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厚労省 新薬等17製品を承認 新有効成分は抗CTLA-4抗体・イジュドなど8製品

公開日時 2022/12/26 04:51
厚生労働省は12月23日、新医薬品など17製品を承認した。この中には肝細胞がんや非小細胞肺がん(NSCLC)を対象疾患とする免疫療法薬の抗CTLA-4抗体・イジュド点滴静注(一般名:トレメリムマブ、製造販売元:アストラゼネカ、薬効分類:429)があり、既承認の免疫療法薬である抗PD-L1抗体・イミフィンジ点滴静注(デュルバルマブ、アストラゼネカ、429)と併用して肝細胞がん(1次治療)に用いることや、化学療法を含む3剤併用でNSCLC(1次治療)に用いることが承認された。

今回の承認品目のうち新有効成分は、イジュドのほかに、▽パーキンソン病の症状の日内変動の改善に用いるヴィアレブ配合持続皮下注(ホスレボドパ/ホスカルビドパ水和物、アッヴィ、116)、▽経皮吸収のアルツハイマー型認知症治療薬・アリドネパッチ(ドネペジル、帝國製薬、119)、▽壊死組織除去剤・ネキソブリッド外用ゲル(なし、科研製薬、269)、▽慢性特発性血小板減少性紫斑病治療薬・タバリス錠(ホスタマチニブナトリウム水和物、キッセイ薬品、399)、▽子宮頸がんを対象疾患とする抗PD-1抗体・リブタヨ点滴静注350mg(セミプリマブ、サノフィ、429)、▽アトピー性皮膚炎を対象疾患とするヒト抗ヒトIL‐13モノクローナル抗体・アドトラーザ皮下注((トラロキヌマブ、レオファーマ、449)、▽深在性真菌症治療薬・クレセンバカプセル、同点滴静注用(イサブコナゾニウム硫酸塩、旭化成ファーマ、6179)――の8製品となる。

◎ラジカットにALS適応の液剤追加 イーケプラに「てんかん重積状態」の適応追加

効能追加では、イミフィンジに胆道がんを追加することや、ラジカット(エダラボン、田辺三菱製薬、119)に筋萎縮性側索硬化症(ALS)を対象疾患とする内用懸濁液を追加すること、イーケプラ点滴静注(レベチラセタム、ユーシービージャパン、113)に厚労省の未承認薬・適応外薬検討会議からの開発要請品目である「てんかん重積状態」を追加することなどがある。

承認された製品は次の通り(カッコ内は一般名、製造販売元)。薬効分類順に記載。

イーケプラ点滴静注500mg(レベチラセタム、ユーシービージャパン):「てんかん重積状態」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。厚労省の未承認薬・適応外薬検討会議開発要請品目。事前評価済公知申請。再審査期間なし。薬効分類:113。

日本救急医学会から開発要望が出されたもの。てんかん重積状態は、神経細胞の異常興奮により海馬(記憶を司る脳の部位)を中心に不可逆な障害を起こすことが知られており、繰り返すことで海馬が著明に萎縮し機能障害を残す。さらに呼吸循環に影響するため、時に致命的となり、早急な救急対応とその後の集中治療を必要とする。

ヴィアレブ配合持続皮下注(ホスレボドパ/ホスカルビドパ水和物、アッヴィ):「レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病の症状の日内変動(wearing-off現象)の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤。再審査期間は8年。薬効分類:116。

レボドパ/カルビドパの分子構造を改良したプロドラック溶液で、レボドパ含有製剤として初の皮下投与製剤。24時間持続皮下注入(CSCI)により投与することで血中濃度を一定に保ち、効果を持続させる特長がある。

パーキンソン病では、疾患の進行に伴い脳内のドパミン濃度が不安定になり、経口のレボドパ/カルビドパ薬の頻回な服用が必要となる。一部の患者では1日平均10-11錠の経口投与により、患者や介護者の負担が大きくなっている。

アリドネパッチ27.5mg、同パッチ55mg(ドネペジル、帝國製薬):「アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:119。

ドネペジルを有効成分とする国内初の経皮吸収型製剤。経口投与のアリセプトの有効成分は「ドネペジル塩酸塩」であり、アリドネとは異なる。興和が独占的に販売する。

アリドネは背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替えて使用する。軽度~中等度のアルツハイマー型認知症患者にはドネペジルとして1日1回27.5mgを貼付。高度のアルツハイマー型認知症患者にはドネペジルとして、27.5mgで4週間以上経過後、55mgに増量する。なお、症状により1日1回27.5 mgに減量できる。

ラジカット内用懸濁液2.1%(エダラボン、田辺三菱製薬):「筋萎縮性側索硬化症(ALS)における機能障害の進行抑制」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間は6年。薬効分類:119。

日本で15年6月に承認されたALS治療薬のエダラボン点滴静注製剤(製品名:ラジカット注、同点滴静注バッグ)と同一成分の経口薬。厚労省によると、経口投与が困難な場合は、経鼻や胃婁チューブを用いて経管投与することもできる。

既承認のエダラボン点滴静注製剤の投与方法は、▽通院での投与、▽医療従事者の訪問による在宅投与――となっており、今回の経口薬の承認により、通院負担の軽減などが期待できる。

経口薬の用法・用量は、「通常、成人に1回5mL(エダラボンとして105mg)を空腹時に1日1回経口投与する。投与後1時間は水以外の飲食は避ける。通常、本剤投与期と休薬期を組み合わせた28日間を1クールとし、これを繰り返す。第1クールは14日間連日投与する投与期の後14日間休薬し、第2クール以降は14日間のうち10日間投与する投与期の後14 日間休薬する」。

トレプロスト吸入液1.74mg(トレプロスチニル、持田製薬):「肺動脈性肺高血圧症」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間は6年。薬効分類:219。

プロスタグランジンI2誘導体製剤。既承認の製剤は注射剤だが、今回、ネプライザを用いた吸入剤を追加する。現在は医療機関で投与されており、吸入剤が承認されれば通院負担の軽減につながる。

ネキソブリッド外用ゲル5g(なし、科研製薬):「深達性II度又はIII度熱傷における壊死組織の除去」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類:269。

パイナップル茎由来のタンパク質分解酵素を有効成分とする外用の酵素製剤。入院が必要な重症熱傷を指す深達性II度又はIII度熱傷を対象とした外用薬で、用法・用量は「本剤を熱傷創に適量塗布し、4時間後に除去する」となる。

熱傷部位に塗布して4時間後に除去することで、健常な組織を温存したまま、焼痂と呼ばれる壊死組織を選択的に簡便かつ速やかに除去できる。

スキャンドネストカートリッジ3%(メピバカイン塩酸塩、日本歯科薬品):「歯科・口腔外科領域における伝達麻酔」を効能・効果とする新効能医薬品。厚労省の未承認薬・適応外薬検討会議開発要請品目。事前評価済公知申請。再審査期間なし。薬効分類:271。

歯科用局所麻酔剤。浸潤麻酔で使われているところに今回、伝達麻酔を追加する。

タバリス錠100mg、同150mg(ホスタマチニブナトリウム水和物、キッセイ薬品):「慢性特発性血小板減少性紫斑病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類:399。

チロシンキナーゼを阻害し、マクロファージによる血小板の破壊を抑制することで、血小板の減少を抑制し、慢性特発性血小板減少性紫斑病(慢性ITP)の出血症状を改善することが期待されている。用法・用量は、「通常、成人には、ホスタマチニブとして初回投与量100mgを1日2回、経口投与する。投与開始4週後以降に血小板数の増加が認められず、安全性に問題がない場合は150mgを1日2回に増量する。なお、血小板数、症状に応じて適宜増減するが、最高投与量は1回150mgを1日2回とする」。

ITPの原因は未だ明確ではないが、血小板に対する自己抗体が産生され、この自己抗体に結合することによって取り込まれやすくなった血小板が脾臓でマクロファージに破壊されるために、血小板数が減少すると考えられている。ITPの治療として、副腎皮質ステロイドやTPO(トロンボポエチン)受容体作動薬の投与、手術による脾臓の摘出などが行われている。

ガラフォルドカプセル123mg(ミガーラスタット塩酸塩、アミカス・セラピューティクス):「ミガーラスタットに反応性のあるGLA遺伝子変異を伴うファブリー病」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は6年1日。薬効分類:399。

これまでの投与対象年齢は16歳以上だが、今回、12歳以上に引き下げる。具体的には用法・用量について、現在の「16歳以上の患者」を削除し、「成人及び12歳以上の小児」とする。

同剤はα-ガラクトシダーゼ(α-GalA)の基質であるスフィンゴ糖脂質の末端ガラクトースの類似体。薬理学的シャペロンとして変異型α-GalAに結合することで、α-GalAのリソソームへの輸送を促進し、リソソームにおけるα-GalA活性を上昇させると考えられている。

イジュド点滴静注25mg、同点滴静注300mg(トレメリムマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ):「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん及び切除不能な肝細胞がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:429。

がん免疫療法の一種の抗CTLA-4 抗体。CTLA-4とB7.1又はB7.2との結合を阻害し、がん抗原特異的なT細胞の活性化を亢進させることなどにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。

非小細胞肺がん(1次治療)に対して、抗PD-L1抗体・イミフィンジ及び白金系抗悪性腫瘍剤を含む他の抗悪性腫瘍剤との3剤併用で用いる。イジュドの用法・用量は、1回75mgを3週間間隔で4回、60分間以上かけて点滴静注する。その後、7週間の間隔を空けて、75mgを1回60分間以上かけて点滴静注する。

肝細胞がん(1次治療)に対してはイミフィンジとの2剤併用で用いる。イジュドの用法・用量は、「300 mgを60分間以上かけて単回点滴静注する。ただし、体重30 kg以下の場合の投与量は4mg/kg(体重)とする」。

イミフィンジ点滴静注120mg、同点滴静注500mg(デュルバルマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ)
:「治癒切除不能な胆道がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。
:「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」及び「切除不能な肝細胞がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(2026年4月28日)。
薬効分類:429。

抗PD-L1抗体。胆道がんに対してゲムシタビン塩酸塩及びシスプラチンとの3剤併用で用いる。イミフィンジの用法・用量は、「3週間間隔で、1回1500mgを60分間以上かけて点滴静注する。3 週間間隔での繰り返し投与後、デュルバルマブとして、1回1500mgを4週間間隔で60分間以上かけて点滴静注する。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする」。

非小細胞肺がん(1次治療)及び肝細胞がん(1次治療)に対しては、同日に承認された同社の抗CTLA-4 抗体・イジュド点滴静注と併用できるようにするほか、肝細胞がんでは単独投与でも使用できる新効能・新用量が今回追加された。

リブタヨ点滴静注350mg(セミプリマブ(遺伝子組換え)、サノフィ):「がん化学療法後に増悪した進行又は再発の子宮頸がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。優先審査品目。再審査期間は8年。薬効分類:429。

抗PD-1抗体。プラチナベースの化学療法の実施中に進行が見られた再発または転移性の子宮頸がん(扁平上皮がんまたは腺がん)を対象とした国際共同第3相試験に基づき申請された。セミプリマブの単剤投与群は、化学療法群と比較して死亡リスクを31%低下させた。

イムブルビカカプセル140mg(イブルチニブ、ヤンセンファーマ):「原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫」を効能・効果とする新効能医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類:429。

ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬。原発性マクログロブリン血症およびリンパ形質細胞リンパ腫は、進行が遅く、治癒困難なB細胞リンパ腫。日本における年間の新規患者数は約350人。

カルケンスカプセル100mg(アカラブルチニブ、アストラゼネカ):「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫も含む)」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は残余(2029年1月21日まで)。薬効分類:429。
ガザイバ点滴静注1000mg(オビヌツズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「CD20 陽性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫も含む)」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(2026年7月1日まで)。薬効分類:429。

カルケンスはブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬。ガザイバはヒト化抗CD20モノクローナル抗体。今回、未治療の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫も含む)に対し、両剤の併用療法が承認された。カルケンスは単独投与も可能とする。日本全国で慢性リンパ性白血病と新たに診断される患者は、1年間に10万人当たり1人未満とされる。

アドトラーザ皮下注150mgシリンジ(トラロキヌマブ(遺伝子組換え)、レオファーマ):「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:449。

アトピー性皮膚炎の徴候・症状の根底にある免疫学的機序に重要な役割を果たすIL-13サイトカインを特異的に中和する完全ヒトモノクローナル抗体。IL-13サイトカインに高い親和性で特異的に結合することにより、IL-13 受容体のα1およびα2サブユニット(IL-13 Rα1およびIL-13 Rα2)との相互作用を阻害する。同剤は初回に600mgを皮下投与し、その後は1回300mgを2週間隔で皮下投与で用いる。

レオファーマはアドトラーザの承認取得及び自社販売のため、22年に「2ケタ後半」の人数のMR体制を構築した。

クレセンバカプセル100mg、同点滴静注用200mg(イサブコナゾニウム硫酸塩、旭化成ファーマ):「下記の真菌症の治療:▽アスペルギルス症(侵襲性アスペルギルス症、慢性進行性肺アスペルギルス症、単純性肺アスペルギローマ)▽ムーコル症▽クリプトコックス症(肺クリプトコックス症、播種性クリプトコックス症(クリプトコックス脳髄膜炎を含む))」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:6179。

アゾール系抗真菌薬。真菌細胞膜の主構成成分であるエルゴステロールの生合成を阻害することで抗菌活性を示す。用法・用量は、経口剤は「通常、成人にはイサブコナゾールとして1回200mgを約8時間おきに6回(負荷投与48時間)、負荷投与終了12~24時間後より1日1回経口投与する」。静脈注射剤は「通常、成人にはイサブコナゾールとして1回200mgを約8時間おきに6回(負荷投与48時間)、負荷投与終了12~24時間後より1日1回、1時間以上かけて点滴静注する」。
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