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エーザイ・内藤CEO レカネマブ迅速承認を報告「涙が一滴出た」 バリューベースの値付けを議論したい

公開日時 2023/01/10 04:51
米国食品医薬品局(FDA)は1月6日(米国時間)、エーザイが申請したアルツハイマー病治療薬「Leqembi(一般名:レカネマブ)」を迅速承認した。米国での年間卸業者購入価格(WAC)は、年間2万6500ドル(約350万円)。日本時間の7日、会見を開いたエーザイの内藤晴夫CEOは、医薬品の臨床的価値だけでなく、患者や患者家族、介護者の生産性向上など社会的価値を含めた「バリューベースド・プライシング(Value based Pricing)が薬の価格付けの基本であると考えてきた」と強調した。日本では23年中の承認を見込むが、「これは日本発のイノベーションだ。日本社会にも大きな社会的インパクトがある。価値創造、バリューベースというコンセプトも一回、ご議論させていただけないかという想いもある」とも話した。

◎「我々の努力が正式にスタンプを押されてOKと言われた。その感慨はあるんだな」

「涙が一滴出た。普段、涙が出るなんてことはない。ClarityADの結果(が出た)時も涙は出なかった。承認は製薬企業にとっては大変なこと。一つの結果を得た。我々の努力が正式にスタンプを押されてOKと言われたということなので、その感慨はあるんだな、と改めて思ったが、これは後付けでその時は何の感慨もなく、頬のあたりが湿ったかなという感じがした」-。内藤CEOは、朝4時を前に、米国から“Congratulations!”という、迅速承認の第一報を電話で受けたときの様子をこう振り返った。

同剤の迅速承認における適応症は、アルツハイマー病。ただし、ラベルには臨床試験と同様に、アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)または軽度認知症の患者で投与を開始する必要があると明記された。「研究された病期よりも早期または後期段階での治療開始に関する安全性と有効性のデータはない」ことも記載された。迅速承認は、アミロイドβが病理的に確認されたMCIまたは軽度の認知症患者856例を対象に実施された臨床第2相試験の結果に基づくもので、10mg/kgを2週間に1度点滴静注された患者では79週間後にアミロイドβプラークをプラセボに比べ、有意に減少させたことが示されている。

安全性に関連する警告として、アミロイド関連画像異常-浮腫/浸出 (ARIA) とインフュージョンリアクションが明記された。ARIAは通常、症状はないが、頭痛や錯乱、めまい、視力低下などの症状を来す例もあるほか、重篤で生命を脅かすイベントがごく稀に発生する。また、インフルエンザ症状のような吐き気、嘔吐、血圧変化などの症状を伴うインフュージョンリアクションのリスクが警告として明記された。最も一般的な副作用は、インフュージョンリアクション、頭痛、ARIA。

迅速承認であることから、検証試験による臨床的有用性を確認することが要件となっており、共同開発したエーザイとバイオジェンは、臨床第3相試験「Clarity AD」の結果に基づき、生物製剤承認一部変更申請(sBLA)を提出したことを発表している(関連記事)。なお、米国では1月23日の週までの発売を見込む。

◎年間卸業者購入価格(WAC)は年間2万6500ドル(約350万円)

米国での価格設定に当たっては、一般的なマルコフモデルではなく、アルツハイマー病における個人レベルの認知機能低下の経過を予測し、早期介入の効果をシミュレーションする疾患モデル(AD ACE モデル)を活用。早期アルツハイマー病の生涯価値と潜在的効果を評価した。米国における早期アルツハイマー病一人当たりの社会的価値は年間3万7600ドルと算出した。そのうえで、年間卸業者購入価格(WAC)を年間2万6500ドルに決めた。内藤CEOは、「バリューのうちの6割を社会に還元するという考え方を導入している。残りの4割を、重要なステークホルダーである株主と従業員に割り振りを行うということから、価格を導き出している。バリューベースド・プライシングを基本として社会還元を考えた価格設定と考えている」と説明した。なお、米臨床経済評価研究所(ICER)は、同社の推計を下回る年間8500ドル(約112万円)から2万600ドル(約272万円)が妥当との結果を公表しているが、この理由としては、推計に用いたモデルやコホートデータの扱いの違いが大きいと説明した。

投与患者数の広がりによる国家財政への影響を懸念する声もある。アミロイドβ陽性と判断される必要があるなど、投与対象は有病者よりも少ないことなどから、「決して保険財政を圧迫する規模にはならない」ことも内藤CEOは強調した。

◎ソーシャルな価値(社会的価値)を含めて医薬品の価値評価が行われるべき

価格についての考え方としては、「20年くらい前からバリューベースド・プライシング(Value based Pricing)という考えが薬の価格付けの基本であると考えてきた。単なる医学的価値ではなく、ソーシャルな価値(社会的価値)を含めて医薬品の価値評価が行われるべきだ」と表明。規制当局が、バリューベースで価格設定を行っていないことに触れ、「Leqembiでは、バリューベースド・プライシングの考え方に基づく価格設定を世に問いたいと強く思ってきた」と述べた。また、2万6500ドルはあくまで米国における価格であるとして、「その他の国や地域においてはそれぞれのヘルスケアシステムや価格設定のルールがあるのでそれに沿った価格設定がされることになると考えている」と述べた。

◎「これは日本発のイノベーションだ。日本社会にも大きな社会的インパクトがある」

日本での価格については、「日本には日本のしっかりした薬価算定の制度があり、それが原則であることはよく承知している。米国の価格とは独立して算定されると思っている」と述べた。そのうえで、「根本的に日本の制度に則って、規制当局、行政としっかりとお話をさせていただきたいと思っているが、これは日本発のイノベーションだ。日本社会にも大きな社会的インパクトがある、価値創造、バリューベースというコンセプトも一回、ご議論させていただけないかという想いもある」と述べた。

◎利益貢献 「販売2年目の後半から3年目以降から収益に貢献するのではないか」

米国では、今後3年間で投与対象者数は10万人となる見通し。2030年には中国やインドなどアジアを含め、グローバルで約250万人が投与対象となると推計する。内藤CEOは、「30年以降にピークが訪れる。ローンチ直後に利益が大幅に上がる状況ではないと思っているが、販売2年目の後半から3年目以降から収益に貢献するのではないかと考えている。それ以降はおそらく順調に収益に貢献していくと考えている」と述べた。

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