GSKの長時間作用型の喘息等治療薬・エキシデンサーなど新薬9製品を審議へ 11月27日の第二部会で
公開日時 2025/11/14 04:47
厚生労働省は11月27日に薬事審議会・医薬品第二部会を開き、グラクソ・スミスクラインの6カ月に1回投与を可能とする長時間作用型の気管支喘息及び鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎治療薬・エキシデンサー皮下注(一般名:デペモキマブ)など新薬9製品の承認の可否を審議する。
審議予定品目には、日本イーライリリーのESR1遺伝子変異HR陽性HER2陰性乳がんに対する経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)・イムルリオ錠(イムルネストラント)、カルビスタ社の遺伝性血管性浮腫の急性発作治療薬・エクテリー錠(セベトラルスタット)が含まれる。
このほか、再発/難治性濾胞性リンパ腫に対するCD19を標的とする細胞溶解性抗体・ミンジュビ点滴静注用(タファシタマブ)などインサイト社の2製品も審議される。
【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽イムルリオ錠200mg(イムルネストラントトシル酸塩、日本イーライリリー):「ESR1遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
経口投与の選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)。SERDの注射剤には、フェソロデックス筋注があるが、承認されると、経口SERDは国内初となる。
海外では、米国で25年9月に承認されている。米国承認は、第3相EMBER-3試験の結果に基づいており、同試験では、ESR1遺伝子変異の陽性例において、標準的な内分泌療法と比較してイムルリオの単剤療法は、疾患の進行または死亡のリスクを38%減少させたという。
▽ジニイズ点滴静注500mg(レチファンリマブ(遺伝子組換え)、インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン):「切除不能な進行・再発の肛門管扁平上皮がん」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。
抗PD-1抗体。対象疾患とする肛門管扁平上皮がん(SCAC)は、主にヒトパピローマウイルス感染との関連が報告されている希少疾患。切除不能な転移性SCAC患者の5年生存率は低く、進行性疾患に対する治療法は現在存在していないという。
▽エルゾンリス点滴静注1000μg(タグラキソフスプ(遺伝子組換え)、日本新薬):「芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。
細胞表面タンパク質のCD123を標的とするサイトトキシン。イタリアのメナリーニ社からの導入品。対象疾患とする芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)は、白血病とリンパ腫の両方の性質があり、特徴的な皮膚病変とがん細胞のリンパ節や骨髄への浸潤を伴う、まれな進行性の血液がん。これまで国内で承認された治療薬はない。
海外では、米国で18年12月、欧州で21年1月に承認されている。
▽ミンジュビ点滴静注用200mg(タファシタマブ(遺伝子組換え)、インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン):「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。
ヒト化Fc修飾細胞溶解性抗CD19抗体。海外では、米国で25年6月に濾胞性リンパ腫(FL)の適応追加承認を取得している。米国承認は、第3相inMIND 試験の結果に基づいており、ミンジュビと抗CD20抗体・リツキシマブ、免疫調節薬・レナリドミドを併用している。
▽テセントリク点滴静注1200mg(アテゾリズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「切除不能な胸腺がん」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。
抗PD-L1抗体。胸腺がんは、Tリンパ球の成熟に重要な役割を果たす胸腺上皮に由来する腫瘍である胸腺上皮性腫瘍のうち、細胞異形を伴うもので、日本人における年間発症数は、10万人あたり0.29人と推定されているという。承認されると、胸腺がんに対する国内初の免疫チェックポイント阻害剤となる。
▽エキシデンサー皮下注100 mgペン、同皮下注100 mgシリンジ(デペモキマブ(遺伝子組換え)、グラクソ・スミスクライン):「○気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)○鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
抗IL-5抗体。同じ抗IL-5抗体にはヌーカラ皮下注があるが、エキシデンサーは長時間作用型である点が特徴。承認申請は、気管支喘息を対象としたSWIFT試験と、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎を対象としたANCHOR試験の結果に基づいており、投与間隔はいずれも6カ月(26週)で検討された。
▽エクテリー錠300mg(セベトラルスタット、KalVista Pharmaceuticals Ltd.):「遺伝性血管性浮腫の急性発作」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。
新規血漿カリクレイン阻害薬。承認されると、国内初の経口投与可能な遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作治療薬となる。科研製薬が国内販売権を取得している。
▽アバレプト懸濁性点眼液0.3%(モツギバトレプ、千寿製薬):「ドライアイ」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
TRPV1拮抗薬。持田製薬が創製し導出したものを、千寿製薬がドライアイ点眼薬として開発した。
▽デュピクセント皮下注300mgシリンジ、同皮下注300mgペン、同皮下注200mgシリンジ、同皮下注200mgペン(デュピルマブ(遺伝子組換え)、サノフィ):「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)(小児用量の追加)」を対象疾患とする新用量医薬品。
抗IL-4/13受容体抗体。現在、気管支喘息の小児用量は「12歳以上」となっているが、「6歳以上」とするもの。
【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽カルボプラチン注射液50mg「NK」、同注射液150mg「NK」、同注射液450mg「NK」(カルボプラチン、ヴィアトリス・ヘルスケア):「卵巣がん」を対象疾患とする新投与経路医薬品。
白金製剤。現在、点滴静注で投与することになっているが、卵巣がんに対して腹腔内投与するもの。
▽ウステキヌマブBS皮下注45mgシリンジ「ニプロ」(ウステキヌマブ(遺伝子組換え)[ウステキヌマブ後続4])、ニプロ):「既存治療で効果不十分な下記疾患:尋常性乾癬、乾癬性関節炎」を対象疾患とするバイオ後続品。
抗IL-12/23p40抗体・ステラーラの後続として4剤目となる。