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創薬力官民協議会WGが初会合 価値に見合った薬価へ 市販後のデータ集積、分析求める声

公開日時 2025/09/02 05:00
「創薬力向上のための官民協議会ワーキンググループ」(座長:成川衛・北里大大学院薬学研究科教授)は9月1日、初会合を開き、2026年度薬価制度改革を見据えた議論を開始した。議論では、データに基づいた「価値に見合った価格」設定の必要性について意見が出た。岩下圭二構成員(日本製薬工業協会 産業政策委員長)は収載後の薬価について、「革新的新薬は薬価維持だけでなく、市販後エビデンスに基づく一定の引上げも考慮される仕組みへ見直す」ことを提案。有識者からも、医薬品の有効性を把握するためにも、データを把握する必要性を指摘する声があがった。ワーキンググループでは複数回議論を重ね、現状の課題や解決の方向性について整理を行った上で、今秋にも中医協等関係審議会に議論の整理を報告する方針。

◎PhRMA・川端日本副代表「真の臨床的有用性加算における評価対象の拡充を」

厚労省はこの日、創薬イノベーション推進に向けて「革新的医薬品の特許期間中の薬価」について、論点にあげた。製薬業界代表の岩下構成員は、「革新的新薬の特許期間中の薬価維持」の必要性を強調。「革新的新薬は薬価維持だけでなく、市販後エビデンスに基づく一定の引上げも考慮される仕組みへ見直す」ことを提案した。川端裕之構成員(米国研究製薬工業協会日本副代表)は、収載後に明らかになった価値の評価を反映する必要性を」指摘。「市販後に実薬対象試験を追加で実施し、承認時には明らかでなかった実薬に対する優越性が検証された場合」や「市販後に、承認時には明らかでなかった全生存期間の延長が検証された場合」などでは、「真の臨床的有用性加算における評価対象の拡充」を訴えた。

◎成川座長「医療の改善、医療負荷の軽減把握にRWD活用も」

有識者からも、データやエビデンスを薬価に反映させ、価値に見合った薬価制度とする必要性を指摘する声があった。菅原琢磨構成員(法政大学経済学部 教授)は、「創薬力の向上には、優れたイノベーションに対する正当な評価とリターンという誘因が欠かせない」と指摘。具体的には、既存療法と比較した価値の検討や、医療機器のチャレンジ申請を引き合いに、「保険収載後のエビデンス集積により薬価の再評価を行うことが考えられる」と主張した。

成川座長は「創薬力向上や製薬産業という視点からは、革新的新薬の導入によってもたらされる医療の改善および医療負荷の軽減についてリアルワールドデータの活用を含めた様々な手法を交えて積極的に情報を集め、分析・提示していく姿勢が求められる」と指摘した。


会議後、事務局は議論のなかで、「例えば病気になった方が、働けるようになった場合の効果を測定していくためのデータを把握できるようにしていくべきではないか」などの意見が出たと説明。事務局は、データ把握に向けて26年度改定に向けた短期的な施策と中長期な施策があるとの見方を示し、こうしたなかで議論が進むと見通した。なお、医療データの利活用(二次利用)をめぐっては、27年通常国会に「個人の権利・利益の保護と医療データの利活用の両立に向けた特別法」が提出される予定で、安全性や費用・リスクと効果の評価などに活用されることも期待されている。

◎成川座長「市場拡大再算定の考え方に一定の合理性」も共連れルールは「なお検討の余地」

このほか、製薬業界からは、青野吉晃構成員(欧州製薬団体連合会理事長)、PhRMAの川端構成員が「類似品(共連れルール)の適用除外」を求めるなど市場拡大再算定ルールの見直しを求める声があった。

一方で、有識者からは、成川座長が「市場拡大再算定の考え方には一定の合理性があるものと理解している」と表明。そのうえで、いわゆる共連れルールについては、「薬価の予見性確保の視点からなお検討の余地がある」との見解を示した。

◎長期収載品依存のビジネスモデル脱却へ「G1/G2や選定療養の政策効果分析を」

医薬品産業の構造改革が求められるなかで、「長期収載品に依存するビジネスモデルからの脱却」もテーマとなった。成川座長は、「薬価調査データ等に基づく近年の薬剤費の構成割合の推移(新薬創出等加算品、それ以外の先発品、長期数最貧、後発品)」、「個社における長期収載品の売上比率(又はその分布)の推移」などの情報をベースに議論する必要性を指摘。「長期収載品の段階的な薬価引下げルール(G1/G2)や選定療養等の政策効果を分析し、さらなる施策の必要性等を検討することが適当」との考えを示した。

◎後発品の産業構造やBSの市場参入促進も論点に 

厚労省が示した論点は、「創薬イノベーションの推進について」を柱とした①革新的な医薬品創出に対するインセンティブの強化について、②革新的医薬品の特許期間中の薬価について―。「医薬品産業の構造改革等について」では、①長期収載品に依存するビジネスモデルからの脱却について、②後発医薬品産業の持続可能な産業構造の在り方について―。このほか、①バイオシミラー市場への参入促進等について、②国民皆保険の持続可能性の確保等について―。

この日の議論では、「製薬産業を成長産業や基幹産業として位置づけ、中長期的な視野に立ってKPI設定を含めてワーキングで議論をしていく」ことを求める声や、「創薬において日本での優位性を把握したうえでの資源投入」が必要との声があった。創薬環境の整備に向け、「官だけでなく、民の製薬業界、製薬、企業の積極的な取り組みが必要」と指摘する声もあったという。

論点に「後発医薬品産業の持続可能な産業構造の在り方について」や、「バイオシミラー市場への参入促進等について」があげられており、次回会合では、参考人として後発品メーカーなどの関係団体から意見を聞く予定。



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