持田製薬は5月12日、2025年度から３か年の「25-27中期経営計画」を発表し、27年度に売上高1200億円、営業利益120億円を目指す方針を掲げた。新中計期間では「コア事業の収益力強化」「成長事業の継続投資」「成長を支える経営基盤強化」の３つを重点テーマとして設定。中計KPIとして主力品の売上倍増やバイオシミラーの３品目追加などを掲げた。決算会見に臨んだ三石基取締役専務執行役員は「31年のありたい姿に向けた成長戦略加速の３年間と位置付けて取り組んでいきたい」と述べた。

医薬事業では、主要新薬に位置付ける痛風・高尿酸血症治療薬・ユリス▽潰瘍性大腸炎治療薬・オンボー▽同・コレチメント▽慢性便秘症治療薬・グーフィス▽肺高血圧症治療薬・トレプロスト―の５品目について、24年度の売上高235億円（薬価ベース）から27年度には480億円まで２倍超の伸長を目指す。また、導入によるパイプライン拡充を目指し、３品目の導入を目標に掲げた。

また、高脂血症・閉塞性動脈硬化症治療薬・エパデールを展開するEPA製剤では、「パイオニアとして良い医薬品をニーズに合わせ、進化、提供し続ける」として数量シェア国内ナンバーワンを指標に設定。子宮内膜症・子宮腺筋症・月経困難症治療薬・ジエノゲストをはじめとする産婦人科領域では売上高150億円を目指すとした。

◎バイオシミラー事業はがんや希少疾患も視野　「パイオニアとして領域狭めずに検討」

強みとするバイオシミラー事業は24年度の売上高が246.2億円（薬価ベース）で「国内バイオシミラー薬価売上１位」（同社）を誇る。３月にもトシリズマブＢＳの承認申請を行っており、中計ではさらに３品目追加の目標を掲げて成長継続を図る。三石取締役専務執行役員は「今後特許が切れる大型製品を見据えて、がんや希少疾患など広い領域で検討していきたい。パイオニアとしてやってきた経験生かして、領域を狭めずに全方位で検討していく」と述べた。

バイオマテリアル事業や核酸・細胞医薬、グローバル展開など、成長に向けて継続投資も積極的に進める。注力するsiRNA（低分子干渉RNA）医薬品の開発では、「リーディングカンパニーを目指す」として、パートナー企業への導出・提携、臨床試験の実施を目標に据えた。

◎24年度業績　売上高1051億円・営業利益81億円で増収増益　主力品が牽引

24年度連結業績は、売上高が前期比2.2%増の1051億5900万円、営業利益が同40.1％増の81億2600億円だった。薬価改定や長期収載品の選定療養がマイナス影響となったものの、主力品が堅調に伸び、ロイヤリティ収入も増加して増収増益となった。

製品別では、グーフィス83億円（前期比８％増）▽ユリス46億円（同38％増）▽トレプロスト42億円（同77％増）▽コレチメント５億円（同141％増）―と牽引。一方で、エパデールは同34％減の48億円、抗うつ薬・レクサプロは同51％減の25億円だった。

25年度業績見通しは、売上高が前期比5.1％増の1105億円、営業利益が同13.9％減の70億円とした。主力品は伸びるとしたものの、コスト高による売上原価率の上昇やロイヤリティ収入の減少を見込んだ。

◎代表取締役３人体制へ　専務進行役員の榊氏と三石氏が就任へ

また、同社は新たな代表取締役として、榊潤一取締役専務執行役員と三石基取締役専務執行役員が就任する人事を発表した。持田直幸代表取締役社長を含めて代表取締役３人体制となる。異動理由について同社は「経営体制の一層の強化のため」としている。なお、坂田中代表取締役副社長は退任し、取締役相談役に就く。いずれも6月27日の定期株主総会での承認決議を経て就任する。
【24年度の連結業績（前期比）　25年度予想（前期比）】
売上高　1051億5900万円（2.2％増）　1105億円（5.1％増）
営業利益　81億2600万円（40.1％増）　70億円（13.9％減）
親会社帰属純利益　56億8500万円（25.0％増）　54億円（5.0％減）

【24年度の国内主要製品売上高（前年同期実績）　25年度予想、億円】
リアルダ　151（145）　151
グーフィス　83（77）　90
モビコール　66（59）　66
エパデール　48（74）　36
ユリス　46（33）　56
トレプロスト　42（23）　59
レクサプロ　25（52）　７
アテレック　15（23）　８
トラムセット　14（22）　５
ヘパリンNa　13（13）　13
ディナゲスト　７（11）　２
コレチメント　５（２）　17
後発品　313（326）　348
うち、ジエノゲスト　105（92）　119
＊アテレックはアテディオを含む