長崎県・五島列島 福江島で処方薬のドローン配送商用化 特別養護老人ホーム向けに開始
公開日時 2026/02/05 04:50
ドローン物流サービス事業を展開する、そらいいな社(本社:長崎県五島市、土屋浩伸代表取締役)は2月3日、長崎県・五島列島の福江島で、処方薬のドローン配送を商用化したと発表した。2025年11月から福江島南西端に位置する玉之浦地区の特別養護老人ホーム「たまんなゆうゆう」(以下、同施設)を対象に、患者から配送料を徴収する形でドローン配送を始めた。配送料は非開示。従来、同施設のスタッフが往復約2時間かけて処方薬を受け取りに行っていたが、ドローン配送の導入により、同社が施設/薬局から連絡を受けてから最短約60分で処方薬の受け取りが可能になった。
同施設では、島内の薬局から医薬品の定期配送を受けている。ただ、患者の体調変化や往診の結果により急きょ、薬の切替が必要になるケースがある。その際、施設スタッフが五島市中心市街地の薬局まで車で片道約1時間かけて受け取りに行く必要があり、同日中に受け取りが困難な場合は翌日の受け取りとなり、課題となっていた。
◎オンライン服薬指導とドローン配送の組み合わせで実現
こうした課題に対し同社は、薬剤師によるオンライン服薬指導とドローン配送を組み合わせた取り組みを開始した。具体的に運用フローは、(1)医師による往診又はオンライン診療後、処方せんを発行、(2)処方せんを薬局へFAX送信(原本は後日郵送)、(3)薬局の薬剤師が処方せんを受領後、調剤及び患者へオンライン服薬指導を実施、(4)そらいいなスタッフが調剤済みの薬を受け取り、発射地点(五島市中心市街地から車で約5分)からドローンで配送、(5)施設スタッフが、施設周辺の指定場所に投下された薬を回収――となる。
機体は長距離飛行可能な米国Zipline社製の固定翼ドローンを使用。事前に飛行許可を得た主に海上を通るルートを飛行し、往復約2時間かかっていた移動時間はドローンにより約20分に短縮した。なお、ドローンは目的地(受取場所)で荷物を投下後、着陸せずにそのまま拠点に戻る。
◎定期処方の配送にも着手 持続可能なモデル構築へ
同社の土屋浩伸代表取締役は本誌取材に、今回の取組みの目的について、緊急時の医薬品アクセスの確保と、施設スタッフの負担軽減及び人手不足解消にあるとした。さらに、「直近では、施設の方が薬局まで受け取りに伺っている定期処方分のお薬の配送も、一部ドローン化する取組みを開始した」と明かしてくれた。
ドローン配送商用化以降の配送実績は、随時処方が3回、定期処方が1回。各回、荷量に応じて複数機による同時配送を行っていると説明した。定期処方の配送は、「今後も月1回ペースで対応を行う予定」とした。
また、「本取組みはドローンによる処方薬配送の社会実装として全国に先駆けた取組み」だといい、「今後は福江島内のその他高齢者施設に加え、福江島内各地域及び二次離島等の住民等に対する処方薬配送の可能性を検討し、地域の医療アクセス向上に向けた持続的な運用モデルの確立を目指す」としている。