれている。多くの眼瞼下垂に対する治療は手術となっている。アップニークが承認されると、後天性眼瞼下垂の治療薬は国内初となる。
なお、オキシメタゾリン塩酸塩(0.05%)を有効成分とする医薬品には、OTCのナシビン点鼻薬がある。
▽セピエンス顆粒分包250mg、同顆粒分包1000mg(セピアプテリン、PTCセラピューティクス):「フェニルケトン尿症」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。
数多くの代謝産物の代謝と合成に関与する重要な酵素補因子である細胞内テトラヒドロビオプテリン(BH4)の前駆物質であるセピアプテリンを化学合成した経口製剤。
対象疾患とするフェニルケトン尿症(PKU)は、必須アミノ酸のフェニルアラニンの分解に必要な酵素の生成を助ける遺伝子の欠陥に起因して発症する希少な先天代謝異常症。恒久的な知的障害やてんかん発作、発達の遅れ、記憶障害、行動や情緒に関する問題など、重度で不可逆的な障害を引き起こす。
国内では、PKUに用いる薬剤として、ビオプテン顆粒やパリンジック皮下注が承認されている。
▽ラヴィクティ内用液1.1g/mL(フェニル酪酸グリセロール、オーファンパシフィック):「尿素サイクル異常症」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。
フェニル酪酸のプロドラッグ。対象疾患とする尿素サイクル異常症(UCD)は、生体内で発生する有毒なアンモニア(NH3)を無毒な尿素に変える代謝経路(尿素サイクル)に関与する酵素等に先天的な異常があり、高アンモニア血症などを呈する一連の疾患群。
オーファンパシフィックでは、UCD治療薬として、ブフェニール錠・顆粒(フェニル酪酸ナトリウム)を2013年1月から販売している。
▽①プリミーフォート経腸用液6、②同経腸用液8、③同経腸用液CF(①②人乳/グリセロリン酸カルシウム/グルコン酸カルシウム水和物/塩化カルシウム水和物/無水クエン酸ナトリウム/クエン酸カリウム/リン酸一水素マグネシウム/硫酸亜鉛水和物/塩化ナトリウム/硫酸銅③人乳、クリニジェン):「極低出生体重児等の体重増加不全を呈する新生児及び乳児の栄養管理」を対象疾患とする①②新有効成分含有医薬品・新医療用配合剤③新有効成分含有医薬品。
▽イセルティ錠100mg(リンザゴリクスコリン、キッセイ薬品):「子宮筋腫に基づく下記諸症状の改善。過多月経、下腹痛、腰痛、貧血」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
キッセイ薬品が創製した経口ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)拮抗薬。承認申請は、子宮筋腫を対象とした国内第3相KLH2301及びKLH2302試験の結果に基づく。
イセルティは欧州で22年6月に承認されている。国内で既承認の経口GnRH拮抗薬にはレルミナ錠がある。
▽ケレンディア錠10mg、同錠20mg(フィネレノン、バイエル薬品):「慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。
非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)。承認されると「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病」に続き、2つ目の適応となる。
心不全(HF)の約6割は、心機能の指標である左室駆出率(LVEF)が40%以上(40~50%:駆出率が軽度低下、50%以上:駆出率が保持)であり、その治療選択肢は限られているという。承認申請は、日本人を含むLVEF40%以上のHF患者を対象とした国際共同第3相FINEARTS-HF試験の結果に基づく。
米国ではLVEF40%以上のHFの適応追加が25年7月に承認されている。
▽①オプスミット小児用分散錠1mg、②同小児用分散錠2.5mg、③同錠10mg(マシテンタン、ヤンセンファーマ):「肺動脈性肺高血圧症(小児用量の追加)」を対象疾患とする①②新用量・剤形追加に係る医薬品③新用量医薬品。希少疾病用医薬品。
エンドセリン受容体拮抗薬。現在、成人用量(10mgを1日1回経口投与)が設定されており、小児用量を追加するもの。小児用分散錠は新剤形となる。
【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽アジンマ静注用1500(アパダムターゼアルファ(遺伝子組換え)/シナキサダムターゼアルファ(遺伝子組換え)、武田薬品):「先天性血栓性血小板減少性紫斑病(小児用量の追加)」を対象疾患とする新用量医薬品。
遺伝子組換えADAMTS13製剤。現在、成人及び12歳以上の小児の用量が設定されており、12歳未満の小児用量を追加するもの。