エーザイは5月３日、アルツハイマー病治療薬アデュカヌマブ（ADUHELM）の米国内における保険償還の制限による影響などを踏まえ、22年３月期連結利益予想を下方修正すると発表した。営業利益は当初見込み（21年1日発表）の780億円から245億円減の535億円（増減率△31.4％）に修正した。これに伴い、親会社の所有者に帰属する当期利益は前回予想から125億円減の480 億円（増減率△20.7％）を見込む。

◎在庫の評価損負担分165億円を販管費に計上　営業利益は245億円減の535億円に

アデュカヌマブをめぐっては、米メディケア・メディケイド サービスセンター（CMS）が4月8日付で、同剤の保険償還範囲を臨床試験での使用のみと制限した。これを踏まえてエーザイは、Biogen Inc.によるアデュカヌマブの最新の需要予測を受け、同剤に係る販売権の評価を見直した。その結果、減損損失80億円を売上原価に計上することを確認。Biogen Inc.が計上した在庫の評価損の同社負担分165億円を販売費及び一般管理費に計上すること等の影響により、営業利益は前回予想から245億円減となる535億円を見込んだ。

一方で、売上収益は、製品の販売や為替の動向を踏まえて、前回予想から260億円増の7560億円に上方修正した。期末配当金は1株当たり80円を予定し、年間配当金の予定（前期と同額の年間1株当たり160円）に変更はない。