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薬食審 7月28日に第一部会 新薬5製品を審議 フォシーガのCKDの効能追加など

公開日時 2021/07/14 19:15
厚生労働省は7月14日、新薬の承認可否の審議などを行う薬食審医薬品第一部会を28日に開催すると発表した。審議品目は5製品で、この中にSGLT2阻害薬フォシーガに慢性腎臓病(CKD)の効能を追加することが含まれる。承認された場合、同剤は国内初のCKD治療薬となる。

この日の部会で承認が了承された場合、8月に正式承認される見込み。

【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)

フォシーガ錠5mg、同錠10mg(一般名:ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物、アストラゼネカ):「慢性腎臓病」を対象疾患とする新効能医薬品。

SGLT2阻害薬。正式承認された場合、初の慢性腎臓病(CKD)の治療薬となる。CKDは腎機能が低下することで起こる進行性の疾患。国内患者数は1330万人と推定されるが、その多くは未診断の状態にある。慢性腎臓病は、透析のリスク要因であるだけでなく、心不全をはじめとした心血管疾患の発症リスクを増加させるため、早期の診断・治療により進行を抑制することが重要となる。

今回のCKDの効能追加申請は、日本を含む国際共同第3相試験(DAPA-CKD試験)の結果に基づく。同試験は日本を含む21か国で、2型糖尿病の合併の有無に関わらない4304例の慢性腎臓病患者(eGFR25以上75未満、かつアルブミン尿の増加が確認された患者)を対象に実施した、SGLT2阻害薬では初めての腎アウトカム試験。

フォシーガ10mg1日1回を慢性腎臓病の標準治療に追加投与し、有効性と安全性をプラセボと比較検討した。その結果、腎機能の悪化、心血管死、腎不全による死亡のいずれかの発生による主要複合評価項目の発現リスクを、プラセボと比較して39%低下させた(p<0.0001)。この結果は2型糖尿病合併の有無に関わらず一貫していたという。安全性及び忍容性は、「同剤の確立されたプロファイルと一致していた」としている。同試験は当初の想定を上回る結果が出たため、独立データモニタリング委員会の勧告に従い、早期に終了した。

フォシーガは日本で現在、▽2型糖尿病▽1型糖尿病▽慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)――の効能・効果で承認されている。

フェントステープ0.5mg、同テープ1mg、同テープ2mg、同テープ4mg、同テープ6mg、同テープ8mg(フェンタニルクエン酸塩、久光製薬):「各種がんにおける鎮痛」の小児適応を追加する新効能・新用量医薬品。

経皮吸収型持続性疼痛治療薬。久光製薬は2歳以上20歳未満の小児がん疼痛患者を対象とした臨床試験を実施し、申請した。現在、成人のがん性疼痛を適応としている。久光製薬と協和キリンが共同販売している。

ウプトラビ錠0.2mg、同錠0.4mg(セレキシパグ、日本新薬):「慢性血栓塞栓性肺高血圧症」を対象疾患とする新効能医薬品。希少疾病用医薬品。

選択的プロスタサイクリン受容体(IP受容体)作動薬。IP受容体に対して選択的かつ持続的に作用することで血管拡張作用を示し、肺の血行動態を改善する。

慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)は国の指定難病で、肺血管の内部に器質化した血栓が詰まることにより、肺動脈へかかる圧力が上昇し、肺と心臓の血流が低下する疾患。進行すると心機能の低下により、足がむくみ、少し体を動かしただけでも息苦しいなどの症状が現れる。

治療法は、血栓を取り除く外科手術、カテーテルを用いて血管を広げる治療、肺動脈を広げる作用を持つ内服薬での薬物治療がある。国内患者数は約3800人とされる。

日本では日本新薬とヤンセンファーマが共同開発、共同販促している。

ダラキューロ配合皮下注(ダラツムマブ(遺伝子組換え)・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)、ヤンセンファーマ)
ベルケイド注射用3mg(ボルテゾミブ、ヤンセンファーマ)
:いずれも「全身性ALアミロイドーシス」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。いずれも希少疾病用医薬品。

全身性ALアミロイドーシスに対し、ヒト型抗CD38モノクローナル抗体/ヒアルロン酸分解酵素配合剤・ダラキューロ、プロテアソーム阻害薬・ベルケイドのほか、ステロイド製剤・デカドロン錠(一般名:デキサメタゾン、日医工)、アルキル化剤・注射用エンドキサン(同シクロホスファミド水和物、塩野義製薬)の計4剤を併用して用いる。デカドロンとエンドキサンはこの日の部会で効能及び用法の追加が報告される。

アミロイドーシスはアミロイドと呼ばれるナイロンに似た線維状の異常蛋白質が全身の様々な臓器に沈着し、機能障害をおこす病気の総称のこと。複数の臓器にアミロイド蛋白が沈着する全身性アミロイドーシスと、特定の臓器に限局してアミロイド蛋白が沈着する限局性アミロイドーシスに分類される。全身性アミロイドーシスのうち全身性ALアミロイドーシスは、異常形質細胞より産生されるアミロイド蛋白の沈着により多臓器障害を引き起こし、その臓器障害により生存率の低下や疾患の転帰に影響を及ぼす予後不良の疾患。

◎ルセンティス初のBS登場へ

【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

リクシアナ錠15mg、同OD錠15mg(エドキサバントシル酸塩水和物、第一三共):「虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」を対象疾患とする新用量医薬品。

経口FXa阻害薬。出血リスクの高い高齢の非弁膜症性心房細動(AF)患者に減量して使えるようにする。

ラニビズマブBS硝子体内注射用キット10mg/mL「センジュ」(ラニビズマブ(遺伝子組換え)[ラニビズマブ後続1] 、千寿製薬):「加齢黄斑変性及び脈絡膜新生血管」を対象疾患とするバイオ後続品。

眼科用VEGF阻害薬。先発品のルセンティスで初のバイオ後続品となる。厚労省によると、このバイオ後続品は先発品が持つ一部効能には使えないという。少なくとも再審査期間中の「未熟児網膜症」は、バイオ後続品の適応には含まれない。

デカドロン錠0.5mg、同錠4mg(デキサメタゾン、日医工)
▽注射用エンドキサン100mg、同500mg、同錠50mg(シクロホスファミド水和物、塩野義製薬)
いずれも「全身性ALアミロイドーシス」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。

全身性ALアミロイドーシスに対し、この日の部会で審議されるヒト型抗CD38モノクローナル抗体/ヒアルロン酸分解酵素配合剤・ダラキューロ、プロテアソーム阻害薬・ベルケイドを含む計4剤併用で用いる。

イヌリード注(イヌリン、富士薬品):「腎機能検査」を対象疾患とする新用量医薬品。厚労省によると、小児の別の用量を追加する。

ニトプロ持続静注液6mg、同30mg(ニトロプルシドナトリウム水和物、丸石製薬):「急性心不全及び高血圧性緊急症」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。
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