【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

AZの重症喘息薬・テゼスパイアなど6製品を審議へ 8月29日の薬食審・第二部会で

公開日時 2022/08/15 20:45
厚生労働省は8月29日に薬食審・医薬品第二部会を開き、アストラゼネカの重症喘息を対象疾患とする抗TSLP抗体・テゼスパイア皮下注(一般名:テゼペルマブ)など6製品の承認の可否を審議する。この中にはブリストル マイヤーズ スクイブの尋常性乾癬などを対象疾患とする経口TYK2阻害薬・ソーティクツ錠(デュークラバシチニブ)や、第一三共の再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫を対象疾患とするEZH1/2阻害薬・エザルミア錠(バレメトスタット)も含まれる。

報告品目は6品目。この中に、がん免疫療法薬・キイトルーダ点滴静注について、進行・再発子宮頸がんの適応追加と、トリプルネガティブ乳がんに対する術前及び術後の薬物療法の追加がある。子宮頸がんの適応が正式承認されると、子宮頸がんに対する初の免疫療法となる。

【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)

テゼスパイア皮下注210mgシリンジ(テゼペルマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ):「気管支喘息(既存治療によって喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

抗TSLP抗体薬。複数の炎症カスケードの上流で主要な上皮細胞サイトカインであり、重症喘息に伴うアレルギー性、好酸球性、他のタイプの気道炎症の発現および持続に不可欠なTSLP(胸腺間質性リンパ球新生因子)の作用を阻害するヒト型モノクローナル抗体。

コントロール不良の重症喘息を対象とする第3相NAVIGATOR試験を含む、一連の臨床開発プログラムの結果に基づき、21年5月に承認申請された。年間喘息増悪率(AAER)について、52週間にわたり患者集団全体で、プラセボ投与群に比べ、56%抑制し、統計学的な有意差を認めた。また、同剤はバイオマーカーのレベルによらず喘息の増悪抑制が期待できるとの試験結果も出ており、AZは「広範な重症喘息患者集団に対する治療を変革する可能性がある」としている。

なお、同剤は今年3月3日の薬食審・医薬品第二部会に上程される予定だったが、「議題を公表した後に企業から新たな情報が提供され、その内容を詳細に確認する必要があった」(厚労省医薬品審査管理課)ため、上程が見送られた経緯もある。

ソーティクツ錠6mg(デュークラバシチニブ、ブリストル マイヤーズ スクイブ):「既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

経口TYK2阻害薬。TYK2(チロシンキナーゼ2)は、細胞外からの刺激シグナルを細胞内に伝達するために働くリン酸化酵素群のひとつであるJAKファミリーの分子。乾癬を含む自己免疫疾患の病態に寄与するインターロイキン(IL)-12、IL-23、I型インターフェロンなどの炎症性サイトカインの受容体に結合して下流にシグナルを伝達する役割を担っている。同剤はこれらのTYK2に依存するシグナル伝達経路を高い選択性で阻害し、効果を発揮する。

メンクアッドフィ筋注(4価髄膜炎菌ワクチン(破傷風トキソイド結合体)、サノフィ):「髄膜炎菌(血清群A、C、W及びY)による侵襲性髄膜炎菌感染症の予防」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

米国では、髄膜炎菌の血清群A、C、W、Yによる侵襲性髄膜炎菌感染症(髄膜炎を含む)の予防を目的として、2歳児以上に同ワクチンの接種が行われている。

バクニュバンス水性懸濁性シリンジ(沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(無毒性変異ジフテリア毒素結合体)、MSD):「高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる成人における肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F及び33F)による感染症の予防」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

15種類の肺炎球菌血清型に対応したワクチン。米国では21年7月に18歳以上の成人に対する適応で承認されている。なお、日本で同ワクチンは小児に対する適応でも承認申請されている。

ベリナート皮下注用2000(人C1-インアクチベーター、CSLベーリング):「遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制」を対象疾患とする新投与経路医薬品。希少疾病用医薬品。

血漿分画製剤。既承認のベリナートP静注用に対し、今回の皮下注製剤は遺伝性血管性浮腫(HAE)の長期的な発症抑制を目的に使用するもの。

HAEは、遺伝子変異が原因で血液中のC1-インヒビターの低下もしくは機能異常を起こす病気で、国の指定難病「原発性免疫不全症候群」の疾患のひとつに認定されている。皮膚や腹部など身体中のあらゆる箇所に繰り返し腫れが起こり、喉が腫れると気道をふさいで呼吸困難に陥り、命に関わる場合もある。

エザルミア錠50mg、同錠100mg(バレメトスタットトシル酸塩、第一三共):「再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。

EZH1/2阻害薬。EZH1及びEZH2は多くの血液がんで発現しているヒストンメチル化酵素。がん抑制遺伝子の不活性化に関係している。同剤はエピジェネティクス(DNA配列の変化を伴わない遺伝子発現変化を誘導する分子メカニズム)領域の低分子医薬品で、EZH1及びEZH2を選択的に阻害することで、これらに依存して増殖するがん細胞を抑制する。

成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の感染が原因で発症する疾患で、日本に多い悪性リンパ腫の一種。国内の年間新規患者数は約1000人、年間死亡者数は約1000人と推定されている。ATLの発症予防や有効な治療法は十分に確立されておらず、予後不良とされている。

【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

キイトルーダ点滴静注100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD):「進行又は再発の子宮頸がん」を対象疾患とする新効能医薬品。「ホルモン受容体陰性かつHER2陰性で再発高リスクの乳がんにおける術前・術後薬物療法」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。

ヒト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体。子宮頸がんの適応では、抗がん剤・パクリタキセル注(日本化薬)を併用する。承認された場合、子宮頸がんに対する初の免疫療法となる。

今回報告するトリプルネガティブ乳がんの適応は、トリプルネガティブ乳がんに対する術前化学療法との併用療法と、これに続く術後のキイトルーダ単独療法の追加となる。キイトルーダは既にPD-L1陽性の手術不能又は再発のトリプルネガティブ乳がんの適応を持つが、今回はPD-L1の発現有無にかかわらずトリプルネガティブ乳がん患者に対して術前と術後に同剤を使用できるようにするもの。

パクリタキセル注30mg/5mL「NK」、同注100mg/16.7mL「NK」(パクリタキセル、日本化薬):「進行又は再発の子宮頸がん」を対象疾患とする新用量医薬品。公知申請。

キイトルーダの子宮頸がん適応と併用する。

カルボプラチン点滴静注液50mg「NK」、同150mg「NK」、同450mg「NK」(カルボプラチン、マイラン製薬):「乳がん」を対象疾患とする新用量医薬品。

キイトルーダのトリプルネガティブ乳がんの術前・術後薬物療法と併用する。

アービタックス注射液100mg(セツキシマブ(遺伝子組換え)、メルクバイオファーマ):「RAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん及び頭頸部がん」を対象疾患とする新用量医薬品。公知申請。

抗ヒトEGFRモノクローナル抗体。現在は1週間間隔で用いているが、今回2週間間隔の投与を追加する。

ベバシズマブBS点滴静注100mg「CTNK」、同400mg「CTNK」(ベバシズマブ(遺伝子組換え)[ベバシズマブ後続4]、日本化薬):「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん、扁平上皮がんを除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん、手術不能又は再発乳がん」を対象疾患とするバイオ後続品。

抗VEGFヒト化モノクローナル抗体・アバスチンの4剤目のバイオ後続品。

メトジェクト皮下注7.5mgシリンジ0.15mL、同10mgシリンジ0.20mL、同12.5mgシリンジ0.25mL、同15mgシリンジ0.30mL(メトトレキサート、日本メダック):「関節リウマチ」を対象疾患とする新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。

メトトレキサート初の皮下注製剤。錠剤やカプセル剤では「関節リウマチ」の適応を持つ。
プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
関連ファイル

関連するファイルはありません。

【MixOnline】キーワードバナー
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(1)

1 2 3 4 5
悪い   良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事

一緒に読みたい関連トピックス

重症喘息、糖尿病などで新規機序医薬品 肝がんで免疫療法薬同士の併用
22年8月版 申請品リスト

国内申請数は82 がん領域で23品目

2022/08/01
ミクス編集部が製薬企業68社の国内フェーズ2以降の開発品を集計したところ、22年7月10日時点で申請中のプロジェクト数(以下、品目数)は速報値で82品目となった。
後期開発品数 1位はAZ 2位は中外製薬 内資系トップは武田薬品も全体7位
22年8月版 企業別リスト

後期開発品数 1位はAZ 2位は中外製薬 内資系トップは7位の武田薬品

2022/08/01
ミクス編集部が製薬企業68社(内資企業47社、外資企業21社)の国内フェーズ2以降の開発品を調査した「新薬パイプラインリスト2022年版8月版 企業別」によると、原則22年6月末時点(申請品目は7月10日まで集計)でP2以降の国内開発プロジェクト数(以下、品目数)は791品目に上った。
ボタン追加
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー