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23年4~6月の国内医療用薬市場 コロナ禍からの回復本格化 売上トップ10のうち4製品が免疫療法薬

公開日時 2023/08/18 04:52
IQVIAは8月17日、2023年第2四半期(4~6月)の国内医療用医薬品市場が薬価ベースで2兆7934億円となり、前年同期比4.3%増だったと発表した。病院、開業医、「薬局その他」の3市場とも、前年同期の伸び率と比較して今期の伸び率はいずれも増加しており、コロナ禍からの市場回復が本格化していることが確認された。売上上位10製品のうち5製品はがん領域製品で、このうち4製品はオプジーボなどの免疫療法薬が占めた。

同社の市場データには新型コロナワクチン・治療薬の政府購入分は含まれておらず、一般流通品のみ反映されている。

文末の「関連ファイル」に、国内市場の22年第1四半期以降の四半期ごとの売上推移及び伸び率と、売上上位10製品の売上推移及び伸び率の資料を掲載しました。有料会員のみダウンロードできます。14日間の無料トライアルはこちら)。

23年第2四半期の国内市場の伸び率は4.3%で、前年同期の伸び率1.3%から今期は3ポイント拡大した。市場別では、100床以上の病院市場は1兆3275億円(1億円未満切捨、前年同期比6.5%増)で、前年同期の伸び率(1.1%増)から今期の伸び率は5ポイント以上拡大した。100床未満の開業医市場は4972億円(2.1%増)で、前年同期の伸び率(1.6%増)から今期は0.5ポイント拡大。薬局その他市場は9685億円(2.4%増)で、前年同期の伸び率(1.3%増)から今期は1.1ポイント拡大した。

IQVIAジャパンは、「どの市場も前年同期比より伸長率が増加しており、新型コロナウイルス感染症流行影響からの回復が堅調に進んでいる」と分析している。

◎製品売上 1位オプジーボ 2位キイトルーダ 3位リクシアナ

売上上位10製品を見ると、1位はがん免疫療法薬・オプジーボ(売上420億8800万円、前年同期比12.7%増)、2位はがん免疫療法薬・キイトルーダ(399億4800万円、24.7%増)、3位は抗凝固薬・リクシアナ(333億6100万円、11.9%増)、4位は抗潰瘍薬・タケキャブ(290億9600万円、6.2%増)、5位は抗がん剤・タグリッソ(290億3000万円、1.7%増)、6位はがん免疫療法薬・イミフィンジ(272億9800万円、116.9%増)、7位は加齢黄斑変性症治療薬・アイリーア(227億6900万円、1.1%増)、8位はがん免疫療法薬・テセントリク(207億8600万円、12.4%増)、9位は糖尿病・慢性心不全・CKD治療薬・フォシーガ(206億6600万円、39.1%増)、10位は抗凝固薬・イグザレルト(205億500万円、3.6%減)――だった。

◎イミフィンジがトップ10入り ラゲブリオは圏外に

売上上位10製品のうちオプジーボ、キイトルーダ、イミフィンジ、テセントリクのがん免疫療法薬4製品はいずれも2ケタ以上成長し、今回初めてトップ10入りしたイミフィンジは3ケタの成長を果たした。

IQVIAジャパンによると、イミフィンジは22年12月に胆道がん及び肝細胞がんといった消化器がんの適応を追加したことで大幅伸長した。なお、オプジーボは22年5月に追加した食道がん適応、キイトルーダは22年9月に追加した▽進行・再発子宮頸がん、▽ホルモン受容体陰性かつHER2陰性で再発高リスクの乳がんにおける術前・術後薬物療法――の適応が、それぞれ2ケタ成長に貢献したとしている。

一方で、22年第4四半期(10~12月)に一気に1位で初ランクインし、23年第1四半期(1~3月)まで2期連続で売上トップ10入りしていた経口新型コロナ治療薬・ラゲブリオは第2四半期にトップ10圏外となった。IQVIAジャパンによると、ラゲブリオは22年9月16日スタートの一般流通により大きく伸長したが、23年第2四半期の伸長率は第1四半期と比べると5.2ポイントのマイナスに転じたという。コロナ禍が落ち着きをみせたことと、ゾコーバの政府購入品の処方が拡大していることが、ラゲブリオが四半期ベースでマイナス基調になった理由とみられる。

◎売上上位10製品 3つがアストラゼネカ製品

売上上位10製品の製造販売元も見てみると、タグリッソ、イミフィンジ、フォシーガの3つはアストラゼネカ(AZ)の製品だった。3製品とも成長しており、なかでもイミフィンジのほかフォシーガも39%の大幅増だった。AZの23年の国内業績は好調であることが予想される。

IQVIAジャパンは、フォシーガが好調な要因に関し、20年11月に条件付きで承認を取得した慢性心不全の適応について、23年1月から左室駆出率にかかわらず慢性心不全の治療薬として使用可能になったことを挙げている。

◎薬効別売上 1位の抗腫瘍薬市場の拡大続く、2位の2.7倍の規模に

売上上位10薬効を見ると、1位は抗腫瘍薬(4980億7100万円、12.6%増)、2位は糖尿病治療薬(1844億600万円、7.7%増)、3位は免疫抑制剤(1543億7600万円、9.0%増)、4位は抗血栓症薬(1116億2400万円、0.6%増)、5位は眼科用剤(872億400万円、2.7%増)、6位は全身性抗ウイルス薬(802億5000万円、49.5%増)、7位は診断用検査試薬(770億9400万円、11.4%減)、8位は制酸剤、鼓腸及び潰瘍治療薬(707億4500万円、16.5%減)、9位は喘息及びCOPD治療薬(699億7900万円、10.2%増)、10位はレニン-アンジオテンシン系作用薬(694億4100万円、1.0%増)――だった。

薬効別で2ケタ成長したのは抗腫瘍薬、全身性抗ウイルス薬、喘息及びCOPD治療薬――の3市場となる。抗腫瘍薬市場ではオプジーボなどの売上上位製品が好調で、2位の糖尿病治療薬市場の2.7倍の規模にまで拡大。プレゼンスがさらに高まった。

全身性抗ウイルス薬市場は経口新型コロナ治療薬のラゲブリオ、ゾコーバ、パキロビッドの一般流通開始が大幅伸長の理由だが、前述の通り、4半期ベースではピークアウトの局面に入ったとみられる。

◎喘息及びCOPD治療薬市場 売上上位4製品は全てGSK製品

喘息及びCOPD治療薬市場は、ヌーカラが前年同期比25.2%増、テリルジーが42.8%増となったことなどが同市場の拡大に寄与した(IQVIAは売上上位10製品以外の製品売上を開示していない)。IQVIAジャパンによると、同市場では両剤を含む売上上位4製品はすべてグラクソ・スミスクライン(GSK)の製品とのこと。両剤以外の製品名は明らかにしていないが、GSKの主力品のひとつであるレルベアは含まれているとみられる。

一方で、薬効別で2ケタ減収となったのは診断用検査試薬と制酸剤、鼓腸及び潰瘍治療薬の2市場となる。診断用検査試薬市場はコロナ禍で急成長したが、新型コロナが5月に5類感染症に移行し、検査試薬の使用に自己負担が発生するようになったことも2ケタ減の一因とみられる。制酸剤、鼓腸及び潰瘍治療薬市場では、22年12月に後発品が参入したネキシウムの減収影響が大きかった。

◎23年上期売上 1位のオプジーボは818億円 5製品が500億円以上

ミクス編集部は、IQVIAの公表資料から23年上期(1~6月)の製品売上を集計してみた。23年上期に500億円以上売り上げたのは5製品あり、売上上位からオプジーボが818億6700万円(前年同期比15.8%増)、キイトルーダが752億2400万円(23.3%増)、リクシアナが622億400万円(13.3%増)、タケキャブが559億2300万円(1.5%増)、タグリッソが549億5700万円(4.2%増)――となった。これらの製品が23年の1年間に売上1000億円を超える可能性がありそうだ。
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