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薬機法改正へ制度部会が取りまとめ 医薬品製造業者の製造・品質管理遵守を義務化 課徴金拡大は見送り

公開日時 2024/12/27 04:53
厚労省の医薬品医療機器制度部会は12月26日、薬機法改正に向けた取りまとめを行った。ジェネリックを中心に薬機法違反が相次ぐ中で、改正薬機法に責任役員の変更命令を盛り込むなどさらなるガバナンス強化を打ち出す。一方で、制度部会で検討されてきた課徴金制度の対象拡大は、法制上の観点から導入が見送られた。ただ、一連のジェネリックメーカーの不正事案の背景には過度な出荷優先や利益追求の姿勢があるため、抑止の観点から、医薬品製造業者に直接的な製造管理・品質管理上の遵守事項を薬機法上義務付ける。製造所の製造管理・品質管理が医薬品製造販売業者の責務であることも明確にする。厚労省は改正薬機法関連法案の次期通常国会への提出を目指す。

◎課徴金検討の背景に「過度な出荷優先、利益追求の姿勢」

ジェネリックメーカーを中心に品質問題は、前回の2019年の薬機法改正で製造販売業者に法令遵守体制の整備義務が盛り込まれた後も相次いでおり、今回の法改正でさらなる対応が敷かれることになる。相次ぐ不正の原因として、過度な出荷優先や利益追求の姿勢があることから、「違法行為によって得られた経済的利益を徴取することにより違反行為の摘発に伴う不利益を増大させ、その経済的誘因を小さくするなど、経済的なアプローチが有効」と判断。2019年の薬機法改正で虚偽・誇大広告に導入した課徴金制度の対象拡大が検討されてきた。厚労省は制度部会に、課徴金制度の対象に「より保健衛生上のリスクが高い行為である承認内容と異なる成分・分量等の医薬品の製造販売・製造等の禁止違反(56条3号)」を追加する方向を提案。構成員からも賛同する声があがっていた。

◎課徴金拡大対象検討も「流通してはならないものが流通されることを前提とした制度は困難」

ただ、法制上の検討をする中で、拡大を検討した「医薬品の製造販売・製造等の禁止違反(56条3号)」に該当するものは、流通してはならないもので、流通させることを前提とした課徴金制度の構成は困難との結論に至ったという。

◎製造販売業者の責務も明確化 製造所の製造・品質管理の定期的な確認義務付け

一方で、過度な出荷優先や利益追求の姿勢を背景とした製造・品質をめぐる不正事案を抑止する必要性があることから、医薬品製造業者にGMP省令に規定されている基準について、より直接的な製造管理・品質管理上の遵守事項として医薬品製造業者に薬機法上義務付ける。現行の薬機法では、製造販売業者の許可要件として、製造所における製造管理・品質管理がGMP基準の適合が盛り込まれているが、製造業者には薬機法上、GMP遵守の義務規定がなかった。法改正を通じ、医薬品製造業者に明示的に、直接的な規制をかける形に見直す。

あわせて、一連の不正が委受託関係の中で起きたことなどを踏まえ、製造販売業者の責務を明確化。医薬品製造販売業者に製造所における製造管理・品質管理が適切に実施されていることを定期的に確認することを義務付ける。社内体制としても、品質管理業務を総括する医薬品品質保証責任者(品責)を薬機法上義務付ける。品責が責任者として不適当と認められた際は変更命令をかけられることとする考え。

◎後発品新規承認時のGMP調査はPMDAが実施、その後の定期適合性調査は都道府県が

不正事案が相次ぐ中で、GMP適合性調査の見直しも盛り込んだ。ジェネリックを中心とした一連の不正では、拙速な技術開発・検討など、いわゆる”上流問題”が指摘されている。このため、「製造開始時における製造管理・品質管理上の不備が発生するリスクが特に高い」と指摘。後発品の新規承認時のGMP適合性調査について、「都道府県に加えて複数の主体による調査が望ましいこと、承認審査業務との連携がより重要になること」を踏まえ、PMDAが実施することとした。その後の適合性調査等は引き続き都道府県が実施するとした。

◎条件付き承認の見直し、RWDの利活用、安定供給体制管理責任者も

制度部会では10回にわたり議論を行い、法改正などによる制度改正が必要な事項を中心に取りまとめを行った。取りまとめは、①医薬品等の品質確保及び安全対策の強化、②品質の確保された医療用医薬品等の供給、③ドラッグ・ラグやドラッグ・ロス解消に向けた創薬環境・規制環境の整備、④薬局機能・薬剤師業務のあり方の見直し及び医薬品の適正使用の推進-が柱。

創薬の担い手がアカデミアやベンチャーへとシフトするなかで、条件付き承認を見直す。重篤かつ代替する適切な治療法がない場合など、医療上の必要性が高い場合、承認の取消し規定を設けたうえで、探索的試験の段階で臨床的有用性が合理的に予測可能な場合に承認を与えるように見直す。

承認時点で安全性情報が限られる品目が増加するなど、創薬環境が変化する中で、市販後安全対策の強化も明確に打ち出した。医薬品リスク管理計画(RMP)の届出、リスク管理の実施を薬機法上義務付ける。社内に安全確保業務を総括する「医薬品安全管理責任者(安責)」の設置を義務付けるとともに、変更命令の対象にも追加する。「リアルワールドデータ(RWD)のみによる再審査または使用成績評価の申請が可能であること」も明確化する方針。

安定供給が課題となるなかで、製造販売業者に対し、「安定供給体制管理責任者(仮称)」の設置を義務付けるとともに、手順書の作成など安定供給のための必要な措置を遵守事項として規定することも盛り込んだ。
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