中医協総会が12月3日に開かれ、令和7年薬価調査、特定保険医療材料価格調査の結果速報が事務局から報告され、議論を行った。本誌は、各側委員の質疑の内容を議事要旨として公開する。
小塩会長:第632回中央社会保険医療協議会総会を開催いたします。最初に薬価調査、特定保険医療材料価格調査の結果速報について議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
事務局:医政局医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。6月25日の総会でご承認いただきました調査計画に基づき実施しました令和7年度薬価調査および特定保険医療材料価格調査の速報値がまとまりましたので、ご報告を申し上げます。
資料「総―1-1」をご覧ください。まず、薬価調査の結果についてです。本年9月の取引分につきまして、10月31日までに報告があった速報値でございますが、平均乖離率は、約4.8%となっております。
昨年9月の調査では約5.2%でございましたので、それと比較いたしますと、0.4ポイント乖離幅が縮小したことになります。次に、資料「総―1-1」1ページの下段に後発医薬品のシェアをお示ししております。本年9月時点における後発医薬品の数量シェアは、88.8%となっております。昨年と比較しますと3.8ポイント、数量シェアが増加したことになります。
また、後発医薬品の金額シェアにつきましては68.7%となっておりまして、昨年と比較しますと6.6ポイント増加したことになります。
次のページでございます。速報値の内訳といたしまして、分野別の乖離率をお示しております。また参考といたしまして、流通ガイドラインにおいて、価格交渉の段階から別枠として個々の医薬品の価値を踏まえた単品単価交渉をすることとされた医薬品の主な分野の解離率をお示しております。また、その下の参考2でございますが、昨年度、最低薬価の引き上げを行ったことを踏まえまして、今回、公表事項の見直しを行いまして、最低薬価品目の解離率を新たにお示ししているところでございます。
次に資料「総―1-1」4ページでございます。平均乖離率の内訳を投与形態別、主要薬効群別にお示しております。詳しい説明は資料をご覧いただければと思います。
次に、特定保険医療材料価格調査についてです。(略)
私からの報告は以上でございます。
小塩会長:どうもありがとうございました。ただいまの説明につきまして、ご質問がございましたら、よろしくお願い致します。小坂委員お願いいたします。
小坂委員:はい、ありがとうございます。乖離率は分かったのですが、いつもの論点ですが、平均値だけ出していただいて、中央値が出ていない。分布が分からない。医薬品に関しましては、約4.8%の乖離がありますので、ある程度、逆ザヤになっているのも少ないかと思いますが、特定保険医療材料に関しましては1.3%まで下がっていますので、これを分布を見ると、かなり逆ザヤになっているものが出ているんじゃないかという危惧があります。
ですが、(今回の調査結果は)中央値や分布図で本当に逆ザヤになっているものはどれぐらいあるのか。逆ザヤがあるということは医療機関の負担になるわけですから、それを下げるのか、上げようとするのか、そのままにするのか、そういう議論をするのであれば、やはりその分布図がないと、1.3%まで乖離率が下がってしまいますと、かなりマイナスというところが出る可能性が高くなると思いますので、そういうデータを示していただけませんでしょうか。以上です。
小塩会長:ありがとうございます。ただいま小坂委員から、平均値だけじゃなく、中央値とか分布図についてのデータはないかというご質問がございましたが、事務局いかがでしょうか?
事務局:医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。これらの調査につきましては、ご案内の通りの統計法に基づく統計調査しておりまして、この内容については、調査の客体にとって機密性の高い情報ということであり、公にすることによりまして、取引の価格交渉にい影響を与える恐れがあるということで、調査計画において、公表事項を制限しているというところでございます。
いまご指摘いただきました更なる詳細な分析結果の公表ということでございますけれども、公表事項の拡大につきましては、販売業者への影響が大きいと考えられることから、慎重な検討が必要だろうというふうに、これまでも考えてきたところでございます。いずれにしても関係者の皆様方の意見もよく聞きながら、引き続き考えていきたいというふうに考えております。
小塩会長:小坂委員いかがでしょうか?
小坂委員:しょうがないのかもしれませんけど、なかなかこれだけでは議論しにくいんですよね。よろしくお願いします。
小塩会長:ありがとうございます。他にご質問等ございますでしょうか。大杉委員をお願いいたします。
大杉委員:はい、ありがとうございます。薬価調査と材料価格調査の結果について、歯科の立場からコメントをさせていただきます。今回の薬価調査におきまして、歯科用薬剤だけが平均乖離率がマイナスになっている状況であります。特に歯科治療で日常的に使用する歯科用局所麻酔剤は、平成27年から乖離率がマイナスで、いわゆる逆ざや状態が続いており、令和6年においては、過去最大のマイナス12.5%という状況となっており、今回の調査でも同様のマイナス12%になっております。
この状況は、歯科医療機関にとって、現状の物価高騰にさらに追い打ちをかける厳しい状況となっており、不採算品の価格の見直しのみならず、厚生労働省から関係方面に適正な価格での流通取引をお願いしていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
小塩会長:ありがとうございました。他いかがでしょうか。松本委員お願い致します。
松本委員:はい、ありがとうございます。まず薬価調査の速報値につきましては、平均乖離率が4.8%だということですので、前回が5.2%ということでございましたので、薬価差は縮小がさらに進みましたけれども、一方、原材料費や流通コストの上昇が指摘されているわりには、あまり進んでいないということからしますと、おおむね同じレベルかなという印象を受けました。
また、依然として医薬品のカテゴリーや投与形態、薬効分類については乖離率にばらつきがございます。例えば、後発医薬品については8.7%、また参考に示されております最低薬価品目については7.3%ということです。
こうした状況に、どのような背景があるのか、薬価専門部会の業界ヒアリングで、関係団体からご説明いただければというふうに思っております。
また、後発品のシェアが数量、金額ともに拡大しており、数量シェアについては、長期収載品の選定療養を導入した影響は大きいと思いますが、金額シェアについては、薬価下支え等による単価の影響や、数量が伸びた影響を精査することも必要だと考えております。私からは以上でございます。
小塩会長:ありがとうございました。他にご質問が無いようですので、本件に関わる質疑はこのあたりとしたいと思います。