アステラス製薬 ソニーと共同研究契約締結 がん領域の新規ADCプラットフォーム創製で
公開日時 2023/05/17 04:50
アステラス製薬は5月16日、ソニーが独自開発した高分子材料を用いたがん領域における新規抗体薬物複合体(ADC)プラットフォームの創製に向けて、共同研究契約を締結したと発表した。ソニーの高分子材料「KIRAVIA Backbone」(キラビア バックボーン)をリンカーとして用い、両社が共同で新規ADCプラットフォームの創製と最適化研究を行う。
KIRAVIA Backboneは、ソニーが独自開発し、試薬メーカーにライセンス提供している「KIRAVIA Dyes」で培った有機高分子技術を用いて生成される。立体構造をプログラムし高分子化するため、高い設計自由度が特長だという。これにより、付加する薬剤分子の数を増やしながら、複数種類の薬剤の搭載や、水溶性の向上(凝集化の防止)、細胞内の酵素と反応して切断するなど、高い安定性と選択的な薬物放出の機能を備えたリンカーの合成が期待される。
より優れたADCを創製するためには、抗体と抗がん剤をつなぐリンカーの技術が重要となる。高い設計自由度により、搭載する薬剤分子を正確に増やしながら水溶性向上等の機能性を付加できるKIRAVIA Backboneをリンカーに用いることで、高い薬物抗体比などを実現し、抗がん剤を、狙ったがん細胞に効果的かつ安定的に届け、治療効果を大きく向上させることを目指す。
このほか、両社は、ADC技術にとどまらず、ソニーの持つ最先端テクノロジーとアステラス製薬の持つファーマケイパビリティを掛け合わせた創薬プラットフォーム構築・価値創造の可能性について、協議を継続していく。