大塚HD・樋口社長兼CEO 次期第4次中計「グローバル10プラス2」 加えて5製品以上の上市も狙う
公開日時 2024/02/15 04:50
大塚ホールディングス(HD)の樋口達夫代表取締役社長兼CEOは2月14日、23年度12月期決算説明会に臨み、24年スタートの第4次中期経営計画について、「グローバル10プラス2」を掲げる方針を明示した。自社販売/戦略的提携10製品と戦略的導出2製品を次世代の成長ドライバーに据えたもの。さらに、中計期間に5製品以上の上市も見込む。樋口社長は、最終年を迎えた第3次中期経営計画(19~23年)を振り返り、「第4次中計につながる成長ドライバーの数が増え、多くの挑戦ができる安定した財務基盤と人材が成長してこれからもイノベーションを生み出すことができる」と自信をのぞかせた。
◎第3次中計の振り返り グローバル4製品が2年前倒しで目標達成
樋口社長は第3次中計について、「当初予想できなかったパンデミック、地政学的なリスクの高まり、さらにエネルギーコストや原材料費の高騰など大きな社会環境の変化があった」と振り返りつつ、23年12月期の業績が第3次中計を大きく上回ったと強調した。特に医療関連事業では、グローバル4製品(エビリファイメンテナ、レキサルティ、サムスカ/ジンアーク、ロンサーフ)が第3次中計の目標を2年前倒しで達成するなど業績伸長に大きく寄与したことを評価した。
同社は、「次世代の成長ドライバー」として自社開発品10品目、戦略的導出品2製品からなる「グローバル10プラス2」の育成に注力しており、このうちレキサルティやロンサーフなどすでに6品目が上市されている。樋口社長は、「第4次中計では、グローバル10プラス2に加えて、5製品以上の新製品を上市する計画だ。引き続き新たな成長ドライバーの育成に注力し、持続的成長の実現を確固たるものにしていく」と訴えた。
◎23年12月期 売上収益と事業利益いずれも過去最高
23年12月期の売上収益は前年比16.1%増の2兆186億円、事業利益は同78.7%増の3126億円。第3次中計の当初計画である売上収益1兆7000億円、事業利益2000億円を大幅に上回り、いずれも過去最高となった。一方で、営業利益はAVP-786に係る減損損失を計上した影響により、7.1%減の1396億円となった。
売上収益ではグローバル4製品が17.4%増の7269億円と好調に推移し、医療関連事業をけん引した。このうち、23年5月に米FDAから「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション」の効能追加承認を取得したレキサルティについて、樋口社長は「追加適応の承認以降、処方箋は順調に伸長している。23年11月時点で全ての適応症を含む総処方箋数におけるアジテーションの構成比は11%となり、着実に増加している」とした。一方、同じアルツハイマー型認知症に伴うアジテーションを適応とした米国での第3相臨床試験で主要評価項目を達成できなかった「AVP-786」について触れ、「残念な結果だったが、速報であり詳細を分析していきたい。試験データを見る限りでは、薬剤としてのシグナルは感じる。ただ承認につながる結果に結びつくかはまた別の問題であり、その辺も含めて精査しなければならない」と述べた。
【23年連結業績(前期比) 24年予想(前期比)】
売上収益 2兆185億6800万円(16.1%増) 2兆1400億円(6.0%増)
事業利益 3125億5300万円(78.7%増) 3300億円(5.6%増)
営業利益 1396億1200万円(7.1%減) 3300億円(136.4%増)
親会社所有者帰属当期利益 1216億1600万円(9.2%減) 2500億円(105.6%増)
【グローバル4製品売上(前期実績)24年予想、億円】
エビリファイメンテナ 2025(1654)2060
レキサルティ 2125(1691)2560
サムスカ 482(878)360
ジンアーク 1835(1394)2040
ロンサーフ 801(575)950
*サムスカに日本のADPKD適応の売上含む。
【主要製品売上(前期実績)24年予想、億円】
国内エビリファイメンテナ 121(112)120
国内レキサルティ 154(137)165
国内サムスカ 327(688)235
国内ロンサーフ 75(71)75
ニュープロ・パッチ 86(99)60
アブラキサン 319(202)325
アロキシ 21(36)20
ムコスタ点眼液 44(55)15
ビラノア 138(132)150
INQOVI 123(106)130
ミケルナ配合点眼液 69(62)70
アイクルシグ 70(64)75
ニューデクスタ 294(284)290
国内エビリファイ 62(75)45
国内プレタール 16(22)10
国内ムコスタ 29(26)30
ティーエスワン 79(71)70
国内臨床栄養 1001(927)1120