米PhRMA HTAは患者多様性考慮せず インフレ対策で高まるHTAの必要性に反発
公開日時 2022/11/21 04:49
PhRMA(米国研究製薬工業協会)のKatie Koziara広報部長は11月7日、現行のHTA(医療技術評価)で医薬品の評価を行うことは、患者の多様性を考慮しないと指摘した。結果的に、治療選択肢を限定し、人口集団における健康格差を拡大するとHTAの手法を批判した。米国では今年8月、バイデン大統領が署名、発効したインフレ軽減法(The Inflation Reduction Act)において、HTAの必要性が強調されている。
Koziara部長は、HTAの評価手法が「平均的患者」を対象としているものの患者集団は多様性をもち、「平均的患者」というものは存在しないと指摘し、安易なHTA導入に警鐘を促した。患者のバックグラウンドが異なることで、同一の治療法でもアウトカムも異なるとの考えを示した。
このほか、以下の点についても意見を表明した。
▽Tufts Medical Centerによると民族あるいは人種による相異を示したHTA報告は全体の5%以下にすぎないなど、多くのHTA手法では民族・人種の相異が考慮されてない。
▽肺炎球菌ワクチンの価値が黒人では他の患者(平均的患者)に比べ2倍の価値がある。もし「平均的患者」に基づき給付が決定されたら、黒人患者は、彼らに高い価値があるにも拘わらず、同ワクチンを拒否される可能性がある。
▽人種集団間で平均寿命に潜在的な不均衡があると仮定すると、HTA手法では、救命治療の価値が、黒人では白人より10%少なくなることを示唆している。