バイエル 大学発企業とプレシジョンオンコロジーで提携 AI活用した新規標的同定プラットフォームを開発
公開日時 2024/03/25 04:48
独バイエルは3月22日、大学発企業のAignostics社との間で、プレシジョンオンコロジー治療薬の研究開発に応用可能なAIを活用したアプローチに関する戦略的提携を結んだと日本法人を通じて発表した。人工知能(AI)と機械学習(ML)の技術や、独自のマルチモーダルな患者データ、新薬開発の知見を生かし、新規標的同定プラットフォームを共同で構築する。
バイエルによると、Aignostics社は独シャリテ・ベルリン医科大学から派生した2018年設立の企業。複雑な生物医学データを生物学的知見に変える計算病理学分野で世界をリードしている。
提携では、マルチモーダルな患者データを用いたAIモデルを通じ、疾患との関連性が高い新規がん標的の同定や、抗がん薬の臨床開発促進を目指す。両社は複数のプログラムで協力し、少なくとも二つの標的同定プログラムを開始するとしている。
両社はAIやMLを活用した計算病理学的アルゴリズムの開発も促進。腫瘍分子プロファイルなどの病理学的データと、患者のアウトカムなどの臨床データを統合することで、臨床試験での被験者の同定や層別化、選択を適切に行えるようにするという。
バイエルの研究開発責任者を務めるクリスチャン・ロンメル氏は「AIやML、マルチモーダルな病理学データを精密医薬品開発に統合することで、ヒトの疾患生物学への知見を深め、疾患との関連性が強い標的を発見することは、当社の研究開発イノベーション戦略にとって大きな可能性を秘めている」とコメント。Aignostics社のヴィクトル・マティアスCEOは「バイエルとともに、AI の計り知れない可能性を医療に実装していけることをうれしく思う」としている。