【中医協費用対効果評価専門部会 9月26日 議事要旨 制度見直しに関する検討(その1)について】
公開日時 2025/09/29 04:51
中医協費用対効果評価専門部会が9月26日に開かれ、費用対効果評価制度の見直しに関する検討をテーマに議論した。本誌は、質疑における診療・支払各側の発言内容を議事要旨として公開する。
(事務局説明は略)
飯塚部会長:はい、ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に関してご質問などがありましたらお願いします。江澤委員お願いします。
江澤委員:はい、ありがとうございます。資料「費―1」(費用対効果評価制度の見直しに関する検討(その1))の31ページの「論点」について、意見を申し述べさせていただきます。まず1つ目の「〇」(客観的な検証として、本部会において、業界意見陳述の内容も踏まえつつ、これまでの費用対効果評価の運用状況の整理を示すことについて、どう考えるか)につきまして、費用対効果評価制度は、2019年に本格運用が開始され、これまで67品目が指定を受け、39品目の分析が終了したと報告をいただいたところでございます。
現状、十分な品目数であるとはまだ言えませんので、今後さらに経験値を積み上げていく必要があると考えております。
資料「費―1」の32ページ以降に検証の概要も示されているところですが、一定の経験は、積み重ねられたと考えておりますので、現在の課題を把握し、制度を改善していくためにも、本部会において、これまでの運用状況を客観的に整理、提示することは必要であると考えております。
今後の在り方について検討するにあたりましては、2年前の当部会で長島委員が指摘したことでありますが、人材育成の視点も含め、より実用的なものとなるよう、費用対効果評価自体の費用対効果も検討していくべきであると考えております。
そこで事務局への質問となります。現在の人材育成状況や費用対効果評価の費用対効果、例えば、対象品目に指定されて、価格調整が行われるまでの平均的な期間や平均的な価格調整額などについて把握していることがありましたら、教えていただければと思っております。
次に、2つ目の「〇」(検証結果を費用対効果評価制度改革の骨子において示すことについて、どう考えるか)についてです。制度運用の透明性を高め、改革の方向性を示す上で、検証結果を骨子に含めることに異論はございません。今後もイノベーションの推進と、医療保険制度の維持を両立するという観点から、バランスの取れた運用をしていくことが、何より重要であると考えております。以上でございます。
飯塚部会長:ありがとうございます。ただいま事務局にご質問がございましたけれども、事務局いかがでしょうか?
事務局:事務局でございます。江澤委員からのご質問につきましてお答えいたします。まず、人材の関係でございますが、現在、この費用対効果評価の制度の運用の中で、国立保健医療科学院が調査研究、分析の人材育成機関という形でされております。この中の人員でございますが、本年度4月1日現在の人員は、8名体制で運用しております。また、人材育成の観点というところでありますけれども、令和2年4月から慶応義塾大学公衆衛生大学院におきまして、医療経済評価人材育成プログラムというのが開始されております。
昨年度までに97名の方が修了されておりまして、12名の方が、この公的分析に加わっている現状にございます。さらなる人材育成を図るという観点からは、令和6年度から立命館大学の博士課程プログラムも新設をしておりまして、そういったところでの人材育成が図られているということになります。
また、本制度そのものにつきましての費用対効果というところでございますが、予算全体は令和7年度11.5億円とお示したところでございますが、運用の中で概ね年間当たり10品目の分析を実施しているということでございまして、お示しした成績から申し上げますと、精緻な分析ではございませんが、その市場規模としては、中央値が年間約150億円というもので、この品目の市場規模の予測としてある中で、価格調整の割合は中央値として約3.1%となりますので、1品目の1年間当たりの価格調整というのは、おしなべて計算しますと約4.8億円となります。
こういった中で価格調整がされておりますけれども、さらなる運用の改善についても、引き続き我々として、あり方全体の中で具体的に検討を進めていきたいというふうに考えております。以上となります。
飯塚部会長:はい、ありがとうございます。江澤委員よろしいでしょうか?
江澤委員:詳細な報告ありがとうございます。また、あの客観的な検証に向けて、引き続き取り組んでいただければと思います。ありがとうございました。
飯塚部会長:はい、ありがとうございました。他にご質問等ありますでしょうか?森委員お願いします。
森委員:はい、ありがとうございます。論点や検証について整理いただき、ありがとうございました。今回、整理した内容に沿って、個別の論点について、今後、具体的な議論を進めていければと思います。事務局に置かれましては、具体的な論点出しとともに、検証結果などを踏まえた方向性案の検討をお願いできればと思います。
また資料「費―1」の31ページに示されている検証の進め方の論点についてですが、いずれも示していく方向で異論はありません。江澤委員からもありましたけれども、費用対効果評価制度は、試行的導入開始から9年、本格運用開始から6年が経過、45品目の評価が終了し、一定程度の事例が集積されたと思います。そうした中、評価実施時点でのデータが限られることや、それにより不確実性を伴う評価となること、データを提出する企業負担の問題、比較対象技術の選定、選定された技術による追加的有用性の有無の返戻、価格引き上げとなった医薬品がないこと、介護費用の取り扱いなど議論が必要な課題があります。
第1ステージが終了し、制度の成熟度を上げるために、第2ステージに向けて、専門の医師や薬剤師などの関係職種や、医療経済に関する専門家など、第三者の意見なども踏まえ、客観的な検証を進めていくべきと考えます。私からは以上です。
飯塚部会長:はい、ありがとうございます。他にございますか。松本委員お願いします。
松本委員;はい、どうもありがとうございます。費用対効果評価の仕組みにつきましては、江澤委員、森委員からありましたけれども、資料「費―1」6ページ(費用対効果評価の検討に係る主な経緯)の通り、2016年度から3年間の試行的導入を経て、2019年度から本格運用となり、その後も業界の意見もお聞きしながら、運用の見直しや分析体制の整備を行って、現在に至っているというふうに理解しております。
当然、不備があれば改善することはやぶさかではございませんけれども、すでに公平性や中立性は、かなりのレベルで担保されているものと認識しております。したがって、これまでの実績を踏まえまして、今後より積極的に活用する時期に来たということを指摘させていただきます。
また、資料「費―1」31ページの「論点」に示されている客観的な検証につきましては、資料「費-1」16ページ(費用対効果評価に関する主な方針)に記載されている骨太方針2025の通り、業界の理解を得るためにも、否定するものはまったくございません。
ただ、資料「費―1」の33ページ以降に今回示されたデータにつきましては、業界の要望も踏まえて十分に客観的な検証が必要であり、資料「費―1」の46ページ(検証に関するその他の事項)にある通り、まだ整理ができていない部分につきましては、個別の論点において取り上げるということですので、次回以降、令和8年度の制度改革に向けた議論は前に進めるべきだというふうに考えております。私からは、以上でございます。
飯塚部会長:はい、ご意見ありがとうございます。引き続きまして鳥潟委員お願いします。
鳥潟委員:はい、ありがとうございます。まず、検証をまとめていただいてありがとうございます。また、論点の整理について異論はございません。総論的な話になりますが費用対効果評価については、イノベーションへの配慮とともに、国民皆保険の持続可能性確保に加え、保険料を負担している被保険者と事業主にとって、納得感のある薬価となるよう、費用対効果評価のさらなる活用に向けて、議論を進めていくべきだと考えております。
有用性系の加算がない品目の取り扱いや、レケンビの取り扱いを踏まえた価格調整範囲のあり方など、今後検討していく必要があると考えております。私からは以上です。
飯塚部会長:はい、ありがとうございます。他にありますでしょうか。もしなければ専門委員からお願いします。
藤原専門委員:発言の機会を賜りありがとうございます。まずは、現行制度の運用状況について、迅速に分析をいただきましたこと、それから資料「費-1」の46ページの「□」に記載があります通り、業界が提案した「その他の意見については、別途個別の論点において、適宜議論を行う」につきまして感謝を申し上げたいと思います。
その上で、8月6日の業界意見陳述で業界代表より申し上げましたように、制度導入時の目的でもございました。単にコストを減らすことが目的ではなく、イノベーションも評価するといった本来の趣旨にかなった状況になっているのか?という視点で現行制度そのものにおける丁寧な検証が必要であると考えております。
その際には、資料「費―1」31ページの「検証」の進め方の現状課題の3つ目のポツに記載の通り、業界からは客観的な検証は、医療経済学者、対象品目の疾患を専門とする臨床医、患者さん、統計学者を含む第三者の専門家によって、実施されるべきである等の意見があったと記載いただいておりますけれども、本日、森委員からご発言がありました通り、客観的な検証の機会を設けていただくことが必要と考えております。私からは以上でございます。ありがとうございました。
飯塚部会長:はい、ありがとうございます。他にご質問等ございますか。他に質問などもないようでしたら、本件にかかる質疑はこのあたりとして、今後、事務局において本日いただいたご意見も踏まえてご対応いただくようにお願いをいたします。本日の議題は以上です。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡をいたします。それでは、本日の費用対効果評価、専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。