ニプロ・山崎新社長 2030年売上1兆円超に意欲 「世界展開と社会課題解決で企業価値を最大化」
公開日時 2025/12/01 04:51

ニプロの山崎剛司代表取締役社長は11月28日、就任後初の記者懇談会に臨み、「医薬、医療、ファーマパッケージ、グローバル再生医療で世界展開をし、社会課題の解決を通じて企業価値を高めていきたい」と抱負を語った。「2030年には売上高1兆円を達成する」と述べ、会社の成長に自信をみせた。なかでも、重点領域に掲げる透析で、「成長のエンジン」と位置付ける透析患者向け人工腎臓・ダイアライザについても、海外シェアを高めることで、「2030年までには1位なりたいと考えている」と力を込めた。
山崎社長は、2025年6月に社長に就任した。重点領域に掲げる透析については、「我々のブランドでコア商品。今後も伸びる可能性がある」と胸を張る。なかでも、人工腎臓・ダイアライザは、同社の24年度売上高6445億円のうち17%を占める。日本でトップシェアであるもの、海外でのシェアは25%で2位にとどまっている。山崎社長は、「透析において日本は世界トップクラスの生存率を誇る技術があり、その中で1位のシェアだ。評価いただける製品を世界に売ることで生存率を伸ばせる患者さんが増える一助を担いたいと考えている」と意気込んだ。
透析市場で同社は、ダイアライザに加え、透析装置、血液回路、透析プロセス管理ソフトウェアなど、製品からハードウェア、メンテナンスといった透析におけるラインナップを幅広く兼ね備えている。山崎社長はその幅広さも強みとし、「製品個々についての優位性はさることながら、システムを組み合わせることによってマックスの効果を発揮できる状態が揃っている。これは我々が一番力を入れ、得意なところである」と述べた。
◎注射剤・抗菌薬の供給強化 国内外向けに設備増強
山崎社長はまた、抗菌薬・注射剤で高いシェアを誇る同社の供給対策について、「社会になくてはならない医療インフラの一翼を担わせていただいている。ここには全力で取り組んでいく」と語った。滋賀県の近江工場では抗菌薬注射剤を生産する製造棟が25年に稼働開始。また、ワクチン・生産体制の強化を図るため一般注射剤棟が28年の稼働開始を予定している。有事にはパンデミック対応の製造ラインに切り替えるデュアルユース設備で、「アメリカ・FDAの品質基準を十分に満たす設計で進めている。ここから日本国内のみならず、アメリカ・欧州に向けて注射剤を題していく予定で具体的な計画が進んでいる」とした。
同社の重点領域は、▽透析、▽バスキュラー、▽再生医療、▽医薬品――。いずれも、各国・エリアのニーズに応えるため、「地産地消」を掲げ、現地で作り現地で販売することを進めていく考えも示した。
◎新体制 若返りを図った経営陣 業務効率専門家部署を設置
新体制では、経営の社内取締役の平均年齢を65歳から57歳へと若返りを図った。「医療における“ニューノーマル”と言われる画期的な治療方法、効果的で実行力のある経営体制で“筋肉質な経営”をもって持続的に成長を遂げていきたい、すなわちこれが企業価値の最大化だと考えている」と話した。
業務効率化の専門部署「バリューエンジニアリング部」も新設した。「製品仕様が多岐にわたり部署そのものも増えていたため、商品も仕事の仕方も組織も棚卸しをしようということで立ち上げた。最もシンプルかつクリアで効果的な実効性のある体制をとることを念頭に置いている」とした。
◎モットー「信念をもってなんとかする。みんなで仲良くやる」
山崎社長は、1991年同社に入社。1995年にシンガポールに赴任し、インドなど新興国を担当した。モットーは、「信念をもってなんとかする。みんなで仲良くやる」―。「我々は国内外で色々な事業、地域、たくさんの箱を作ってきたので、今後私は我々の仲間と一緒にその箱を宝箱に変えていきたい。箱の品質を上げることに苦心していきたいと考えている」と前を見据えた。