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厚労省 新薬等24製品を承認 新有効成分は経鼻投与型インフルエンザワクチン「フルミスト」など9製品

公開日時 2023/03/28 04:51
厚生労働省は3月27日、新医薬品など24製品を承認した。この中には国内初の経鼻投与型インフルエンザ予防ワクチン・フルミスト点鼻液(一般名:経鼻弱毒生インフルエンザワクチン、製造販売元:第一三共)や、同じく初の5種混合ワクチン・ゴービック水性懸濁注(沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオヘモフィルb型混合ワクチン、阪大微生物研究会)、肥満症治療薬・ウゴービ皮下注(セマグルチド(遺伝子組換え)、ノボ ノルディスク ファーマ)が含まれる。

新有効成分含有医薬品は9製品。フルミストやゴービックのほか、▽潰瘍性大腸炎治療薬・オンボー皮下注(ミリキズマブ、日本イーライリリー)、▽待機的な静血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症改善薬・ドプテレット錠(アバトロンボパグマレイン酸塩、Sobi)、▽発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬・エムパベリ皮下注(ペグセタコプラン、Sobi)、▽フェニルケトン尿症治療薬・パリンジック皮下注(ペグバリアーゼ、バイオマリン)、▽先天性胆汁酸代謝異常症治療薬・オファコルカプセル(コール酸、レクメド)、▽真性多血症治療薬・ベスレミ皮下注(ロペグインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)、ファーマエッセンシア)、▽再生不良性貧血治療薬・アトガム点滴静注液(抗ヒト胸腺細胞ウマ免疫グロブリン、ファイザー)――となる。

このうちオンボー皮下注は、日本イーライリリーが製品供給を担当し、持田製薬が流通・販売、情報提供活動を行う(記事はこちら)。ドプテレット錠とエムパベリ皮下注は旭化成ファーマが販売する(記事はこちら)

◎エンハーツに「HER2低発現乳がん」の適応追加 ロシュDのコンパニオン診断薬も

効能追加などの承認では、第一三共の抗体薬物複合体・エンハーツ点滴静注に「HER2低発現乳がん」の適応が追加された。HER2低発現乳がん(IHC1+またはIHC2+/ISH‐)の適応を持つ薬剤はエンハーツが初めてとなる。

この適応追加に関連して、ロシュ・ダイアグノスティックスのがん組織又は細胞中のHER2タンパク検出に用いる組織検査用腫瘍マーカーキット「ベンタナultraView パスウェーHER2(4B5)」が、その適応判定補助に使用できる国内初のコンパニオン診断薬として3月3日付で一変承認された。同キットが、HER2低発現の乳がん患者を対象としたエンハーツのコンパニオン診断薬として使用できる。

承認された製品は次の通り(カッコ内は一般名、製造販売元)。薬効分類順に記載。

アポハイドローション20%(オキシブチニン塩酸塩、久光製薬):「原発性手掌多汗症」を効能・効果とする新効能・新剤形医薬品。再審査期間は4年。薬効分類125。

抗コリン作用によりエクリン汗腺からの発汗を抑制するムスカリン受容体拮抗薬。ローション剤(外用療法)であり、用法・用量は「1日1回、就寝前に適量を両手掌全体に塗布する」。

原発性局所多汗症は、日常生活に支障を来すほどの大量の発汗が生じる疾患で、手のひらに生じる場合を原発性手掌多汗症という。同じ作用機序だが、対象疾患の症状発現部位が異なる原発性腋窩(えきか)多汗症の外用療法として、科研製薬のエクロックゲル、マルホのラピフォートワイプがある。

コムレクス耳科用液1.5%(レボフロキサシン水和物、セオリアファーマ):「〈適応菌種〉本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、肺炎桿菌、エンテロバクター属、セラチア属、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属――。〈適応症〉外耳炎、中耳炎」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間は6年。薬効分類1329。

キノロン系抗菌薬。外耳炎や中耳炎に対し、点耳で用いる。用法・用量は、「通常、1回6~10滴を1日2回点耳する。点耳後は約10分間の耳浴を行う。なお、症状により適宜回数を増減する」。セオリアファーマは耳鼻咽喉科領域のスペシャリティ企業。

▽①オンボー点滴静注300mg②同皮下注100mgオートインジェクター③同皮下注100mg シリンジ(ミリキズマブ(遺伝子組換え)、日本イーライリリー):「①中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)②③中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は10年(小児を対象とした国際共同第2相試験が実施されていることから、8年から2年延長)。薬効分類239。

大腸粘膜の炎症に関与するサイトカインであるIL-23の p19 サブユニットを標的としたヒト化IgG4モノクローナル抗体。日本イーライリリーが製品供給を担当し、持田製薬が流通・販売および情報提供活動を行う。作用機序が一部同じで、同様の位置付けとなり、競合することが考えられる生物学的製剤にヒト型抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体製剤ステラーラ点滴静注、同皮下注がある。

▽エンタイビオ皮下注108mgペン、同皮下注108mgシリンジ(ベドリズマブ(遺伝子組換え)、武田薬品):「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間は6年。薬効分類239。

ヒト化抗ヒトα4β7インテグリンモノクローナル抗体製剤。潰瘍性大腸炎に対する用法・用量は、「通常、成人にはベドリズマブ(遺伝子組換え)として1回108mgを2週間隔で皮下注射する」となる。

既承認のエンタイビオ点滴静注用の効能・効果は、▽中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)、▽中等症から重症の活動期クローン病の治療及び維持療法(同)――で、今回の皮下注製剤は潰瘍性大腸炎の維持療法のみの適応となる。

ウゴービ皮下注0.25mgSD、同皮下注0.5mgSD、同皮下注1.0mgSD、同皮下注1.7mgSD、同皮下注2.4mgSD(セマグルチド(遺伝子組換え)、ノボ ノルディスク ファーマ):「肥満症 ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。・BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する、・BMIが35kg/m2以上」を効能・効果とし、0.25mgSD、0.5mgSD、1.0mgSDは新効能・新用量・その他に係る医薬品。1.7mgSD、2.4mgSDは新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。再審査期間4年。薬効分類249。

週1回皮下投与のGLP-1アナログ。GLP-1受容体を介して、脳における食欲の調節機構に対して作用することなどにより、肥満症患者に対して体重減少効果を発揮することが期待されている。

用法・用量は「通常、成人には、セマグルチド(遺伝子組換え)として0.25mgから投与を開始し、週1回皮下注射する。その後は4週間の間隔で、週1回0.5mg、1.0mg、1.7mg及び2.4mgの順に増量し、以降は2.4mgを週1回皮下注射する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する」。

なお、ウゴービ皮下注0.25mgSD、同0.5mgSD、同1.0mgSDと同一成分・同一規格の製品として、同社の2型糖尿病治療薬・オゼンピック皮下注0.25mgSD、同0.5mgSD、同1.0mgSDがあるが、医療上の使用環境の違いなどを考慮して別の製品名となった。

リネイルゲル10%(アセチルシステイン、マルホ):「巻き爪矯正の補助」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間は6年。薬効分類269。

現在、国内で巻き爪に対する適応を持つ医薬品は承認されておらず、主に外科的治療と保存的治療が行われている。外科的治療は侵襲性が高いことや手術後に起こる爪の変形等の問題があることから、ワイヤ等の爪矯正具を用いた非侵襲的な保存的治療が広く行われている。

本剤は、爪の構成成分であるケラチンに含まれるジスルフィド結合を還元して開裂することで爪を軟化させ、爪矯正具の効果の早期発現及び効果の持続に寄与する。用法・用量は「巻き爪に爪矯正具を装着後、爪甲全体に適量を塗布し、約24時間後に水又は湯で洗い流す」。

ドプテレット錠20mg(アバトロンボパグマレイン酸塩、Sobi):「待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬。再審査期間は8年。薬効分類339。

トロンボポエチン(TPO)受容体作動薬。TPO受容体を介して、内因性TPOのシグナル伝達系の一部を活性化することにより、造血幹細胞の増殖並びに巨核球への分化及び成熟を促進し、その結果として血小板産生を促進する。旭化成ファーマと日本国内における独占販売契約を締結している。同一効能・効果を有するTPO受容体作動薬に塩野義製薬のムルプレタ錠がある。

アイソボリン点滴静注用25mg、同100mg(レボホリナートカルシウム水和物、ファイザー):「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。薬効分類392。
5-FU注250mg、同1000mg(フルオロウラシル、協和キリン):「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。薬効分類422。
▽①エルプラット点滴静注液50mg、同100mg、同200mg、②オキサリプラチン点滴静注液50mg/10mL「サンド」、同100mg/20mL「サンド」、同200mg/40mL「サンド」(オキサリプラチン、①ヤクルト本社、②サンド):「胃がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。薬効分類429。

いずれも事前評価済み公知申請。再審査期間なし。

治癒切除不能な進行・再発胃がんに対し、フルオロウラシル、レボホリナート、オキサリプラチンを併用するFOLFOX療法を行えるようにするもの。

エムパベリ皮下注1080mg(ペグセタコプラン、Sobi):「発作性夜間ヘモグロビン尿症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類399。

赤血球の破壊(溶血)を引き起こす補体蛋白C3の機能を阻害するPEG化ペプチド(補体C3阻害薬)。現在、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)治療薬として、アレクシオンファーマの補体C5阻害薬ソリリス点滴静注及びユルトミリス点滴静注、同HI点滴静注が使用されているが、C5阻害薬が投与された一部の患者ではC3を介した血管外溶血が認められており、治療上の課題となっている。本剤は、C5阻害薬で効果不十分な患者が投与対象となる。旭化成ファーマと日本国内における独占販売契約を締結している。

パリンジック皮下注2.5mg、同皮下注10mg、同皮下注20mg(ペグバリアーゼ(遺伝子組換え)、BioMarin Pharmaceutical Japan):「フェニルケトン尿症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類399。

フェニルケトン尿症(PKU) は、フェニルアラニン水酸化酵素遺伝子(PAH)の変異により血中のフェニルアラニン(Phe)濃度が高値を示す遺伝性疾患。本剤は、PAH の代替として血中Phe濃度の低下をもたらす。

オファコルカプセル50mg(コール酸、レクメド):「先天性胆汁酸代謝異常症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。未承認薬・適応外薬検討会議開発要請品目。薬効分類3999。

先天性胆汁酸代謝異常症は、肝臓において胆汁酸の生合成を担う酵素の遺伝子が生まれた時から欠損している疾患。本剤は、胆汁酸の主成分であるコール酸を有効成分とし、酵素の欠損に起因して合成されないコール酸を外部から補充するもの。

ベスレミ皮下注250μgシリンジ、同皮下注500μgシリンジ(ロペグインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)、ファーマエッセンシアジャパン):「真性多血症(既存治療が効果不十分又は不適当な場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類429。

長時間作用型モノペグ化プロリンインターフェロン。2週間に1回の皮下投与で用いる。

ファーマエッセンシアのコアテクノロジーである「部位選択的ペグ化技術」は、タンパク質分子内の特定のアミノ酸をポリエチレングリコール(PEG)という高分子化合物によって選択的に修飾できるようにした技術で、化学的に均一な「ペグ化タンパク質」の合成を可能にした。このペグ化によってタンパク質医薬の体内における分解が抑制され、半減期の延長と長時間にわたる効果の持続につながり得る、優れた薬物動態/薬力学的特性を示す。

同社は台湾の台北に本社を置く。同剤は、同社として初めて日本で承認申請した品目。

エンハーツ点滴静注用100mg(トラスツズマブデルクステカン(遺伝子組換え)、第一三共):「化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能又は再発乳がん」を効能・効果とする新効能医薬品。優先審査品目。再審査期間は残余期間(2028年3月24日まで)。薬効分類429。

抗HER2抗体薬物複合体(抗HER2 ADC)。第一三共は22年6月にHER2低発現乳がんの効能追加に係る一変申請を行い、優先審査された。

現在、HER2陽性乳がんは、IHC法でスコア3+、またはIHCスコア2+/ISH陽性――を指し、乳がん患者のうちHER2陽性例は15~20%とされる。これ以外は現在、HER2陰性に分類される。

これに対してHER2低発現乳がんは、IHCスコア2+/ISH陰性、またはIHCスコア1+を指す。HER2低発現乳がんは、乳がん患者全体の約半数が該当するとされ、新規の患者カテゴリーとなる。なお、ロシュ・ダイアグノスティックスのがん組織又は細胞中のHER2タンパク検出に用いる組織検査用腫瘍マーカーキット「ベンタナultraView パスウェーHER2(4B5)」が、HER2低発現の乳がん患者を対象としたエンハーツのコンパニオン診断薬として使用できる。

オプジーボ点滴静注20mg、同100mg、同120mg、同240mg(ニボルマブ(遺伝子組換え)、小野薬品):「非小細胞肺がんにおける術前補助療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。薬効分類429。

抗PD-1抗体。今回追加する非小細胞肺がん(NSCLC)の術前補助療法は、手術後の再発予防を目的とするもので、化学療法と併用する。用法・用量は「他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはニボルマブとして、1回360mgを3週間間隔で点滴静注する。ただし、投与回数は3回までとする」。

小野薬品の発表資料によると、治癒を目的とした外科手術がNSCLCのステージI~IIIBの一部の患者に実施されているが、手術を行った場合でもNSCLC患者の30~55%で再発し、亡くなっているという。

ペメトレキセド点滴静注用100mg「NK」、同点滴静注用500mg「NK」、同点滴静注用800mg「NK」、同点滴静注液100mg「NK」、同点滴静注液500mg「NK」、同点滴静注液800mg「NK」(ペメトレキセドナトリウムヘミペンタ水和物、日本化薬):「扁平上皮がんを除く非小細胞肺がんにおける術前補助療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。薬効分類422。

オプジーボに今回追加された「非小細胞肺がんにおける術前補助療法」と併用するための効能及び用法の追加となる。

ペマジール錠4.5mg(ペミガチニブ、インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン):「FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性又はリンパ性腫瘍」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類429。

選択的線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害薬。今回の追加適応の用法・用量は、「通常、成人には、ペミガチニブとして1日1回13.5mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」となる。なお、既承認の胆道がん適応では、1日1回13.5mgを14日間経口投与した後、7日間休薬することを1サイクルとして投与を繰り返す。

FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性又はリンパ性腫瘍は、極めて希少な血液がんの1つで、染色体のFGFR1遺伝子が存在する領域(8番染色体短腕11-12領域:8p11-12領域)が切断され、別の染色体の断片(遺伝子)と融合した染色体異常によって引き起こされる。さまざまなパートナー遺伝子がFGFR1チロシンキナーゼの活性化を誘導し、その結果、がん細胞の増殖と生存に影響を及ぼす。

病型は骨髄増殖性腫瘍(MPN)、骨髄異形成症候群(MDS)/MPN、急性骨髄性白血病(AML)、前駆T又はBリンパ芽球性白血病/リンパ腫、混合表現型急性白血病(MPAL)など多彩。予後は不良で、治癒あるいは長期寛解を期待できる治療選択肢は現在、同種造血幹細胞移植のみとされ、標準治療は確立されていない。

テクネフチン酸キット(フィチン酸テクネチウム(99mTc)、PDRファーマ):「子宮頸がん、子宮体がん、外陰がん、頭頸部がんにおけるセンチネルリンパ節の同定及びリンパシンチグラフィ」を効能・効果とする新投与経路医薬品・新効能医薬品。公知申請。再審査期間なし。薬効分類430。

同剤は、フィチン酸ナトリウムを有効成分とする、フィチン酸テクネチウム(99mTc)を用時調製するための製剤。組織液やリンパ液中のカルシウムイオンとキレート化してコロイドを形成し、その一部が投与部位の近傍に存在するリンパ管を経てリンパ節の網内系組織に捕捉されることで、センチネルリンパ節の同定及びリンパシンチグラフィを可能とする。現在、乳がんや悪性黒色腫のセンチネルリンパ節の同定及びリンパシンチグラフィを効能・効果としている。

バリキサドライシロップ5000mg(バルガンシクロビル塩酸塩、田辺三菱製薬):「症候性先天性サイトメガロウイルス感染症」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類625。

抗サイトメガロウイルス化学療法剤。正式承認されると、症候性先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症に対する世界初の治療薬となる。症候性先天性CMV感染症に対する用法・用量は「通常、新生児及び乳児にはバルガンシクロビルとして1回16mg/kgを1日2回、経口投与する」。

症候性先天性CMV感染症は、CMVが妊婦の胎盤を経由して胎児に感染して発症する疾患。国内で年間1700人程度が発症すると推計されている。症候性先天性CMV感染症の新生児は、出生時に中枢神経障害や難聴などの症状を示し、その後、精神発達遅滞などの神経学的後遺症を残す割合が多く、成長や発達を損なうことが問題となっている。

フルミスト点鼻液(経鼻弱毒生インフルエンザワクチン、第一三共):「インフルエンザの予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類631。

国内初の経鼻投与のインフルエンザ予防ワクチン。4種類のインフルエンザウイルス(A型2種類、B型2種類)を含む鼻腔噴霧型のインフルエンザ弱毒生ワクチン。同ワクチンの接種により、抗原特異的血清中抗体及び粘膜抗体応答、並びに抗原特異的T細胞応答が誘導され、感染防御あるいは感染からの回復に重要な役割を果たすと考えられている。

用法・用量は、「2歳以上19歳未満の者に、0.2mLを1回(各鼻腔内に0.1mLずつ)を鼻腔内に噴霧する」。投与対象年齢が2歳以上19歳未満となったのは臨床試験デザインに基づく。

アトガム点滴静注液250mg(抗ヒト胸腺細胞ウマ免疫グロブリン、ファイザー):「中等症以上の再生不良性貧血」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。未承認薬・適応外薬検討会議開発要請品目。薬効分類639。

ヒト胸腺細胞で免疫されたウマの血漿から分離精製した免疫グロブリンG( IgG)。強力なT細胞抑制作用により、再生不良性貧血の病態を改善する。

ゴービック水性懸濁注シリンジ(沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオヘモフィルb型混合ワクチン、阪大微生物研究会):「百日せき、ジフテリア、破傷風、急性灰白髄炎及びインフルエンザ菌b型による感染症の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤。再審査期間は8年。

国内初の5種混合ワクチンで、既存の百日せき、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオの4種混合ワクチンであるテトラビック皮下注シリンジに、Hibワクチンを加えたもの。Hibワクチンが新有効成分となる。阪大微研は田辺三菱製薬と共同開発した。

用法・用量は、初回免疫は「小児に通常、1回0.5mLずつを3回、いずれも20日以上の間隔で皮下又は筋肉内に接種する」――、追加免疫は「小児に通常、初回免疫後6か月以上の間隔をおいて、0.5mLを1回皮下又は筋肉内に接種する」。

現在、2歳までに必要な定期接種ワクチンの総接種回数は20回以上におよぶ。両社は、「混合ワクチンの実用化により、接種回数を削減することは乳幼児および保護者の負担軽減につながる」としている。
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