中外製薬 抗がん剤・アバスチンで神経線維腫症II型の適応拡大を申請
公開日時 2025/10/01 04:47
中外製薬はこのほど、抗がん剤・アバスチン点滴静注用について、指定難病の神経線維腫症II型(NF2)に対する適応拡大を申請したと発表した。今回の申請は、NF2に対して同剤の有効性及び安全性を評価した医師主導の国内第2相臨床試験(BeatNF2試験)に基づく。
BeatNF2試験は、医師主導の多施設共同国内第2相プラセボ対照二重盲検無作為化臨床試験。同試験では、62人の患者をアバスチン投与群およびプラセボ群に分け、治療開始24週時点の聴力改善効果を比較した。24週以降、48週までは両群ともアバスチンの投与が行われた。主要評価項目は「治療開始24週時点でのベースラインとの比較による、最高語音明瞭度による評価に基づく聴力改善患者の割合」。副次的評価項目は12、36、48週時点の最高語音明瞭度、腫瘍体積、純音聴力検査、聴性定常反応、NF2重症度スコア、聴力改善後に再度悪化した患者に対する再治療の効果等とした。
遺伝性の難病であるNF2は、左右両側に聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫)ができる常染色体優性の遺伝性疾患。聴神経鞘腫による症状が多く見られ、難聴・めまい・ふらつき・耳鳴などがある。聴神経鞘腫に対しては経過観察、手術、放射線治療が行われる。良性腫瘍でほとんど成長しない場合もあるが、症状の発生や腫瘍の成長が明らかな場合、手術により腫瘍を摘出するケースもあり、長期的にみると予後に影響を及ぼすことがある。手術による聴力の温存は難しく、術後に神経障害の合併を伴うリスクも存在する。
海外報告によると発生率は2万5000人~6万人に1人の希少疾患。国内で2009~13年に臨床調査個人票を提出した人は約800人だった。多くは10~20代で発症する。