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アリックスパートナーズ 生成AI技術実用化で「MR営業モデルの革新的・破壊的な変革が目前に迫る」

公開日時 2023/06/06 04:50
グローバルコンサルティング会社のアリックスパートナーズは6月5日、「国内製薬企業の企業価値向上に向けた打ち手の方向性」と題するレポートを発表した。国内製薬企業については、営業利益率が5%を下回る企業数が20年前の約3倍に増加したと指摘。労働生産性と研究開発の効率に着目した収益改善が成長のカギだと強調した。各社のMR営業モデルについては、「生成AI技術が実用レベル段階にまで達しており、製薬業界の営業モデルの革新的・破壊的な変化が目前に迫っている」と指摘。「企業が抱えるMRのキャパシティは大幅に余剰になり、MRの稼働率は更に低下する」と述べ、販売モデルの転換を伴うMRの生産性改善を喫緊の課題にあげた。

◎国内製薬企業を苦しめる「三重苦」 新薬創出難易度、後発品普及拡大 薬価低減

レポートでは、国内製薬企業を苦しめる「三重苦」として、①新薬創出難易度の高まり、②後発医薬品の普及拡大、③薬価の低減-などの外部環境要因を指摘した。その上で、国内上場製薬企業の業績について、2000年の営業利益率(平均)が13.2%、2021年は12.6%と「一見すると大差ない」としながらも、「営業利益率が5%を切っている企業数の割合を比較すると、2000 年は 14.8%(4社)だったのに対し、2021年は 33.3%(11 社)と、大幅に増加している」と分析。「業績の善し悪しの差が広がっていることも示唆される」と強調した。グローバル企業と国内企業の比較では、「グローバルトップはここ10 年で平均7%程度の売上成長に対し、国内製薬企業の大半はその成長率を大きく下回る低成長に甘んじている」とし、「営業利益率はグローバルトップに及ばない水準の企業が多い」との見方を示した。

◎国内製薬企業の価値向上「短期的施策」 販管費を中心とするコスト削減で原資創出

国内製薬企業の企業価値向上に向けた「短期的施策」では、販管費を中心とするコスト削減による成長投資に向けた原資創出を提言した。具体的には、①組織構造および人材配置の見直しによる人件費の最適化、②販売モデルの転換によるMR生産性改善、③リソース配分見直しによる研究開発費の最適化-を求めた。

◎MR営業モデル 先行企業と対応遅れ企業との間に「企業の生産性格差が拡大」

このうちアフターコロナのMR営業モデルについて、「病院・クリニックを物理的に訪問できなくなったMRの稼働率は半減し、アフターコロナの現在においても不可逆だ。この変化を先取りした企業と変化への対応に遅れてしまった企業の生産性格差が拡がっている」と分析。「外資製薬企業を中心に先行する企業においては、少数精鋭のMRが物理的な制約を超えたデジタル空間で一度に数百名の専門医に解説を行うといった手法が既に当たり前に行われている。またMRの中にも階層を設け、MR以外の専門ポジションを作ることで、最優秀人材の能力・スキルを重要な局面にのみ効率的にシェアして活用するといった組織的な仕組みを導入している」と述べ、MR営業モデルそのものが変革していることを強調した。

◎医薬品情報提供、市場調査、医師からの問い合わせ対応は「生成AI」に代替も

一方、「生成AI」の進化がもたらすMR営業モデルの革新的・破壊的変革にも触れ、「製薬業界特有の厳格なコンプライアンス規制下にあるMRは、こうして得られるデータ・情報以外の情報提供活動は一切禁じられている。そして情報を得たい医師は、知的高度技能者であり、生成AIとの親和性が高い。これらを考慮すると、医薬品情報提供、市場調査、医師からの問い合わせ対応といったMRの業務のかなりの部分が生成AIに代替されてしまう将来はそう遠くない」とも見通した。
 
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