自民GE議連が骨太へ提言 医療上必要高い医薬品「原薬の国産化や代替調達、備蓄を」 経済安全保障踏まえ
公開日時 2026/05/12 04:50

自民党の「ジェネリック医薬品の将来を考える会」(上川陽子会長)は5月11日、骨太方針2026に向けた提言案を大筋で了承した。提言案では、国際情勢の悪化や地政学上のリスクが高まる中で、「経済安全保障を見据えたサプライチェーンの再構築」に向けた施策を求めた。βラクタム系抗菌薬は完全国産化に向けた施策が打たれている状況にあるが、医療上必要性の高い供給確保医薬品についても「優先順位をつけて原薬の国産化や代替調達、備蓄を進めるべき」と提言した。この日の議論を踏まえた文言修正を経て、5月中にも厚労相、財務相、経産相に加え、経済安全保障担当相に要望する予定。
◎海外からの供給途絶リスクへの対応 政府として具体的戦略「早急に講ずる必要がある」
提言案では、日本の医薬品自給率は25%にとどまっているとして、「海外からの供給途絶リスクへの対策は重要な課題」と指摘した。経済安全保障の観点から、「個々の医薬品の状況に応じて、完全国産化も視野に品目統合・協業等による業界再編、原材料供給国の多角化、同志国との連携の可能性など政府として具体的戦略を早急に講ずる必要がある」と指摘した。
具体的には、国産化が進められているβラクタム系抗菌薬4剤以外にも医療上の必要性が高い医薬品については、国産化などの対策を行うことを提言した。そのためには、「原材料(中間体を含む)入手先や原薬製造・製剤化を行う製造所(CMO・CDMO等を含む)の調査をはじめとするサプライチェーン調査や、原薬・原材料の代替供給源の探索など、幅広い対策が不可欠」とした。また、備蓄に際しては「適切な備蓄計画を策定する必要がある」とも指摘した。こうした施策を進めるにあたっては、「メーカーのみにリスクを負わせるのではなく、医薬品安全保障の観点から政府としても必要な対応を講じるべき」ことも明記した。
◎ジェネリック産業構造改革 製造余力確保の必要性指摘 後発品企業評価の「速やかな公表」求める
医薬品の安定供給に向けて、「製造余力を確保したうえで、少量多品目の改善や効率化(大規模化)が必要になる」とジェネリック産業の構造改革の必要性も指摘した。後発品の企業指標については、「安定供給に資する企業が社会基盤としての役割を果たしていくためには、その健全性確保のための企業指標の評価と結果の速やかな公表が必要」とも言及した。
ジェネリック産業のさらなる発展に向けて、「品質と国内の安定供給が確保されたことを前提とした上で、海外市場の獲得も視野に入れる必要がある」とも指摘。「我が国のジェネリック医薬品の国際競争力の強化を図るという観点からも、国内製造体制について、原薬製造も含め、より一層強固なものにすべき」と主張した。政府には、「ジェネリック医薬品について、生産性の向上や規模の拡大、製造管理・品質管理体制の整備の観点も含め、国際展開に必要となる、より効果的な支援策について講じていく必要がある」と要望した。
◎上川会長「海外展開し得る産業に育成を」
上川会長は会議冒頭で、「安定供給確保のためにはサプライチェーンあるいは経済安全保障、の観点からの取り組みは、まさに喫緊の課題」との認識を表明。後発品の数量シェアが9割に達する中で、「(ジェネリック産業をめぐる議論は)医薬品産業全体にもその知見というものが及ぶと考えている。日本の医薬品産業の全体も視野に入れながら、議連の中でも、しっかりとエコシステムを含めて対応していく必要がある」と述べた。
また、業界が再編するためにも海外展開の必要性を指摘。「大きなスケールでコスト低減を図りつつ、国内の安定供給にも資する方向で戦略を考えていく必要があるのではないか」と提起。議連発足当時から海外展開を見据えた産業の将来の姿を描いてきたことを振り返り、「品質管理と安定供給を二本柱にしながら、海外にも展開しうる産業に育てていこうという、議連発足当初の目標をこの時点でしっかりと見据えながら取り組んでいきたい」と改めて意欲をみせた。
◎薬価「真に持続的な安定供給を実現するためのルール」に
提言案は、①経済安全保障を見据えたサプライチェーンの再構築、②医薬品産業構造の適正化とその能力評価、③銘柄ごとの医薬品の価値が正しく評価される薬価・流通の仕組みの構築、④新たに顕在化してきた課題への対応、⑤.ジェネリック医薬品産業の更なる発展に向けた海外展開と国際競争力の強化-からなる。薬価については、「市場の評価と安定供給に資する企業評価が適切に反映された上で改定が実施されるべきであり、真に持続的な安定供給を実現するためのルールとなるようにすべき」とするにとどめた。