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厚労省 新薬14製品を承認 脊髄性筋萎縮症で初の経口薬エブリスディ、2型糖尿病薬ツイミーグなど

公開日時 2021/06/24 04:50
厚生労働省は6月23日、新医薬品として14製品22品目を承認した。脊髄性筋萎縮症に対する初の経口薬となるエブリスディドライシロップ(一般名:リスジプラム、中外製薬)や、新規機序の2型糖尿病治療薬ツイミーグ錠(イメグリミン塩酸塩、大日本住友製薬)、初の短腸症候群治療薬レベスティブ皮下注用(テデュグルチド(遺伝子組換え)、武田薬品)、新規機序の抗がん剤タズベリク錠(タゼメトスタット臭化水素酸塩、エーザイ)が含まれる。

また、片頭痛に対する抗体製剤として2番手となるアジョビ皮下注(フレマネズマブ(遺伝子組換え)、大塚製薬)と、アイモビーグ皮下注(エレヌマブ(遺伝子組換え)、アムジェン)も承認された。

承認された製品は次の通り(カッコ内は一般名、製造販売元)。薬効分類別に記載。

エブリスディドライシロップ60mg(リスジプラム、中外製薬):「脊髄性筋萎縮症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類:119。

脊髄性筋萎縮症(SMA)に対する初の経口薬で、中枢神経系及び全身のSMNタンパクレベルを増加させるように創製されたSMN2スプライシング修飾薬。運動神経及び筋肉機能をよりよくサポートするため、SMN2遺伝子から機能性のSMNタンパクの産生を増加するように設計されている。

生後2か月以上2歳未満の患者にはリスジプラムとして0.2mg/kgを1日1回食後に経口投与する。2歳以上の患者にはリスジプラムとして体重20kg未満では0.25 mg/kgを、体重20kg以上では5mgを、1日1回食後に経口投与する。

SMAの原因遺伝子はSMN遺伝子で、SMN1遺伝子の機能不全に加え、SMN2遺伝子のみでは十分量の機能性のSMNタンパクが産生されないため発症する。SMAは遺伝性の神経筋疾患で、脊髄の運動神経細胞の変性によって筋萎縮や筋力低下を示す。乳幼児で最も頻度の高い致死的な遺伝性疾患。乳児期から小児期に発症するSMAの患者数は10万人あたり1~2人とされる。

アジョビ皮下注225mgシリンジ(フレマネズマブ(遺伝子組換え)、大塚製薬):「片頭痛発作の発症抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:119。

抗CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)モノクローナル抗体。CGRPは片頭痛発作時に三叉神経節ニューロン及び硬膜を含む三叉神経の末梢で高度に発現する神経ペプチド。血中CGRP濃度の増加に伴って片頭痛及び群発頭痛といった疼痛症候群が生じる。同剤はCGRPに結合し、その生理活性を阻害することで、片頭痛発作の発症を抑制すると考えられている。

通常、成人にはフレマネズマブとして4週間に1回225mgを皮下投与するか、12週間に1回675mgを皮下投与して用いる。なお、既承認の片頭痛に対する抗体製剤として、エムガルティ皮下注(ガルカネズマブ(遺伝子組換え))がある。

アイモビーグ皮下注70mgペン(エレヌマブ(遺伝子組換え)、アムジェン):「片頭痛発作の発症抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は10年。薬効分類:119。

抗CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)受容体モノクローナル抗体。CGRPはカルシトニンファミリーに属する37個のアミノ酸から構成される神経ペプチドで、片頭痛発作時に血中CGRP濃度が増加することが報告されている。同剤はCGRP受容体に結合し、CGRPの生理活性を阻害することで、片頭痛発作の発症が抑制されると考えられている。

通常、成人にはエレヌマブとして70mgを4週間に1回皮下投与で用いる。

なお、同剤の再審査期間が8年ではなく、初回承認から10年となった。同剤の小児に係る開発が進んでおり、小児に係る承認申請は主要解析結果を用いる場合は25年第3四半期、最終解析結果を用いる場合は26年第3四半期に予定されていることが審査過程で勘案され、初回承認時から2年間延長することが適当とされた。

ベリキューボ錠2.5mg、同錠5mg、同錠10mg(ベルイシグアト、バイエル薬品):「慢性心不全。ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:219。

可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬と呼称する新クラスの薬剤。sGCは血管および心臓の両方の機能にとって重要だが、心不全患者では一酸化窒素(NO)の利用能の障害のために十分にsGCが刺激されず、結果として心不全や血管障害を引き起こす。ベリキューボは現在の治療法では対処されていないNO-sGC-cGMP経路に作用し、機能を回復させることが期待されている。

同剤は心不全の標準治療に上乗せして用いる。用法・用量は、「通常、成人にはベルイシグアトとして、1回2.5mgを1日1回食後経口投与から開始し、2週間間隔で1回投与量を5mg及び10mgに段階的に増量する。なお、血圧等患者の状態に応じて適宜減量する」となった。

効能・効果に関連する注意には、左室駆出率の低下した慢性心不全患者に投与することや、臨床成績の内容を熟知し、臨床試験に組み入れられた患者の背景(前治療、左室駆出率、収縮期血圧など)を十分に理解した上で適応患者を選択すること、などが記載された。

レベスティブ皮下注用3.8mg(テデュグルチド(遺伝子組換え)、武田薬品):「短腸症候群」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類:249。

初の短腸症候群(SBS)に対する治療薬で、天然型ヒトGLP-2の新規遺伝子組換えアナログ。33個のアミノ酸からなるペプチドでGLP-2と同様の機序を介して作用し、腸管吸収機能の改善を促す。同剤は日本外科学会から厚労省に開発要望が提出され、医療上の必要性が高い未承認薬・適応外薬検討会議の議論を経て厚労省から開発要請がなされたもの。

SBSは極めてまれで重篤な慢性疾患。食事から十分な水分や栄養を吸収できず、生命を維持するために静脈栄養が必要な場合がある。外傷やクローン病、塞栓症のような血管合併症などによる小腸の大量切除や先天性の欠損をはじめとするさまざまな原疾患によってSBSに至り、病態も多岐にわたる。多くの患者で腸管機能が順応していくが、なかには生涯にわたり静脈栄養が必要となる患者もいる。また、SBS患者は栄養失調、脱水、下痢、疲労、脱力などの多くの症状を抱えながら生活している。

ツイミーグ錠500mg(イメグリミン塩酸塩、大日本住友製薬):「2型糖尿病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:396。

ミトコンドリアの機能を改善する新規機序の医薬品。インスリン分泌を担う膵β細胞のミトコンドリア機能改善によるインスリン分泌促進、ならびに肝臓、筋肉等のインスリン感受性のある臓器及び組織のミトコンドリア機能改善によるインスリン抵抗性の低下等により血糖コントロールを改善させると考えられている。通常、成人はイメグリミン塩酸塩として1回1000mgを1日2回朝、夕に経口投与して用いる。

大日本住友製薬は、「2型糖尿病治療における単剤および併用による血糖降下療法において、幅広く使用される治療薬となる可能性がある」としている。

ウパシタ静注透析用25μgシリンジ、同50μgシリンジ、同100μgシリンジ、同150μgシリンジ、同200μgシリンジ、同250μgシリンジ、同300μgシリンジ(ウパシカルセトナトリウム水和物、三和化学研究所):「血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:399。

静注CaSR(カルシウム感知受容体)作動薬。透析経路から投与する注射薬で、副甲状腺のCaSRに作用して副甲状腺ホルモン(PTH)の過剰な分泌を抑制する。透析患者は飲水量が厳しく制限されている中で、多くの薬を内服することが負担になっているとされる。注射薬とすることで、内服の負担をなくし、確実な投与も期待する。

二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)は、慢性腎臓病(CKD)の進行に伴って発症する合併症のひとつで、副甲状腺からPTHが過剰に分泌される病態。PTHが過剰に分泌されると骨からリンおよびカルシウムの血中への流出が促進され、結果、骨折や、心血管系への石灰化による動脈硬化などの発症リスクが高まり、生命予後に影響を及ぼすとされている。

同剤の製造、販売、流通は三和化学が行い、三和化学とキッセイ薬品で共同販促する。

ギブラーリ皮下注189mg(ギボシランナトリウム、Alnylam(アルナイラム)Japan):「急性肝性ポルフィリン症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類:399。

アミノレブリン酸合成酵素1(ALAS1)を標的とするRNA干渉(RNAi)治療薬。ALAS1メッセンジャーRNA(mRNA)を特異的に低下させることで、急性肝性ポルフィリン症(AHP)の発作やその他の症状の発現に関連する毒性を減少させる。通常、12歳以上の患者には、ギボシランとして2.5mg/kgを1か月に1回皮下投与で用いる。

AHPは重症かつ原因不明の腹痛や、嘔吐、けいれんなどの消耗性の発作を特徴とする遺伝性の希少疾患。発作中に麻痺や呼吸停止の可能性もあることから生命を脅かす危険もある。AHPの多くの患者で、発作と発作の間も持続する疼痛などの慢性症状を伴い、日常機能とQOLに悪影響を及ぼす。

タズベリク錠200mg(タゼメトスタット臭化水素酸塩、エーザイ):「再発又は難治性のEZH2遺伝子変異陽性の濾胞性リンパ腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:429。

経口EZH2 阻害薬。エピジェネティクス関連タンパク質群のうち、ヒストンメチル基転移酵素のひとつであり、発がんプロセスに関与するEZH2を選択的に阻害することで、がん関連遺伝子の発現を制御し、がん細胞の増殖を抑制すると考えられている。

通常、成人にはタゼメトスタットとして1回800mgを1日2回経口投与で用いる。患者の状態で適宜減量する。EZH2遺伝子変異検出のためのコンパニオン診断薬として、ロシュ・ダイアグノスティックスの「コバス EZH2変異検出キット」が5月に承認されている。

ユニツキシン点滴静注17.5mg/5mL(ジヌツキシマブ(遺伝子組換え)、大原薬品):「大量化学療法後の神経芽腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類:429。

遺伝子組換えキメラモノクローナル抗体。ヒトの神経外胚葉性腫瘍(神経芽腫など)に多く発現する抗原GD2と特異的に反応し、抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)及び補体依存性細胞傷害作用(CDC)を介し、神経芽腫細胞の溶解を惹起する。

ユニツキシンは、G-CSF製剤グラン注射液(一般名:フィルグラスチム(遺伝子組換え)、協和キリン)と遺伝子組換え型インターロイキン-2製剤イムネース注(同テセロイキン、塩野義製薬)の3剤併用で使用する。グラン、イムネースとも6月23日に、「神経芽腫に対するジヌツキシマブ(遺伝子組換え)の抗腫瘍効果の増強」の効能追加が承認された。

神経芽腫は小児固形腫瘍で胎児期の神経堤細胞を起源とする細胞ががん化したもの。小児がんの中で白血病、脳腫瘍に次いで多い。国内患者数は毎年最大で160人程度が発症し、総患者数は最大で3300人程度とみられる。約6割が高リスク群に分類され、その5年生存率は5割以下。小児固形腫瘍全体から見て最も予後が悪い疾患とされる。

ハイヤスタ錠10mg(ツシジノスタット、Huya Japan):「再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類:429。

HDAC(ヒストン脱アセチル化酵素)阻害薬。エピジェネティックな作用を有する。クラスI(HDAC1、2、3)とクラスIIb(HDAC10)のHDACを阻害することで、腫瘍細胞中でアセチル化されたヒストン(H3およびH4)の集積を促す。これによって、腫瘍細胞の増殖停止に関与する複数のタンパク発現を変化させ、がん微小環境における免疫遺伝子の発現を調整するPD-L1の核内移行を制御することにより、腫瘍免疫力を増強させる。

通常、成人にはツシジノスタットとして1日1回40mgを週2回、3又は4日間隔で食後に経口投与して用いる。患者の状態により適宜減量する。同剤はMeiji Seikaファルマが日本で独占的に販売する。

ルタテラ静注(ルテチウムオキソドトレオチド、富士フイルム富山化学):「ソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:429。

ライザケア輸液(L-リシン塩酸塩、L-アルギニン塩酸塩、富士フイルム富山化学):「ルテチウムオキソドトレオチドによる腎被曝の低減」を効能・効果とする新医療用配合薬。再審査期間は6年。薬効分類:325。

ルタテラは、ソマトスタチン類似物質に放射性同位元素のルテチウム177を標識した治療用放射性医薬品。「放射性リガンド療法」の一種であるペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)に用いる。

放射性リガンド療法は、腫瘍に発現している受容体に特異的に結合する化合物に放射性物質を標識して患者に投与し、体内から病巣に放射線を照射する治療法のこと。PRRTは腫瘍に発現しているペプチド受容体を標的とするもので、ルタテラはペプチド受容体放射性核種療法剤として国内で初めて承認された。

ライザケアはルタテラによる腎臓の被ばくを低減するために用いる輸液で、両剤を併用して用いる。

レカルブリオ配合点滴静注用(レレバクタム水和物/イミペネム水和物/シラスタチンナトリウム、MSD):「各種感染症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類:612。

レレバクタムはβ-ラクタマーゼ阻害薬で、新有効成分となる。イミペネムとシラスタチンは既承認の成分で、カルバペネム系抗生物質製剤・チエナム点滴静注用などとして販売されている。

レカルブリオの適応菌種は、同剤に感性の大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、緑膿菌、アシネトバクター属(ただし、カルバペネム系抗菌薬に耐性を示す菌株に限る)。カルバペネム耐性腸内細菌科細菌やカルバペネム耐性緑膿菌などのカルバペネム耐性グラム陰性菌による感染症は予後不良であり、治療選択肢が限られている。
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