厚生科学審議会医療用医薬品迅速・安定供給部会は10月27日、供給確保医薬品762成分、このうち優先順位の高い、重要供給確保医薬品（Ａ群及びＢ群）75成分とするリストを了承した。パブリックコメントを経て、最終的にリストを決定した。小川真委員（日本ジェネリック製薬協会安定供給責任者会議議長）は、「本件の選定結果について異論はなく、十分考慮した上で、積極的に努めるよう、関係各社に働きかけていきたい」と述べるなど、異論は出なかった。改正薬機法により、医療法の一部改正が11月20日に施行されることから、リストは11月上旬にも告示する方針。

供給確保医薬品は762成分。このうち、新規成分311成分（Ａ群：13成分、Ｂ群：20成分、Ｃ群：278成分）含まれている。継続続成分は451成分（Ａ群：22成分、Ｂ群：20成分、Ｃ群：409成分）。

◎モビプレップを供給確保医薬品Ｃに追加　ブクラデシンナトリウムを削除

厚労省が８月27日の厚生科学審議会医療用医薬品迅速・安定供給部会に供給確保医薬品（安定確保医薬品）のリストを示していたが、パブリックコメントを経て修正を行った。ナトリウム・カリウム・アスコルビン酸配合（モビプレップ配合内用剤）については安定確保医薬品Cに指定されていたが、リスト案の段階では対象外とする方針だったが、パブコメを踏まえて再度、提案学会による必要性の再検討結果を踏まえ、供給確保医薬品Ｃ群として追加した。一方で、ブクラデシンナトリウムは終売が検討されていることから、提案学会にも確認の上、削除した。また、乾燥抗Ｄ（Ｒｈｏ）人免疫グロブリン/注射剤/634 血液製剤類」について、患者数の概算に誤りがあったことを踏まえ、供給確保医薬品Ａ群からＣ群に訂正するなどした。

パブリックコメントは８月27日～９月26日の間募集し、34件の意見があった。

◎GE薬協・小川委員　リストの更新「役割を終えた品目は除外を」

小川真委員（日本ジェネリック製薬協会安定供給責任者会議議長）は、リストの更新について言及。「医療現場での医薬品の使用については、中長期的なスパンで見ると、使用実態は刻々と変化するものと考えており、安定確保医薬品として、将来的に追加が必要な品目がある一方、品目によっては需要が減って役割を終えることもある。後発医薬品各社が安定供給のために、現状を特に注力している少量多品目構造の改善に多少影響するようなものでもある。当協会としては、今後とも医療現場での使用実態等を踏まえて、定期的にこのリストがアップデートされることを望む」と述べた。

厚労省医政局医薬産業振興・医療情報企画課医薬品産業・ベンチャー等支援政策室の藤井大資室長は、「今後の継続的な見直しは行っていく。医療環境の変化も踏まえて役割を終えたものは外すアップデートを考えている」と応じた。

◎日薬連・田前委員　感染症対策物資など「不採算品目は是正を」　日薬連で調査も厚労省に「丁寧な対応」求める

田前雅也委員（日本製薬団体連合会安定確保委員会委員長）は、感染症対策物資などの増産要請品目について、「増産を請け負うからには少なくとも不採算の状況になるような品目があれば是正いただきたい。薬価を上げるというのは中医協の専権事項だが、そういう議論につなげていただきたい」と要望した。また、増産のための設備投資や製造ラインの老朽化に伴う更新などに投資する必要があるとして、「投資をすると減価償却費が載ってくる。採算の観点からいくと採算性に乏しいものが赤字になったり、赤字のものがさらに赤字になったりする」と指摘した。「日薬連としてもどこが不採算か、設備投資が必要な品目かは可能な限り調査をしようと考えている」と表明した。一方で、業界団体では個社の情報を網羅的に把握するのは難しいとして、厚労省に情報収集を含めた「丁寧な対応」を求めた。

藤井室長は、「安定供給の確保も薬価の論点の一つ。関係課ともよく相談していきたい」と述べた。