中外製薬 ロシュの持続性GLP-1/GIP受容体作動薬「CT-388」 国内開発・販売権を取得
公開日時 2025/10/14 04:52
中外製薬は10月10日、スイス・ロシュの持続性GLP-1/GIP受容体作動薬「CT-388」(開発コード)について、日本における独占的開発・販売権を取得する契約を締結したと発表した。CT-388はGLP-1とGIPの2つの受容体に選択的に作用し、良好な忍容性に加え、持続的な体重減少と血糖コントロールが期待できるという。ロシュは肥満症や2型糖尿病を対象疾患に開発している。
中外製薬は契約に基づき、ロシュに契約一時金とマイルストンを支払う。ロシュ・グループの中外製薬は、「引き続き、ロシュ・グループの研究・開発資源を有効に活用した画期的新薬の探索により、アンメットメディカルニーズの解決に取り組む」としている。
CT-388は週1回皮下注射によるGLP-1/GIP受容体作動薬。GLP-1およびGIPの両受容体に対して高い活性を示すよう設計されており、いずれの受容体においてもβ-アレスチンのリクルートメント(動員)が最小限またはほとんど認められないように設計されている。このバイアス型シグナル伝達により、受容体の内在化およびそれに伴う脱感作が大幅に抑制され、薬理作用の持続が期待されるという。
中外製薬の奥田修代表取締役社長CEOは、「(CT-388は)持続的な体重減少および良好な血糖コントロールが期待されており、肥満症あるいは2型糖尿病患者さんに新たな治療選択肢を提供できる可能性がある」とし、「中外製薬は、CT-388を日本の患者さんに早期にお届けするため、ロシュ社と緊密に連携し開発を進める」とコメントしている。
なお、CT-388の海外第1相臨床試験(CT-388-101試験)では、肥満の成人に対しCT-388を週1回、24週間皮下注射した。主要評価項目の安全性は、「忍容性は良好で、軽度から中等度の消化器系副作用が最も多くみられ、本剤と同じインクレチン系薬剤で一般的に認められるものだった」。副次評価項目の体重への影響などについては、プラセボ調整後のCT-388による体重減少は24週時点で平均-18.8%(p値<0.001)で、プラセボ群と比較して臨床的に意義のあるかつ統計学的に有意な体重減少が認められた。
現在、2型糖尿病を伴う肥満症を対象に海外で第2相臨床試験が実施されている。