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明治HD・新中計 医薬品事業を強化 安定供給や感染症対策で「社会課題解決型企業」に 3年で8件申請へ

公開日時 2024/05/13 04:51
明治ホールディングス(HD)は5月10日、2026年度まで3か年の新中期経営計画を発表した。医薬品事業は、国家戦略と連動した医薬品の安定供給の取り組みや新興・再興感染症の脅威への対応などを通じて、「社会課題解決型企業」を目指す。業界の後発品の安定供給に向け、コンソーシアムの実現にも取り組む。また、これまで注力してきた必須医薬品(抗菌薬)など“薬価改定を受けない製品群”が、国による薬価下支えの政策も追い風に、医薬品事業の収益基盤の安定化につながっている。この収益基盤に今後、新薬を上乗せして同事業の持続的な成長を図る方針で、26年度までの3年間に8件の承認申請を目指す。

◎川村社長 「サスティナビリティと事業を融合させて競争優位性を強化し、成長する」

明治HDの川村和夫代表取締役社長CEOは同日に開いた記者会見で、新中計の基本コンセプトは「サスティナビリティと事業を融合することで競争優位性を強化し、食品と医薬品それぞれの事業が成長する姿を目指す」ことだと説明した。そして、「明治グループの歴史は、社会課題に応えて市場を創造してきた歴史。その基本に立ち返って取り組んでいく」とし、「市場・事業・行動の変革を通じた成長軌道への回帰」を図ると強調した。

◎医薬品の戦略投資・経常投資に1100億円 6-APAやコスタイベの生産設備に充当

この基本コンセプトのもと、明治グループの成長ドライバーの一つと位置付けた医薬品の事業計画も、サスティナビリティと事業の融合を強く意識する内容となった。

医薬品事業では戦略投資・経常投資として3年間に約1100億円(うち戦略投資960億円)を投じる。川村社長は、最も大きな投資先は、Meiji Seika ファルマ岐阜工場におけるペニシリン系抗菌薬(=国指定の特定重要物資)の共通の原料である「6-APA」の生産設備になると説明した。この生産設備には国からの補助金も充てられている。また、新型コロナに対する次世代mRNAワクチン・コスタイベ筋注用の生産設備にも充当するとし、国とともに社会課題に応える体制を整備する構えをみせた。

◎薬価改定を受けない製品群で「安定した収益基盤が確保できた」 新薬で成長を上乗せ

医薬品事業の持続成長に向け、新薬の価値最大化や新薬開発の確実な進展などにも取り組む。川村社長は、「(23年度までの)構造改革により、薬価改定を受けない製品群の厚みが増し、安定した収益基盤が確保できた」と医薬品事業のこれまでの取り組みを評価した。その上で、「今後は、この安定した収益基盤に、新薬により成長の上乗せを図ること、ジェネリック事業の安定感を高めることが、(医薬品事業の)持続的な成長へのポイントになる」と述べた。

明治グループで医薬品事業を展開するMeiji Seika ファルマは、23年度まで薬価改定影響を受けにくい製品群に転換するなどの構造改革を進め、戦略的に多くの基礎的医薬品をラインナップしてきた(関連記事はこちら。24年4月改定では基礎的医薬品の区分のひとつの「安定確保医薬品」のカテゴリAに4成分、カテゴリCに8成分が位置付けられ、例えばカテゴリAのβ-ラクタマーゼ阻害剤配合抗生物質製剤・スルバシリン静注用1.5gは薬価が14.4%、同静注用3gは18.6%それぞれ引き上げられた。結果としてMeiji Seika ファルマの4月の改定影響率はプラス1%半ばとなり、改定影響を受けにくい事業体質となった。

この安定した収益基盤をベースに、新規発売医薬品の価値最大化と、26年度までに8件の承認申請を行い、持続的な成長を果たす計画だ。申請予定の8件は、▽変異株に対応したコスタイベ(日本、24年度)、▽小児用新型コロナ不活化ワクチン・KD-414(日本、24年度)、▽βラクタマーゼ阻害薬・OP0595(日本・海外、25年度)、▽ハイヤスタ錠の再発・難治性DLBCL(日本、26年度)及びメラノーマ(日本・海外、25年度)の適応追加、▽光線力学的療法・PDTの末梢肺がん及び脊髄腫瘍(各26年度)、▽10%液状グロブリン・KD-380(26年度)――となる。川村社長は、海外展開も視野にある「OP0595」を期待している開発品の一つに挙げるとともに、「申請予定の8件は着実に開発を進める」と強調した。

これらの取り組みにより医薬品事業は26年度に「営業利益 400億円」を目指す。これは23年度実績比で76.1%増(172億円増)となる。

◎新中計に後発品の安定供給に向けた「コンソーシアム構想」を明記

このほか、新中計では後発品の安定供給に向けた「コンソーシアム構想」を明記し、「企業連携によるジェネリック医薬品バリューチェーンの強靭化を目指す」との考えを示した。

川村社長は、「ジェネリックの安定供給は医薬品業界の大きな課題だが、個々の会社だけで努力するだけでは突破できない」と指摘。後発品に取り組む企業は明治グループを含め中堅企業が多いとした上で、「中堅企業同士が役割分担しながらコンソーシアム的に協力関係を結び、合理的な供給体制を創り出すことが一番求められている」と述べ、コンソーシアムの実現に意欲を見せた。明治グループとしては、強みとする信頼性保証や品質管理の面で協力できるとの認識も示した。

◎23年度業績 医薬品事業は4.5%増収 スルバシリン、メイアクト、血漿分画製剤が寄与

明治HDはこの日、23年度業績を発表した。医薬品事業(=医薬品セグメント)は、売上高は前年度比4.5%増の2061億円、営業利益は4.6%増の227億円だった。

このうち国内医薬品事業は、売上高は5.8%増の1059億円、営業利益20.1%減の81億円となった。抗菌薬のスルバシリンやメイアクト、血漿分画製剤が増収となる一方、営業利益は薬価改定影響に加え、アストラゼネカの新型コロナワクチンに関する受託収入の減少や研究開発費の増加により2ケタ減益となった。

ヒト用ワクチン事業は、売上高は前年度並みの347億円、営業利益は65.6%増の40億円となった。売上は4種混合ワクチン・クアトロバックが好調に推移する一方、インフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチン・ビームゲンは振るわなかった。営業利益は生産効率化に加えロイヤルティ収入で大幅増益となった。

24年度予想は、医薬品事業の売上高は19.3%増の2458億円、営業利益は10.2%増の250億円とした。4月の薬価改定でプラス改定を実現したことで営業利益で13億円増を見込むほか、社内の新区分の「ワクチン・動物薬」での大幅増を計画。24年秋冬シーズンに変異株に対応したコスタイベを上市するとした。
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