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厚労省 新薬等21製品を承認 加齢黄斑変性治療薬バビースモ、2型糖尿病合併CKD治療薬ケレンディアなど

公開日時 2022/03/29 04:52
厚生労働省は3月28日、新医薬品など21製品を承認した。この中には、加齢黄斑変性及び糖尿病黄斑浮腫を対象疾患とする眼科領域初のバイスペシフィック抗体・バビースモ硝子体内注射液(一般名:ファリシマブ、製造販売元:中外製薬)や、国内初の遅発性ジスキネジア治療薬・ジスバルカプセル(同バルベナジントシル酸塩、田辺三菱製薬)のほか、薬食審医薬品部会で2度審議された2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(CKD)治療薬・ケレンディア錠(同フィネレノン、バイエル薬品)が含まれる。

また、21年8月の医薬品部会で承認が了承されたものの、その後、信頼性に関する一部データの取扱いに疑義が生じたため正式承認が留保されていたオンデキサ静注用(同アンデキサネット アルファ、アレクシオンファーマ)も今回承認された。同剤は直接作用型第Xa因子阻害剤(アピキサバン、リバーロキサバン、エドキサバン)投与中の患者における、生命を脅かす出血又は止血困難な出血の発現時の抗凝固作用の中和を効能・効果とする。

承認された製品は次の通り(カッコ内は一般名、製造販売元)。薬効分類順に記載。

ジスバルカプセル40mg(バルベナジントシル酸塩、田辺三菱製薬):「遅発性ジスキネジア」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類119。

VMAT2阻害薬。シナプス前部の小胞に存在するVMAT2を選択的に阻害することで、モノアミンの取込みを抑制し、シナプス間隙に放出されるドパミン量を減少させることで、遅発性ジスキネジア患者における不随意運動を改善すると期待されている。

1日1回40mgを経口投与する。症状により適宜増減するが、上限は、1日1回80mg。ヤンセンファーマが販売し、田辺三菱製薬とヤンセンが共同販促する。

タリージェ錠2.5mg、同錠5mg、同錠10mg、同錠15mg(ミロガバリンベシル酸塩、第一三共):
「神経障害性疼痛」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は残余期間(2027年1月7日まで)。薬効分類119。

電位依存性カルシウムチャネルのα2δ(アルファ2デルタ)サブユニットに対するリガンド。今回、「中枢性神経障害性疼痛」の効能を追加した。これに伴い効能・効果は、これまでの「末梢性神経障害性疼痛」から「末梢性」を削除し、「神経障害性疼痛」となった。

スピンラザ髄注12mg(ヌシネルセンナトリウム、バイオジェン・ジャパン):「臨床所見は発現していないが遺伝子検査により発症が予測される脊髄性筋萎縮症」を効能・効果とする新効能医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は残余(2027年7月2日まで)。薬効分類119。

アンチセンス核酸医薬品。2017年8月に脊髄性筋萎縮症(SMA)治療薬として発売された。SMA患者における不可逆的な運動ニューロンの変性は、臨床症状発現前から進行しているため、可能な限り早期からの治療が重要とされている。今回、臨床所見の発現前でも、遺伝子検査で発症が予想されるSMAの効能・効果が追加された。

臨床症状発現前のSMAに対して、再生医療等製品・ゾルゲンスマ点滴静注(オナセムノゲン アベパルボベク、ノバルティスファーマ)が使用可能。具体的には、「脊髄性筋萎縮症(臨床所見は発現していないが、遺伝子検査により脊髄性筋萎縮症の発症が予測されるものも含む) ただし、抗AAV9抗体が陰性の患者に限る」の適応で承認されている。経口SMA治療薬・エブリスディドライシロップ(リスジプラム、中外製薬)には臨床症状発現前の適応はない。

バビースモ硝子体内注射液120mg/mL(ファリシマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類131。

抗VEGF/抗Ang-2バイスペシフィック抗体。視力低下の原因のひとつのアンジオポエチン-2(Ang-2)と血管内皮増殖因子-A(VEGF-A)をそれぞれ遮断し、血管を安定化させる。

いずれの適応でも、用法・用量は通常、導入期は4週ごとに1回、連続4回硝子体内投与で、症状により投与回数は適宜増減する。維持期は、加齢黄斑変性には通常16週ごとに1回投与する。投与間隔は、症状により適宜調節するが、8週以上とする。糖尿病性黄斑浮腫では、投与間隔を徐々に延長し、通常16週ごとに1回投与する。投与間隔は症状により適宜調節するが、4週以上とする。

サムタス点滴静注用8mg、同点滴静注用16mg(トルバプタンリン酸エステルナトリウム、大塚製薬):「ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類213。

V2-受容体拮抗薬で、静脈内投与可能な水利尿薬。トルバプタンのプロドラッグ注射剤で、静脈内投与後に速やかにトルバプタンへと加水分解され効果を示す。トルバプタンを経口で服用できない体液貯留を有する心不全患者にとって新しい治療選択肢となる。

ケレンディア錠10mg、同錠20mg(フィネレノン、バイエル薬品):「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病。ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類219。

非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬。アルドステロンによるMRの活性化を阻害し、炎症及び線維化を抑制することで、心臓及び腎臓に対する臓器保護作用を示すと考えられている。

1日1回経口投与で用いるが、用量は▽eGFRが60mL/min/1.73m2以上:20 mg、▽eGFRが60mL/min/1.73m2未満:10mgから投与を開始し、血清カリウム値、eGFRに応じて、投与開始から4週間後を目安に20mgへ増量する――。

臨床試験では、2型糖尿病を合併するCKD患者を対象に、血糖降下療法などの標準治療に同剤を上乗せして有効性と安全性が評価された。このため、2型糖尿病治療薬やACE阻害薬、ARBが処方されている患者が対象に想定されると厚労省は説明している。

アロカリス点滴静注235mg(ホスネツピタント塩化物塩酸塩、大鵬薬品):「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)(遅発期を含む)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類239。

NK1受容体拮抗型制吐剤で、活性本体であるネツピタントのリン酸化プロドラッグ製剤(注射剤)。用法・用量は、「他の制吐剤との併用において、通常、成人にはホスネツピタントとして235mgを抗悪性腫瘍剤投与1日目に1回、点滴静注する」。

カログラ錠120mg(カロテグラストメチル、EAファーマ):「中等症の潰瘍性大腸炎(5-アミノサリチル酸製剤による治療で効果不十分な場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類239。

α4インテグリン阻害薬。炎症性細胞表面に発現するα4β1インテグリンとα4β7インテグリンに作用し、大腸粘膜の血管内皮細胞に過剰に発現する接着分子との結合を介する細胞接着反応を阻害。病変部位への過剰な炎症性細胞の浸潤を抑制し、抗炎症作用を発揮すると考えられている。

1回960mgを1日3回食後経口投与する。キッセイ薬品が販売し、EAファーマとキッセイ薬品で共同販促する。

モノヴァー静注500mg、同静注1000mg(デルイソマルトース第二鉄、日本新薬):「鉄欠乏性貧血」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類322。

鉄と直鎖状のオリゴ糖の安定性の高い複合体。静脈内投与後は、肝臓などの細網内皮系の細胞に取り込まれ、エンドリソソーム内で鉄が分離する。分離した鉄は、フェロポーチンを介して血中に移行し、鉄を補充することで鉄欠乏性貧血に対して効果を発揮する。

体重50kg以上の成人には、鉄として1回あたり1000mgを上限として週1回点滴静注、又は1回あたり500mgを上限として最大週2回緩徐に静注する。体重50kg未満の成人には、1回あたり20mg/kgを上限として週1回点滴静注、又は1回あたり500mgを上限として最大週2回緩徐に静注する。なお、治療終了時までの総投与鉄量は、患者のヘモグロビン濃度及び体重に応じるが、鉄として2000mg(体重50kg未満の成人は1000mg)を上限とする。

オンデキサ静注用200mg(アンデキサネット アルファ(遺伝子組換え)、アレクシオンファーマ):「直接作用型第Xa因子阻害剤(アピキサバン、リバーロキサバン又はエドキサバントシル酸塩水和物)投与中の患者における、生命を脅かす出血又は止血困難な出血の発現時の抗凝固作用の中和」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類339。

直接作用型FXa阻害薬に高い結合親和性を有するヒトFXaの遺伝子組換え改変デコイタンパク質。血中のFXa阻害薬に結合することで内因性FXaとFXa阻害薬との結合を阻害し、FXa阻害薬の抗凝固作用を中和する。FXa阻害薬の種類、最終投与時の1回投与量、最終投与からの経過時間に応じて、決められた方法で投与する。

リンパック透析剤TA5(-、ニプロ):「慢性腎不全における透析型人工腎臓の灌流液」を効能・効果とし、配合割合が異なる類似処方医療用配合剤。再審査期間はなし。薬効分類341。

類薬には、リンパック透析剤TA3(―、ニプロ)、Dドライ透析剤2.75S(―、日機装)がある。

ゼンフォザイム点滴静注用20mg(オリプダーゼ アルファ(遺伝子組換え)、サノフィ):「酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。先駆け審査指定品目。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類395。

活性が低下している酸性スフィンゴミエリナーゼ(ASM)を補充し、スフィンゴミエリンの分解を促す目的で用いる酵素補充療法製剤。

酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)は、進行性で生命にかかわる希少疾患で、ライソゾーム病の一種。ASMDは、ライソゾームという細胞内器官でスフィンゴミエリンと呼ばれる脂質を分解する酵素であるASMの活性が低いために現れる。全世界の発症率は、出生児10万人あたり0.4~0.6人とされる。

ジセレカ錠100mg、同錠200mg(フィルゴチニブマレイン酸塩、ギリアド・サイエンシズ):「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(2028年9月24日まで)。薬効分類399。

選択的JAK(ヤヌスキナーゼ)1阻害薬。今回の追加適応は、ギリアドとエーザイからの委託を受けたEAファーマが共同販促する。なお、既承認適応の「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の帽子を含む)」は、ギリアドとエーザイが共同販促している。

ユニタルク胸膜腔内注入用懸濁剤4g(タルク、ノーベルファーマ):「外科手術による治療が困難な続発性難治性気胸」を効能・効果とする新効能医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類429。

「悪性胸水の再貯留抑制」に続く効能追加。粒子径を調整し、小さい粒子径を除いた滅菌調整タルクであり、胸膜腔内に注入されると胸膜の上皮を構成する中皮細胞を傷害し、細胞の剥離、離脱による炎症状態を惹起させ、胸膜を癒着させると推測されている。

国内の続発性難治性気胸患者数は、2017年度のDPC の情報からは2277人、厚労省17年度患者調査からは252人と推定されている。

セムブリックス錠20mg、同40mg(アシミニブ塩酸塩、ノバルティスファーマ):「前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類429。

STAMP(ABLミリストイルポケット)阻害剤。BCR-ABL 融合遺伝子により産生され、CML(慢性骨髄性白血病) 細胞の増殖等に関与している融合タンパク(BCR-ABL)のABL に結合し、ABL のリン酸化を阻害すること等により、BCR-ABL 融合遺伝子を有するCML 細胞の増殖を抑制すると考えられている。

2剤以上のチロシンキナーゼ阻害剤(分子標的薬)による前治療に抵抗性又は不耐容の患者に使用する。用法・用量は「通常、成人には1回40mgを1日2回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。

オプジーボ点滴静注20mg、同100mg、同120mg、同240mg(ニボルマブ(遺伝子組換え)、小野薬品):「尿路上皮がんにおける術後補助療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間はなし。薬効分類429。

ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体。根治切除後の再発リスクが高い筋層浸潤性尿路上皮がん患者の術後補助療法として、オプジーボ単剤療法をプラセボと比較した国際共同第3相CheckMate-274(ONO-4538-33)試験結果に基づき、有効性・安全性が評価された。国内で同効能を持つがん免疫療法薬はない。

パージェタ点滴静注420mg/14mL(ペルツズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬)
ハーセプチン注射用60、同150(トラスツズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬)
:いずれも「がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間はなし。薬効分類429。

抗HER2ヒト化モノクローナル抗体。HER2 レセプターの異なる部位を標的とし、両剤を併用することで、単剤で投与するよりもHERシグナル伝達系をより広範囲に遮断する。2017年患者調査(厚労省)によると、国内の結腸・直腸がん患者数は28万8000人と報告され、結腸・直腸がんに占めるHER2陽性の割合は5%未満と報告されていることから、HER2陽性の結腸・直腸がん患者数は、約1万4400人未満と推測される。

ミチーガ皮下注用60mgシリンジ(ネモリズマブ(遺伝子組換え)、マルホ):「アトピー性皮膚炎に伴うそう痒(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類449。

そう痒誘発性サイトカインのIL-31とそのレセプターの結合を競合的に阻害するヒト化抗ヒトIL-31受容体Aモノクローナル抗体。アトピー性皮膚炎(AD) に伴うそう痒に対する初の生物製剤となる。

用法・用量は「通常、成人及び13歳以上の小児には1回60mgを4週間の間隔で皮下投与する」。

タクザイロ皮下注300mgシリンジ(ラナデルマブ(遺伝子組換え)、武田薬品):「遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類449。

完全ヒト型抗ヒト血漿カリクレインモノクローナル抗体。遺伝性血管性浮腫(HAE)は腹部、顔面、足、性器、手、喉など、身体のさまざまな場所に繰り返し浮腫発作を引き起こす希少な遺伝性疾患で、国内患者数は約2500人、実際にHAE と診断されている患者は約450人と推定されている。

用法・用量は「通常、成人及び12歳以上の小児には、2週間に1回300mgを皮下注射する。なお、症状安定後には、4週間に1回300mgを皮下注射することができる」。

同剤は、米国で18年に12歳以上のHAE患者の発作抑制薬として初めて承認を取得し、現在は50超の国で承認されている。海外では医療専門家によるトレーニングを受けたうえで、患者自身または介護者による投与も可能としている。

フィブリノゲンHT静注用1g「JB」(乾燥人フィブリノゲン、日本血液製剤機構):「産科危機的出血に伴う後天性低フィブリノゲン血症に対するフィブリノゲンの補充」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。再審査期間はなし。薬効分類634。

フィブリノゲンは血液凝固因子の1つであり、出血の際にトロンビンの作用を受けてフィブリンとなることで止血機能を発揮する。国内で製造販売される唯一のフィブリノゲン製剤。21年9月の薬食審医薬品第二部会において事前評価済みで、保険適用になっている。
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