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有識者検討会 足下の物価高騰・製造原価率高いGE「次期改定で対応する必要があるのでは」成川構成員

公開日時 2022/10/13 06:34
厚生労働省は10月12日の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」(座長:遠藤久夫・学習院大経済学部教授)に、物価高騰によるコスト上昇が足下で続くなかで、医薬品の安定供給の観点から「最低薬価、不採算品再算定、基礎的医薬品等の必要な薬価を維持する仕組み」の運用や制度のあり方を論点にあげた。成川衛構成員(北里大薬学部教授)は、「今回の薬価改定、中間年改定で、そこはやはり何か対応する必要があるのではないか」との見解を示した。ただ、日本ジェネリック製薬協会が提出したデータが大手1社のデータであることや、製造原価の実態把握などを求める声があがった。

厚労省は、物価高騰による製造コストが上昇するなかで、医療上必要な医薬品の安定供給確保に向けた対応を論点にあげた。ジェネリックを中心として、不採算品目が増大することが指摘されるなかで、「最低薬価、不採算品再算定、基礎的医薬品等の必要な薬価を維持する仕組みについて、運用や制度のあり方についてどう考えるか」を論点にあげた。事務局は、「いずれにも一定の制約が課せられている」と課題を説明した。具体的には、最低薬価については、「それ以上薬価を下げないようにする最低価格を剤形ごとに必要な最低限のコストを確保する形で設定しているが、全ての剤形がカバーされているわけではないこと。薬価を維持されるものの、薬価差が生じることなどが課題となっている」と説明。不採算品再算定については、「不採算品目のうち、医療上の必要性が高い品目について薬価の引き上げを行う制度だが、2年に一度の薬価改定時にしか適用ができないこと、同一組成、剤形、規格の製品が複数ある場合には、その全てが不採算になっていないと適用ができないこと。原価計算方式で最も低い額で算定がされるため、企業によっては不採算が解消されないことなどが課題となっている」とした。基礎的医薬品については、「医療上の必要性の高い品目について、最低薬価と異なり、品目ごとに価格を設定してその薬価を維持する仕組みだが、薬価収載してから25年以上経過した古い品目のみ対象となっている」と説明した。

◎製造原価率が特に高いジェネリック「何か少し短期的なことも考えないといけない」


成川構成員は、物価高騰が続くなかで、「製造原価率が特に高いジェネリックについては、何か少し短期的なことも考えないといけない」との認識を示した。日本ジェネリック製薬協会は9月29日の業界ヒアリングで赤字品目が2015年度の約120品目から21年度には約220へと倍増したとのデータを提示したが、「最初にグラフを見たときは非常に驚いた。ただ、もう少し詳しく調べないといけないと思っている。大手の1社データなので、複数の会社の事情を把握しておく必要あるだろうと考えている」と指摘。「不採算と一口に言っても、ジェネリックでどんな医薬品が不採算なのか。もし何か特徴があるのか、基礎的医薬品や安定確保医薬品に多いなどもう少し詳しいデータがあったら示していただきたい」と述べた。

川原丈貴構成員(川原経営総合センター代表取締役社長)は、設備投資などの固定費と、変動費を加味して分析する必要性を指摘。総コストでは原価割れとなってしまっても変動費を上回っていれば貢献利益があることから、「変動費を超える価格で売れていれば作った方がいいのではないかという経営判断も一方ではある」と指摘。「製造原価のなかで、固定費と変動費に分けたときに果たして薬価とか、もしくは納入価といったところと、どんな関係にあるのか。それがまた経営にどういうふうに影響するかが出てくるのではないか」との見解を示した。

◎ジェネリックのビジネスモデルへの指摘相次ぐ 共同開発や多品目少量生産も


ジェネリックのビジネスモデルをめぐる課題を指摘する声もあがった。成川構成員は共同開発をめぐる課題を指摘。「単なる品揃えというか、すごく短期的な目的で共同開発をやっているケースもある。それが結果的に品目数の増加につながり、卸の物理的な負担や過当競争を煽ることにつながったり、あるいは生産効率を下げたりすることもある」と指摘。「どの品目が共同開発か外から分からないのは問題だ。また、同じ所が作っていても価格が違ったりするケースはたぶんあると思う。そのあたりは何か少し工夫するという必要は将来的にあるのでは、という問題意識を持っている」と述べた。

香取照幸構成員(上智大総合人間学部社会福祉学科教授)は、同一製造ラインにおいて多品目・少量生産を行っているジェネリックの製造実態に問題意識を示した。香取構成員は、「このままでいいんですか、というのが私の疑問。これからバイオになったときには成り立たなくなる。バイオの消費が増えてきたときに、こういう製造モデルっていうのを当局として容認するのか」と投げかけた。安定供給の観点からも課題認識を示した。

◎坂巻構成員「日本全体の製造キャパシティ、海外依存はどのくらいか」 サプライチェーンに課題認識

医薬品の安定供給をめぐり、サプライチェーンの強靭化も論点にあがった。坂巻弘之構成員(神奈川県立保健福祉大大学院教授)は、「医薬品産業全体における供給不足、安定供給ということを考えた場合は、例えば日本全体でどのくらいの製造キャパシティを持っているのか、海外依存がどのくらいなのか、あるいはその原材料の供給について、海外でどのくらい依存しているのか、いわゆるサプライチェーンが重要だ。こういったものもジェネリックだけではなくて、先発医薬品、あるいは長期収載品も含めて産業全体の問題として議論する必要があるのではないか」との考えを示した。

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