国がん中央病院・後藤医師 バイオシミラー普及へ先行品の高額療養費対象除外を提案
公開日時 2022/02/28 04:49
国立がん研究センター中央病院呼吸器内科の後藤悌・外来医長は2月24日、日本バイオシミラー協議会主催のWeb講演会で、「腫瘍内科医の立場から考えるバイオシミラーの必要性」と題して講演した。オンコロジー領域では先行品もバイオシミラーも、高額療養制度の対象となると説明。結果として患者負担が同等になり、バイオシミラーを使用する患者メリットが現時点では少ないと指摘した。一方で、医療費適正化に向けて、「バイオシミラーを積極的に取り入れる必要がある」と強調。バイオシミラーのある先行品は高額療養費の対象から除外することを提案した。
後藤氏は、先行品の薬価が50万円、バイオシミラーの薬価が35万円の場合、高額療養費制度によって患者負担(月)は、70歳以上では両剤とも4万4400円、年収1160万円以上では先行品約14万円、BS約10万円になるとの例を示した。そのうえで、先行品もバイオシミラーも高額療養費で負担することに疑問を投げかけた。さらに、「国として、データに基づいた“同じモノ”がある場合は、安い方にしか払わないというようにしないといけない」と述べ、先行品と同等・同質なバイオシミラーが上市された場合には先行品を高額療養費の対象外とするなど保険給付のあり方を検討すべきとの考えを示した。
◎「良い薬があれば、使わないということはできない」
後藤氏は、臨床医のマインドとして、「目の前に困っている患者がいて、良い薬があるのであれば使わないということはできない」とし、「どんなに高い薬であっても患者にメリットがあると思えば何でもやる。医療はこうであるべきと思う」とも強調した。将来にわたって高額なバイオ新薬を必要な患者に提供できるようにするためにも、「一番大切なことは、同じ医療をいかに効率的に提供するかにある。バイオシミラーを私は応援したい」と話した。