卸連・宮田会長 供給確保医薬品の流通不採算の改善を 医療や医薬品流通が「持続可能にならない」
公開日時 2026/07/24 04:50

日本医薬品卸売業連合会の宮田浩美会長(スズケン会長)は7月23日の定例会見で、供給確保医薬品の流通不採算(=運べば運ぶほど赤字が膨らむ状況)の改善を強く求めていく考えを示した。供給確保医薬品は、国民の生命を守るため安定確保に特に配慮が必要な医薬品で、主要学会からの提案などに基づき現在762成分が指定されている。宮田会長は、この中の重要供給確保医薬品75成分だけではなく、全ての供給確保医薬品を安定供給できる体制を構築しなければ、医療や医薬品流通が「持続可能にならない」と強調し、早急に対応する必要性を訴えた。
◎価格転嫁困難 医薬品卸の特殊性に理解求める
宮田会長は、「流通不採算は我々にとっても死活問題だが、供給確保医薬品の中に流通不採算のものが入っていることを国民の皆さんに知っていただきたいとの思いもある」と述べた。インフレ時代にあっても、医薬品卸売業は公定価格(薬価)の中で展開している産業のため、価格転嫁が極めて困難という卸売業の特殊性への理解を求めた。そして、「(インフレ時代における)医薬品を供給する我々のコストが負担され、患者さんに医薬品が安定的にお届けできることを検討していただかないと、どこかのタイミングで医薬品を患者さんに届けられないということになるのではないか」と懸念を示した。
今後の対応については、「製造コスト+流通コストを賄える薬価まで引き上げるということが非常に重要なポイントであり、我々はこの点を訴えていく」と強調し、まずは供給確保医薬品の安定供給に向けて取り組む考えを示した。「我々は、供給確保医薬品で儲けたいということではなく、(安定供給できる形を)担保していただかないと、(医療や医薬品流通が)持続可能にならない」とも述べた。
◎インフレ時代 医療機関側も公定価格で限界 枝廣副会長「薬価制度改革を」
卸連の枝廣弘巳副会長(東邦ホールディングス社長CEO)は、顧客である医療機関や調剤薬局も公定価格である診療報酬や薬価で賄われているため、患者に価格転嫁できない状況にあると指摘した。そして、「価格転嫁できない方に、我々が価格転嫁しようとしてもなかなか受け入れていただけないのが実情。薬価差も縮まり、これ以上、縮めることも難しい」とし、「このままの状態が続くと医薬品供給体制の危機に至る。薬価制度を大きく変えていかないと難しい問題が起きる」と強い危機感を示した。
◎骨太方針2026に「流通体制の強靭化」 宮田会長「8文字だが、非常に重要な文言」と評価
政府が7月21日に閣議決定した「骨太の方針2026」には、「創薬・先端医療イノベーション」の項に、「流通体制の強靭化」が盛り込まれた。宮田会長は、「8文字の文言だが、非常に重要な文言が入った」と評価した。これまでの骨太の方針とは異なり、今回は40年度までの成長投資・危機管理投資を進める位置付けであることを引き合いに、「経年にわたって我々が持続可能な流通ができるよう、我々の投資案件への援助をこれから訴えていく」と話した。