厚労省・24年度医療経済実態調査 医業費用の増加顕著 急性期機能高いほど材料費等の上昇が経営を圧迫
公開日時 2025/11/27 04:52
厚労省保険局医療課は11月26日の中医協調査実施小委員会と総会に「2024年度医療経営実態調査」の結果を報告した。一般病院(介護収益2%未満)の損益率は前年度比マイナス7.3%となった。医業収益は増加したものの、給与費や医薬品・材料等の物品費、委託費などの医業費用が増加し、収支マイナスとなった。一般診療所(無床)の医療法人立の損益率は前年度比5.4%増となったが、こちらも人件費や物品費等の増加傾向が確認できた。保険薬局(法人)の損益率は4.9%増となった。
医療経済実態調査は、全国の病院、一般診療所、歯科診療所、保険調剤(1か月の調剤報酬明細書の取扱件数300件以上)を対象に、地域別等で無作為に抽出した施設を調査客体として行ったもの。病院1167施設(有効回答率:50.2%)、一般診療所2232施設(54.9%)、歯科診療所532施設(52.5%)、保険薬局1057施設(55.4%)の1施設あたりの損益状況をみた。
◎給食用材料費、診療材料費・医療消耗器具備品費、人材委託費などの増加傾向が明らかに
今回の調査結果では、近年の人件高騰や物価高に伴う物品購入費や委託費が医業経営のどの程度影響しているかが注目された。介護収益が2%未満の一般病院(全体)は、医業収益が前年度比2.5%増を確保できたのに対し、医業費用は2.3%で、内訳をみると給食用材料費が6.0%増、診療材料費・医療消耗器具備品費が4.9%増、人材委託費が4.8%増、給食委託費が4.5%と、近年の物価高や人件費高騰の影響を受けていることが推察された。
開設主体別に一般病院の医業費用をみると、医療法人は給食用材料費や診療材料費・医療消耗器具備品費が前年度比5%超の増加。国立病院は給食用材料費が10.1%増、同じく公立病院も8.0%増と医業費用の病院平均を上回っている。さらに公立病院の給与費は前年度比5.0%増だった。個人立の一般病院の医業費用をみると、医薬品費が18.8%、給食用食材が7.9%と一般病院の平均を上回った。このほか精神科病院の損益率はマイナス6.3%だった。
◎急性期機能が高いほど「相対的に入院診療収益比率が高く、材料費比率が高い」傾向
病院機能大分類別の経営状況もみた。「高度急性期」の医業利益は前年度比マイナス6.7%、「急性期A」はマイナス9.9%、「急性期B」はマイナス12.0%といずれも減益となった。これら病院の医業費用をみると、「急性期機能が高いほど相対的に入院診療収益比率が高く、材料費比率が高い傾向」にあった。
◎回復期、精神、慢性期そろって医業収益マイナス 相対的に給与費比率が高い構造
「回復期」の医業利益は前年度比マイナス0.5%、「精神」はマイナス6.1%、「慢性期」はマイアス1.0%だった。この結果について厚労省保険局は、「急性期の病院と比較すると相対的に材料費比率が低く、給与費比率が高い構造になっている」と分析している。
◎特定機能病院、こども「材料費比率と給与費比率で80%超」
さらに「特定機能病院」は前年度比マイナス8.9%、「こども」はマイナス16.6%となり、対医業・介護収益比をみると、「材料費比率と給与費比率で80%超」を占めていることが分かった。
◎診療所の損益率 無床診療所(個人)は29.1%増、同(医療法人)は5.4%
診療所については、有床診療所(個人)の損益率は前年度比23.0%増、同(医療法人)は1.4%増。無床診療所(個人)は29.1%増、同(医療法人)は5.4%だった。なお、厚労省はこの結果について、「個人立の一般診療所の損益差額からは、開設者の報酬となる部分以外に、建物、設備について現存物の価値以上の改善を行うための内部資金に充てられることが考えられる」としている。
◎保険薬局の損益率 「診療所敷地内」11.2%増、「医療モール内」7.0%増
保険薬局の損益率は法人立で前年度比4.9%、個人立で11.2%。機能別にみると、地域連携薬局が4.8%増、健康サポート薬局が6.1%増。店舗数別にみると、「20~49店舗」が10.2%増で最も高く、「200~299店舗」がマイナス1.2%だった。
立地別にみると、法人立では「診療所敷地内」が11.2%増(回答数6施設)、「医療モール内」が7.0%増(同46施設)、「診療所前」が6.0%増(同562施設)と続く。一方、個人立では「診療所前」が12.0%増だったのに対し、「中小病院 (500床未満)前」はマイナス9.3%だった。