エーザイ メコバラミン高用量製剤 ALSに係る適応で新薬承認申請
公開日時 2024/01/29 04:48
エーザイは1月26日、メコバラミンの高用量製剤について、筋委縮性側索硬化症(ALS)に係る適応で新薬承認申請を行ったと発表した。本剤は厚労省から希少疾病用医薬品に指定されている。エーザイは2015年5月にALSを対象疾患に高用量メコバラミンの新薬承認申請を行ったが、追加試験が必要との判断により、16年3月に申請を取り下げた。その後、医師主導治験で良好な結果が得られたことから今回の申請準備を進めていた。
今回の申請は、徳島大学の梶龍兒特命教授(主任研究者)、徳島大学大学院の和泉唯信教授(治験調整医師)、千葉大学大学院の桑原聡教授(治験調整医師)らの研究チームが医師主導治験として実施した、発症早期のALS患者に対する高用量メコバラミンの有効性の検証と安全性の確認を目的とする、高用量メチルコバラミン(メコバラミン)のALSに対する第3相試験(JETALS)の結果に基づく。
メコバラミンのALSの病態における作用機序は解明されていないが、非臨床研究の結果から、神経保護作用、神経軸索再生作用により有効性を示す可能性が示唆されている。
1990年代より厚生科学研究費補助金特定疾患対策研究事業の神経変性疾患に関する研究班において、ALSに対する高用量メコバラミンの臨床研究が実施された。メチコバールとしての承認用量の50倍~100倍量である1回25mg~50mgのメコバラミンの筋肉内投与による短期および長期試験において、高用量メコバラミンがALSに対して臨床効果を示す可能性が示唆され、エーザイは06年より臨床第2/3相試験(761試験)を実施。15年5月に761試験の結果を基に新薬承認申請を行った。しかし、追加試験が必要との判断により、16年3月にこの申請を取り下げた。その後、JETALSにおいて良好な臨床試験結果が得られたことを受け、エーザイは日本でALSに対する新薬承認申請に向けた準備を進めていた。
なお、メコバラミンは現在、製品名「メチコバール」として、末梢性神経障害などの適応で発売されている。