製薬産業政策勉強会が上野厚労相に緊急提言を手渡し 薬価への物価・賃金上昇分約5%反映などを要望
公開日時 2025/11/19 04:48

自民党の厚生労働関係議員などでつくる「製薬産業政策に関する勉強会」(衛藤晟一会長)は11月18日、薬価に物価・賃金上昇分の約5%反映や研究開発税制の拡充などを求める緊急提言を上野賢一郎厚労相に手渡した。提言では、物価高騰や賃金上昇に加え、米国の関税や最恵国待遇政策(MFN政策)による製薬産業への影響を懸念。特にMFN政策に対しては「日本でイノベーションが適切に評価されない場合、ドラッグ・ラグ/ロスが深刻化する懸念がさらに増す」と危機感を示した。
提言では、薬価のベースアップとして「薬価に物価・賃金上昇分(2年分)として約5%を反映する仕組みを検討すべきだ」と提言。物価・賃金の上昇や国際情勢の変化などを踏まえ、「現行制度のままでは革新的新薬のドラッグ・ラグ/ロスの深刻化や、医薬品の安定供給不安を解消できない恐れがある」と指摘した。
また、予見性の高いシンプルな薬価制度として「カテゴリー別の薬価制度の確立」も求めた。この中では、特許期間中の薬価の維持や、「共連れ・特例」の廃止、十分な検証のない費用対効果評価制度の拡大への反対も盛り込んだ。さらに、創薬の国際競争力強化に向けた後押しとして、2025年度末に終了する一般型研究開発税制の継続や控除上限の拡大も要望。海外の研究開発費も引き続き対象とすることや、バイオ創薬を対象分野とした「戦略技術領域型」の創設も求めた。
提言は年末の予算編成や税制調査会での議論を見据えたもの。出席議員によると、上野厚労相は「よくわかりました」と応じたという。