【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

薬価研・藤原委員長「制度の再設計必要な局面」 喫緊の課題・MFN対策で外国平均価格調整見直しを訴え

公開日時 2026/06/15 04:52
日本製薬団体連合会保険薬価研究委員会の藤原尚也委員長(中外製薬執行役員渉外調査担当)は6月12日、「今後の薬価政策において、経済安全保障や国際競争力の観点も含め、より予見性が高く魅力ある制度の構築に向けた再設計が必要な局面にある」との認識を示した。特に、米国の最恵国待遇(MFN)価格政策と物価高騰・賃金上昇の影響について「喫緊の課題で、早急な対応が必要だ」との見解を表明。MFN価格政策については、外国平均価格調整の見直しを求める考えを示した。2027年度薬価改定については改めて「薬価の引き下げを前提とした薬価改定を実施する状況にはない」と主張した。

◎デフレで「採算性や安定供給に対するリスクは一層高まっている」

藤原委員長は、「薬価を取り巻く環境は、従来とは質的に大きく変化していると感じている」との見方を示した。日本経済がデフレからインフレ基調へと転換する中で、「医薬品の製造原価が急激に上昇し、昨今の中東情勢がその動きに拍車をかけており、採算性や安定供給に対するリスクは一層高まっている」との認識を示した。

さらに米国のMFN価格政策により、「薬価はもはや国内で完結するものではなく、グローバルに影響し合う構造となっており、新たなドラッグ・ロスのリスクが生じている」との見方も示した。

こうした見方の理由について藤原委員長は、「トランプ大統領がMFN価格政策を主張されている背景が、イノベーションのコストをアメリカ国民だけが担っていて、他の先進国がフリーライドしているため、先進国は平等にイノベーションのコストを負担すべきではないかという背景で政策が出てきていると理解している。おそらくトランプ大統領が変わった後も、この考え方はそう変わらないだろうという見方が多いと認識をしている」と説明。「薬価制度自体は、日本の社会保障制度の中でのコストという話になるが、日本の薬価が海外に影響を与える、海外の薬価が日本に影響を与えるという点では、グローバルに影響し合うのではないかということ」と話した。

◎MFN価格政策の機動的対応「これからの議論」も収載時の外国平均価格調整の参照国、上限見直しを

26年度薬価制度改革の骨子には、MFN価格政策について、「ドラッグ・ロスの解消、我が国の創薬力を強化する観点等から、機動的な対応ができるよう、革新的新薬の薬価の在り方については引き続き検討する」ことが明記されている。

藤原委員長は、「根本的にルール自体を大きく見直すには時間がかかる。実際に欧州では、新薬の発売数が35%減ったというデータも出てきている。差し迫った問題で喫緊に手を打たないといけない」と危機感を露わにした。具体的な施策について「これからの議論」と断ったうえで、「機動的に喫緊に対応できるものとしては、いまルールとしてある外国平均価格調整の見直しが必要ではないか」として、収載時の外国平均価格調整についてのルールの見直しの必要性を指摘した。

外国平均価格調整は米(メディケア・メディケイド)、英、独、仏の外国価格を参照するが、参照国は少なくとも2か国必要だが、「1か国、アメリカだけでも外国価格調整のルールが発動できるような仕組みにすべきではないか」と述べた。また、引上げの場合は、算定値の2倍を上限とされているが、この撤廃を求める考えも示した。将来的には、「革新的新薬のアクセスに支障を来さないための新たな仕組みの検討が必要だ。一番大事なことは、革新的新薬については日本の薬価が先進国の価格に劣後しないような仕組みというのが必要ではないか」とも述べた。

◎27年度薬価改定 物価高騰対応で「薬価に一定の指数を掛けて引上げを」 調査踏まえて主張へ

27年度薬価改定についても言及した。258年末の上野厚労相・片山財務相の大臣折衝で「令和9年度(27年度)の薬価改定を着実に実施する」ことが合意されるなど、実施は既定路線となっている。藤原委員長は、「大臣合意の状況から環境が変わっているところもある。 物価の高騰について言えば、中東情勢の悪化によってさらにコストが上がってきている。米国のMFN価格政策などの環境変化も起きているので、我々としては中間年改定によって薬価の引下げを行う状況にはないということをこれからも強く主張していくことになると思う」と改めて述べた。

具体的には、「物価高騰分を薬価に反映する」ことを求める考え。「薬価に一定の指数を掛けて引き上げるようなところを求めていきたい」と訴えた。引上げの対象範囲や引上げ率については、今後薬価研で行う調査結果を踏まえて検討を深める方針。従来は、原材料や原材料の価格上昇などを尋ねてきたが、製造原価そのものがどの程度上昇したかを調査することなどを検討しているという。

◎市場実勢価格主義の見直しを訴え「インフレに即していない。限界を迎えてる」

現行制度では、市場実勢価格加重平均値調整幅方式が取られているが、「薬価改定方式のあり方」の見直しも求める考え。藤原委員長は、「いまの薬価改定は、薬価差が必然的に発生をし、それによって薬価が下がってしまうという仕組みだ。デフレの時はそれでいろんなステークホルダーが尽力しながらなんとかやってきたが、これだけのインフレ局面に入る、そういう状況に今の薬価改定方式自体が即していないのではないか。限界を迎えているのではないかという認識を持っているので、それに代わる方式について検討したい」との考えも示した。

薬価研は、「自由取引下にある医薬品は、医療機関等の購入価格が薬価を上回ればその差額は医療機関等の損失となり、薬価を下回れば収益となる」として、薬価が市場での取引の「上限価格」として機能しているなどと主張。「薬価差が必然的に生じている仕組みであるにもかかわらず、価格乖離が生じていることを理由に市場実勢価格に基づく薬価改定が毎年実施」されているとの見方を示している。「個々の医薬品の価値を反映していない、薬価差を得ることを目的とした取引の結果については個別品目の薬価に反映すべきではなく、過度な薬価差・薬価差の偏在についてもその是正に取り組むべき」などと主張している。

◎28年度薬価改定へ「カテゴリー別の薬価制度を引き続き主張」

28年度に予定される次期薬価制度改革に向けては、「カテゴリーに応じた薬価制度は引き続き主張していきたい」と述べた。カテゴリー別の薬価制度は「政府が示した創薬イノベーションの推進と安定供給の確保、国民負担の軽減の3本柱の実現に資する制度だ」と説明。26年度薬価改定の議論を踏まえ、「厚労省側もこの考え自体はご理解いただいていると思っている。その中で、共連れの廃止や後発品を中心とした安定供給確保に向けた下支えの充実といった手当はなされ、業界の主張が一定程度は受け入れられたのではないかと認識している」と述べた。

そのうえで、「革新的新薬の特許期間中の薬価は完全に維持されるわけでもなく、再算定の特例への対応(類似品への四半期再算定の導入)もなされた。我々が求めているカテゴリーごとの薬価制度になっているわけではないと思うので、その辺は引き続き主張していきたい」と強調した。


プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(5)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
ボタン追加
【MixOnline】記事ログ
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー