海和製薬 PI3Kα阻害薬・リソバリシブを承認申請 希少かつ悪性度高い卵巣明細胞がんを対象疾患に
公開日時 2025/08/19 04:49
海和製薬は8月15日、自社創製のPI3Kα阻害薬・リソバリシブ(一般名、開発コード:CYH33)について、がん化学療法後に増悪したPIK3CA遺伝子変異を有する進行・再発の卵巣明細胞がんを対象疾患に承認申請したと発表した。リソバリシブは今回の対象疾患で、厚労省から希少疾病用医薬品に指定されている。海和(ハイへ)製薬は、中国の製薬企業Haihe Biopharmaの日本法人で、2021年に設立された。
卵巣明細胞がん(OCCC)は、上皮性卵巣がんの中でも希少かつ悪性度の高いサブタイプ。より一般的な漿液性卵巣がんと比較して、OCCCはその病理学的特性により既存の治療に抵抗性を示し、プラチナ製剤を用いる化学療法の奏効率が極めて低いことが知られている。
同社は、「再発性OCCCには確立された有効な標準治療がなく、予後は漿液性卵巣がんよりも著しく不良。OCCCは満たされていない治療ニーズの代表的なものの一つ」だと指摘している。
ゲノム研究により、OCCCではPIK3CA遺伝子変異が高頻度に認められることが明らかになった。変異はエクソン9とエクソン20に多くみられ、PI3Kαとその下流経路を活性化することで、OCCCの発症と進行を促進する。このためPIK3CAがコードするPI3Kαは、OCCCの有望な治療標的となる可能性があるという。
◎Haihe Biopharma・董瑞平CEO 「リソバリシブは中国の創薬における画期的な成果」
Haihe Biopharmaの董瑞平(ドン・ルイピン)CEOは、「Haihe Biopharmaが独自に創製した高選択性PI3Kα阻害剤・リソバリシブは、中国の創薬における画期的な成果であり、世界中の希少がん患者さんの治療向上に貢献することを期待している」とコメント。今回の日本での申請については、「グマロンチニブの日本での承認取得(24年6月)に続く、Haihe Biopharmaのイノベーション主導グローバル戦略における重要な一歩になる」とし、「リソバリシブが承認され、患者さんに新たな希望をもたらすことを期待している」と話している。