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厚労省 新薬等16製品を承認 新有効成分はFGFR阻害薬・リトゴビ錠など3製品

公開日時 2023/06/27 04:50
厚生労働省は6月26日、新医薬品など16製品を承認した。このうち新有効成分含有医薬品は3製品で、▽胆道がんを対象疾患とするFGFR阻害薬・リトゴビ錠(一般名:フチバチニブ、製造販売元:大鵬薬品)、▽円形脱毛症を対象疾患とするJAK3/TECファミリーキナーゼ阻害薬・リットフーロカプセル(リトレシチニブトシル酸塩、ファイザー)、▽急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫を対象疾患とする抗悪性腫瘍酵素製剤・オンキャスパー点滴静注用(ペグアスパルガーゼ、日本セルヴィエ)――となる。

このほか、痛風・高尿酸血症治療薬・フェブリクに小児適応が追加され、同剤は国内で唯一の小児の痛風・高尿酸血症患者に対する適応を持つ尿酸降下薬となった。

承認された製品は次の通り(カッコ内は一般名、製造販売元)。薬効分類順に記載。

イーケプラドライシロップ50%、同点滴静注500mg(レベチラセタム、ユーシービージャパン):「てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。再審査期間は4年。薬効分類113。

光学活性を有するピロリドン誘導体で、シナプス小胞タンパク質2Aへの結合による神経伝達物質放出の調整、Caチャネル阻害等により、抗てんかん作用を示す。てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対し、現在4歳以上の小児及び成人を対象に承認されているが、今回、生後1カ月以上4歳未満に対する小児用量が追加された。

用法・用量は、生後6カ月以上の小児は、既承認の4歳以上と同じ。生後1カ月以上6カ月未満の小児は、「レベチラセタムとして1日14mg/kgを1日2回に分け、1回量を15分かけて点滴静脈内投与する」。いずれの場合も症状により適宜増減するが、1日最高用量及び増量方法は、生後6カ月以上の小児は既承認の4歳以上と同じ。生後1カ月以上6カ月未満の小児は、「1日最高投与量は42mg/kgを超えないこととし、増量は2週間以上の間隔をあけて1日用量として14mg/kg以下ずつ行う」となる。

パルモディアXR錠0.2mg、同XR錠0.4mg(ペマフィブラート、興和):「高脂血症(家族性を含む)」を効能・効果とする新剤形医薬品。再審査期間は残余(2025年7月2日まで)。薬効分類218。

選択的PPARαモジュレーター。XR錠は、吸収部位での本薬の溶出速度を抑えるように設計された徐放性製剤で、1日1回投与で用いる。既承認のパルモディア錠は1日2回投与。

XR錠の用法・用量は、「通常、成人にはペマフィブラートとして1回0.2mgを1日1回経口投与する。ただし、トリグリセライド高値の程度により、1回0.4mgを1日1回まで増量できる」。

コレチメント錠9mg(ブデソニド、フェリング・ファーマ):「活動期潰瘍性大腸炎(重症を除く)」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間は4年。薬効分類239。

局所作用型ステロイドであるブデソニドを有効成分とする経口剤。MMX(Multi-Matrix System)技術を用いたDDS製剤で、患部である大腸でブデソニドを長くかつ広範囲に放出するように設計されている。用法・用量は「通常、成人にはブデソニドとして9mgを1日1回朝経口投与する」。フェリングが承認を取得後、持田製薬が製品供給を受けて流通・販売を行う。

なお、ブデソニドを有効成分とする潰瘍性大腸炎(重症を除く)治療薬には、EAファーマのレクタブル注腸フォームがある。

ソグルーヤ皮下注5mg、同10mg、同15mg(ソマプシタン(遺伝子組換え)、ノボ ノルディスク ファーマ):「骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症」を効能・効果とする、5mg製剤及び10mg製剤は新効能・新用量・その他の医薬品。15mg製剤は新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。再審査期間は残余(2029年1月21日まで)。薬効分類241。

週1回投与の長時間作用型ヒト成長ホルモンアナログ製剤。今回の効能追加に併せて15mg製剤が追加された。追加する効能の用法・用量は、「通常、ソマプシタン(遺伝子組換え)として0.16mg/kgを、週1回、皮下注射する」。

グロウジェクト皮下注6mg、同皮下注12mg(ソマトロピン(遺伝子組換え)、JCRファーマ):「骨端製閉鎖を伴わないSHOX異常症における低身長」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間なし。薬効分類241。

遺伝子組換え天然型ヒト成長ホルモン製剤。SHOX異常症は、性染色体上に存在する成長遺伝子SHOXの機能喪失を招く微細欠失・重複や変異などに起因する遺伝子疾患で、成長遺伝子の異常により低身長を呈する。日本で承認されている治療薬はない。

フェブリク錠10mg、同20mg、同40mg(フェブキソスタット、帝人ファーマ):「痛風、高尿酸血症」を効能・効果に小児用量を追加するもので、10mg製剤は新用量・その他の医薬品。20mg製剤及び40mg製剤は新用量医薬品。再審査期間は4年。薬効分類394。

非プリン型選択的キサンチンオキシダーゼ阻害薬。小児には、体重に応じた投与量を1日1回の経口投与で用いる。

先天性心疾患、慢性腎疾患、甲状腺機能低下症、先天性代謝異常症などの慢性疾患を有する小児患者では、慢性的な高尿酸血症が認められることが多いとされる。これらの基礎疾患に伴う高尿酸血症は、適切に治療されない場合には成人期に痛風を発症する可能性があり、小児期から長期にわたって尿酸値をコントロールする必要がある。肥満児における高尿酸血症の痛風への移行も懸念されている。

一方で、小児の痛風・高尿酸血症患者に対して用法・用量が設定された尿酸降下薬はない。フェブリクは今回、国内で唯一の小児の痛風・高尿酸血症患者に対する適応を持つ尿酸降下薬となった。

リットフーロカプセル50mg(リトレシチニブトシル酸塩、ファイザー):「円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類399。

JAK3/TECファミリーキナーゼ阻害薬。ATP(アデノシン三リン酸)結合部位の遮断により、JAK3および5種類のTECファミリーキナーゼを不可逆的に阻害する共有結合形成型の経口投与可能な低分子製剤。円形脱毛症の病態に関与するIL-15、IL-21の共通γ鎖受容体のシグナル伝達をJAK3阻害により抑制し、CD8陽性T細胞およびNK細胞の細胞溶解能をTECファミリーキナーゼ阻害により抑制することから、治療効果が期待できると考えられている。

用法・用量は、「通常、成人及び12歳以上の小児には、リトレシチニブとして50mgを1日1回経口投与する」。なお、円形脱毛症に対して承認されているJAK阻害薬にはオルミエント錠があり、リットフーロは2剤目となる。

▽①リンヴォック錠7.5mg、②同錠15mg、③同錠30mg、④同錠45mg(ウパダシチニブ水和物、アッヴィ):①②③は「中等症から重症の活動期クローン病の寛解導入及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。④は「中等症から重症の活動期クローン病の寛解導入療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(2028年1月22日まで)。薬効分類399。

JAK阻害薬。用法・用量は、クローン病の導入療法では「通常、成人にはウパダシチニブとして45mgを1日1回12週間経口投与する」。維持療法では「通常、成人にはウパダシチニブとして15mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態に応じて30mgを1日1回投与することができる」。

リンヴォックは20年1月に既存治療で効果不十分な関節リウマチで承認されて以降、既存治療で効果不十分な▽関節症性乾癬、▽X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎、▽強直性脊椎炎、▽アトピー性皮膚炎、▽潰瘍性大腸炎――の適応を追加した。同剤にとってクローン病は7つ目の適応となる。

リトゴビ錠(フチバチニブ、大鵬薬品):「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類429。

FGFR1、2、3、4を不可逆的かつ選択的に阻害する経口の共有結合型FGFR阻害薬。FGFR1-4のATP結合部位に結合しFGFRを介するシグナル伝達経路を阻害することで、FGFR1-4遺伝子異常を持つ腫瘍細胞の増殖を抑制し、細胞死を誘導する。

用法・用量は、「通常、成人には、フチバチニブとして1日1回20mgを空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。大鵬薬品は同剤の22年7月の承認申請時に、FGFR2遺伝子の融合またはその他の再構成を検出するためのコンパニオン診断機能を有する医療機器をシスメックス社と共同開発していることを明らかにしている。

FGFR阻害薬としてはインサイト・バイオサイエンシズ・ジャパンの胆道がんなどを対象疾患とするペマジール錠に続く2剤目となる。

オンキャスパー点滴静注用3750(ペグアスパルガーゼ、日本セルヴィエ):「急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。厚労省の未承認薬・適応外薬検討会議からの開発要請品目。薬効分類429。

大腸菌由来L-アスパラギナーゼ(L-ASP)をポリエチレングリコールで化学修飾(PEG化)した抗悪性腫瘍酵素製剤。PEG化によって半減期が延長し、長期間にわたり薬の効果が期待できる血中アスパラギナーゼ活性を維持する。L-ASPは、血中のL-アスパラギンをアスパラギン酸とアンモニアに分解し、L-アスパラギンを枯渇させることにより、増殖においてL-アスパラギンを必須とする急性リンパ性白血病(ALL)などの悪性腫瘍に対して増殖抑制作用を示すと考えられている。

同剤は、他の抗悪性腫瘍剤と併用して、2週間間隔で用いる。なお、21歳以下の患者は体表面積0.6㎡以上の場合は1回2500国際単位/㎡(体表面積)を、体表面積0.6㎡未満の場合は1回82.5国際単位/kg(体重)を投与する。22歳以上の患者は1回2000国際単位/㎡(体表面積)を投与する。

キイトルーダ点滴静注100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD):「再発又は難治性の原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は10年。希少疾病用医薬品。薬効分類429。

抗PD-1抗体。活性化T細胞上のPD-1に結合することにより、がん細胞上のPD-L1及びPD-L2との結合を阻害することで、がん細胞による活性化T細胞の抑制を阻害する。抑制されていたT細胞が再度がん抗原を認識した際に、再活性化され、がん細胞を排除できるようになる。

原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)は、胸腺B細胞由来の進行が速い悪性リンパ腫で、非ホジキンリンパ腫の2~4%、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の最大10%を占める。30代に発生することが多く、診断時の年齢の中央値は35歳。化学療法による一次治療後も治癒しないPMBCL患者の割合は10~20%。再発患者には、自家造血幹細胞移植が有効な場合があるが、再発・難治例の転帰は不良であると報告されている。

デュピクセント皮下注300mgシリンジ、同ペン(デュピルマブ(遺伝子組換え))、サノフィ):「既存治療で効果不十分な結節性痒疹」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は4年。薬効分類449。

ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体。IL-4とIL-13は2型炎症において中心的な役割を果たすタンパク質で、2型炎症はアトピー性皮膚炎、気管支喘息、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎と同様に、結節性痒疹にも関与しているとされる。

結節性痒疹に対する用法・用量は、「通常、成人にはデュピルマブとして初回に600mgを皮下投与し、その後は1回300mgを2週間隔で皮下投与する」で、アトピー性皮膚炎に対する用法・用量と同じ。

バクニュバンス水性懸濁性注シリンジ(沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(無毒性変異ジフテリア毒素結合体)、MSD):「肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者における肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F及び33F)による感染症の予防及び小児における肺炎球菌(同)による侵襲性感染症の予防」を効能・効果とする新効能医薬品及び小児用量を追加する新用量医薬品。再審査期間は残余期間(2030年9月25日まで)。薬効分類631。

15種類の肺炎球菌血清型に対応したワクチン。今回は小児適応の追加と、肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる18歳未満の者に使用を拡大するもの。これまでは高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる成人を投与対象としていた。

シングリックス筋注用(乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(チャイニーズハムスター卵巣細胞由来):グラクソ・スミスクライン):「帯状疱疹の予防」を効能・効果とする新用量医薬品。再審査期間は残余期間(2026年3月22日まで)。薬効分類631。

帯状疱疹予防ワクチン。今回、帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上の者に使用が拡大された。用法・用量は「0.5mLを2回、通常、1~2カ月の間隔をおいて、筋肉内に接種する」となる。

ハイゼントラ20%皮下注1g/5mL、同20%皮下注2g/10mL、同20%皮下注4g/20mL(pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射)、CSLベーリング):「無又は低ガンマグロブリン血症」を効能・効果とする新用量医薬品。再審査期間なし。薬効分類634。

血漿分画製剤。これまで週1回投与で用いているが、今回、2週に1回の投与が追加された。

アディノベイト静注用キット250、同500、同1000、同1500、同2000、同3000(ルリオクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え)、武田薬品):「血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制」を効能・効果とする新用量医薬品。再審査期間は残余期間(2024年3月27日まで)。薬効分類634。

ペグ化技術により作用時間を延長した半減期延長型の血友病A治療薬。

これまでの定期補充療法の用法・用量は、週2回投与で使用し、患者の状態に応じて増量できる内容となっている。今回、成人及び12歳以上の小児について、週2回投与で用いるものの、「患者の状態に応じて、1回体重1kg当たり40~50国際単位を2日間隔、1回体重1kg当たり40~80国際単位を3~7日間隔で投与できる。ただし投与間隔を4~7日間隔に延長する場合は一定期間出血がみられていないことを確認のうえで、5日間隔投与まで、さらに7日間隔投与まで段階的に延長すること」に変更した。

12歳未満の小児も週2回投与で用いるが、「患者の状態に応じて、1回体重1kg当たり40~60国際単位を2日間隔、1回体重1kg当たり40~80国際単位を3~4日間隔で投与できる。ただし、投与間隔を4日間隔に延長する場合は、一定期間出血が認められないことを確認のうえで延長すること」に変更した。


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